Wall of sound @ fabric, London (20th Feb '04)
Sweet child of mine!
「オー、スウィート・チャイルド・オヴ・マアァ〜アアイン、オーオオ、オオオオー、スウィート・チャイルド・オヴ・マアァ〜アアイン!」満員の会場がガンズの"sweet child of mine"を割れんばかりの声で大合唱。私も思わず両手を上げて、「オーオオ、オオオオー!」と叫ぶ。何だ、この光景は。いや、自分も参加しておいて言うのも何なのだが、アンクルがレジデントDJを務める(今年は彼ら休みがち)クラブイベント、ファブリックライブの3時半という一番盛り上がる時間でこんな光景が生まれるなんて、誰が想像できるだろうか。この快挙とも呼べる素晴らしき事件の主犯は、来日した際、西城秀樹まで回したという芸人DJ aka 2many DJsである。やってくれた。DJが客を盛り上げたいときに狙ってベタな曲をかけるのは常套手段だが、ここまでベタな曲で盛り上げるのは正直難しい。しかも、ロック系のクラブならまだしも、ここは以前、最高に盛り上がってた客がthe moveの"I can hear the grass grow"を合図に一斉に立ち尽くしたという伝説を持つあのファブリックである。これはターンミルズでradioheadの"street spirits"を回してその日一番の見せ場をつくったDJ(残念ながらそのとき名前はチェックしてなかった)以来の荒業にして神業。大将、エロル・アルカンが後に控えるなかでの、この日最高のプレイだったと言っていいだろう。
さて、この日のイベントの説明を少し。この日のイベントはファブリックというロンドンにあるとても有名なクラブで毎週金曜に行われているイベント、ファブリックライブである。しかも、今回は昨年の10月以来となるウォール・オヴ・サウンド(というレベール)によるスペシャル乗っ取りナイト。ウォール・オヴ・サウンドというだけで私なんかは楽しみで仕方ないのだが、今回はそれに付け加え、DJの顔ぶれが昨年とは比べものにならないほどに豪華だったのである。今さっき書いたように、ルーム1は2many DJs、エロル・アルカンというミクスチャーDJの最高峰が怒涛の二連発。ルーム2はほぼレジデントのgrooveriderをメインにしたドラムンベース。そしてルーム3は、いつもはヒップホップのところをrichard Xなど、全く抜け目なし。こんなイベントに人が集まらないわけがなく、いつもなら並ばずに入れる10時半に行っても結局寒空の下3時間も待たされるという今までに体験したことがなかったほどの混みようだった。
やっとのことで入れたと思った2時半には既に2many DJsのプレイは半分が過ぎていた。急いでルーム1に駆け込むと、既にフロアは入り込む隙が無いほどの混み様。いや、入り込む隙が無いというレベルの問題ではない。DJブースによじ登って騒いでいる人までおり、ファブリックがこんなに凄い熱気に包まれているのは一度も観たことがない。しかしこの2many DJs、友人に聴かせてもらった音源では曲と曲さえも繋げてない微妙なプレイだったのに加え、曲選びのセンスがギャグ寸前にベタだったので、大阪芸人的なユーモアがこの人たちのプレイの肝なのかと思っていたが、全然違った。もちろん曲と曲はしっかりと繋がっており、選曲も時間帯を考慮したバキバキに踊らすものでビッグネームの面目躍如。ただ、異様にブレイクが長い・多いというのがどうしても気になった。ガンガンに踊れる音なのにブレイクを入れてなかなか躍らせないという、SM的な焦らしの心理を多用しすぎて逆にフロアにフラストレーションを溜めさせ過ぎていたのではないかと思う。最後の"sweet child of mine"が最後まで良く頑張ったM男たちへのご褒美だったのかもしれないが、真の女王様はもっとこまめに小さなご褒美を与えた方がM男たちの快感が大きいことを知っているはずである。
2many DJsの後はあのエロル・アルカンであったが、あまりに混み過ぎていたので、いつも空いているルーム3へ移動した。このとき回していたDJは初体験であったが、テクノ系に絡めてハイヴス、フランズ・フェンディナンド等といったロック系も回すという2many DJs顔負けのミクスチャーぶり。しかしこのプレイ、最初はよかったのだが、その後もビヨンセ、ローゼズなどあまりにも分かりやすい選曲が続き過ぎて、最後にはトゥーマッチ感を残してしまったように思う。このように比較・対照してみると、やはり2many DJsは凄い、といった結論に辿り着く。
そして最後は大ボス、エロル・アルカンの登場である。正味30分しか観れなかったのだが、やはり圧巻のスーパープレイだったと言っていいだろう。ブレイクのときに少しDJ shadowの"organ donor"を挟んだりする小技がいちいちニクい。そう、これだよ、これ、焦らし過ぎは駄目というのは。たった30分でその凄さを納得させるエロルのプレイは貫禄ものだ。これなら素直に2many DJs〜エロル・アルカンという贅沢な並びを見ておいてもよかったかもしれない。
このレビューを書いている今日は部屋で一日"sweet child of mine"が10年以上ぶりに鳴り響いている。やはり2many DJsのプレイで聴いたときほど素晴らしくはないが、あの記憶に残る名プレイを反芻するためには十分な媒介となっている。次に観る名プレイでは、一体どのCDがほこりを払ってCDラックから取り出されるのだろうか。
report by yoshi_k |
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previous works by yoshi_k
2004
やっぱりフランス人 : AIR (18th Feb @ Brixton Academy, London)
2003
飛躍的な進歩、圧倒的な勝利 : The Strokes (6th Dec @ Alexander palace, London)
ロックンロールって、確かこんな音だった : Razorlight (11th Nov @ 100club, London)
ただ「音楽」としか名付けられない未分化な何かを発する子供たち : The Music (15th Oct @ ICA, London)
ミスマッチの違和感 : The Thrills (11th Oct @ shepherds bush empire, London)
生々しい自然体のズレ : intensions of an asteroid (3rd Oct @ barfly, London)
熱いオヤジたちの肩肘張らない音楽 : James Taylor Quartet (22nd Oct @ mean fiddler, London)
コンサートの集合体としてのフェス : Reading Festival (23rd Aug. in Reading)
穏やかな覚醒 : nderworld (10th Aug. @ somerset house, London)
これからを感じさせる輝き: Saint Rose (15 Jul @ feet east, London)
オ〜オ!!オ〜オ!! : The future heads (11th Jul. @ barfly, London)
お父さんも安心!家族向けフェスティバル : uilfest'03 (6th Jul in Guilford)
巨大さに支えられた自由 : Glastonbury Festival '03 ( 27 to 29th Jun '03 in Shepton Mallet)
本気なロックンロール+アホと笑い : Electric Eel Shock (19th May. @ arts cafe, London)
Completely Stone Roses! : the complete stone roses (10th May. @ Garage, London)
死ぬまで踊り狂え! : Death in Vegas with DJ Andrew Weatherall (4th May. @ Nrixton Academy, London)
私もまた力の限りジャンプする : Blur (13th May. @ Astoria, London)
もっと今のあなたを! : (20th Feb. @ Shibuya Club Quattro)
all these worlds are yours! : DOVES (2nd Feb. @ Shibuya Club Quattro)
「もう一声」を聞かせてくれ! : the jeevas (7th Jan. @ Kawasaki Club Citta)
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