MO'SOME TONEBENDER @ Shibuya Club Quattro(10th Feb '04)
その可能性の中心
アルバム『TRIGGER HAPPY』は、ダブやエレクトロニカを飲み込んだ実験作で、ブランキーやミッシェルが亡きあと、それらを受け継ぐロックを期待する人たちを戸惑わせるものだった。この日のライヴを観ていると、モーサムトーンベンダーは、もはや何物とも比べることの出来ない存在になってしまったと実感させられる。ロックであり、エレクトロニカであり、ダブであり、とさまざまな音楽の要素でありながら、どこにも属していない地点で揺れているのだ。
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この日は、前回観たときから、そんなに時間が経ってなく、基本的に印象は変わらないけれど、単独なので時間を取ってよりバラエティに富んだステージになったと思う。そして、改めてドラムの藤田の凄まじさが感じられたライヴだった。低めにセッ
ティングしたシンプルなドラムセットからタイトなリズムを繰り出す。"View View"のダブならではのリズムの重さ、そしてスネア音のエコー処理も完璧だったし、"hang song"の打ち込みリズムとの絡まり方も凄い。
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この日のハイライトは"DUM DUM PARTY"でのバスドラ連射だろう。歌い出しの「頭の中の住人たち/騒いで僕を叩き起こして〜」のあとでCDでは「ドッタタ、ドッタタ」とくるところを「ドドドドドドド」とやって、スゲェ〜と鳥肌が立つ思いだった。武井がヴォーカルの"なんでもねえYo!"ではハードコアパンク風の叩き方も出来るしプレイの幅が広い。そのドラムが作る土台の上に乗っかって武井のうねるベースと百々のギターとヴォーカルが自由に暴れまくれるのだ。
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実験的な中盤を経て、ストレートなロックで畳み掛ける後半は、お客さんも盛り上がってダイバーも出てきた。多分、この日、クアトロをほぼ満員状態に埋め尽くしたお客さんたちはこういうロックを求めているんだろうなと感じる。だから中盤のダブや打ち込みにノリきれないのだろう。しかし、モーサムトーン・ベンダーは初期の曲"パルス玉"に「さなぎが蝶になる瞬間を見ている」とあるように、ライヴの場において、刻々と変化していく瞬間を目撃できるバンドだったのだ。これは下北沢のライヴハウスでやっていた3年前からほとんど奇跡のように直線を描いて成長してきたのである。そして、この日のライヴでも、なおも変化しつづける姿を観ることが出来た。そこに戸惑いを覚える人もいるだろうけど、この変化はモーサムがさらに大きなバンドになるための重要なステップに思えてならない。ロックだけでなく、さまざまなジャンルの音楽を飲み込んでいこうとしている。 |
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「人の死を美化するな」という言葉が身近に感じられてくる"冷たいコード"そして"GREEN & GOLD"で本編が終了。アンコールはバレンタインデーが近いせいか"チョコレート"、そしてようやく"未来は今"。この曲のアゲられる感覚というのは本当に他では味わえないものだ。モーサムトーンベンダーの可能性が広がっていく。
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-- set list --
DAWN ROCK
ウッ!
idiot
FREEZE
go around my head
know
RED HEAD
View View
hang song
DUM DUM PARTY
モダンラヴァーズボレロ
なんでもねえYo!
トマホーク
OUT DOOR
BIG-S
凡人のロックンロール
冷たいコード
GREEN & GOLD
-- encore --
チョコレート
未来は今
report by nob photo by saya38
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mag files :
その可能性の中心 (04/01/27 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob, photo by saya38
photo report (04/02/10 @ Shibuya Club Quattro) : photo by saya38
絶好調 (04/01/27 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob, photo by saya38
photo report (04/01/27 @ Shibuya Club Quattro) : photo by saya38
photo report (04/01/23 @ Sapporo Bessie Hall) : review by shuuma, photo by q_ta
ロックンロールの先へ (03/05/17 @ Shinjuku Liquidroom) : review by nob, photo by saya38
photo report (03/05/17 @ Shinjuku Liquidroom) : photo by saya38
祝!チベタン出演決定、まだまだ行けるぞ! (03/03/28 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob
やり取りのあるライヴ (02/12/20 @ Shinjuku Liquidroom) : review by nob, photo by saya38
迫力の都 (02/03/17 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob
激しさに聞き入る (02/03/05 @ Yokohama FAD) : review by dak
photo report (02/02/25 @ Shinjuku Liquidroom) : photo by hanasan
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