JET @ Shibuya AX (3rd Feb.'04)
「iPODロッカー」?さあ、どうでしょう - part 1 -
惑星の演奏が終わって本公演の時が近づくにつれ、会場にいる人々からヒシヒシと彼らを待ちわびる熱気を感じる。開演前のSEですでに手拍子と歓声が上がり、観客全員準備は万端といった具合だ。ほぼ全会場を売り切った、JETの日本ツアー初日がまもなく開演しようとしている。
そもそも私を含めた多くの人達が彼らを知るきっかけとなったのは、アップル社のヒット商品、iPODのCMであろう。ロックファッションに身を包んだシルエット像が、いかにもロックリスナー的アクションを繰り広げるあのCMのサウンド、それがJETの『Are You Gonna Be My Girl』だった。先日、広告の専門家がそのCMを「流行のキーワードをふんだんに取り込み、若者を購買層に入れる狙いだろう」と分析していた。クラシックロックのリバイバルバンドがNMEの表紙を飾る今、『Are You・・・』もまたファッションなのだ。会場にキャスケット帽をかぶった若者の姿がチラホラ見られる。成程ね。 |
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そんなことを考えていると、会場から多くの拍手とそれを上回る狂喜の声が起こり、メンバーが登場した。何を繰り出すかと思いきや、スタッフに入れ知恵されたのか、メンバーは豆をまきながら(本日は節分)にこやかに登場し、我らの熱気を肩透かし。さらに予期せぬ出来事は続く。一曲目はなんとドラムのクリスがマイクを取り、バラードソングの『move on』!?ロックを待ち望む我々の中に戸惑いの色が見え隠れしつつも、ドラマーという立ち位置にするには勿体無いと思わせるほどのクリスの声が会場を包めば、ピロートークのような穏やかな雰囲気がAXを包んだ。 |
たった一曲披露しただけで、ショーはいきなり一段落といった気持ちになってしまったがヴォーカルのニックが「チアーズ!」とビールを一杯やり、レコードの何倍も引っ張ったイントロから『Cold Hard Bitch』が飛び出し、そのままロックチューンの連発を繰り出す頃には先ほどのテンションなどスッカリ忘れたキッズの独壇場へと移行していた。
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それにしてもこの予定外の強烈なサウンドはどうだ。会場の後方にいても体を揺さぶる程のキックに合わせギターはジャキジャキと歌い、ボーカルの声など間違えても「透き通って」などと形容できないシャウトの連続。そしてボリュームのでかいことといったら!(終演後、酷使されたスピーカー達は「彼ら明日もやるんか、しんどいわー」と苦笑いをしていることだろう。)
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report by ryoji and photo by mari
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previous works by ryoji
2003
Movies Review : 映画『モロ・ノ・ブラジル』 : 監督:ミカ・カウリスマキ / 脚本:ミカ・カウリスマキ、ジョルジ・モウラ / 出演:セウ・ジョルジ、マルガレッチ・メネー / ゼスほか計31組のアーティスト等 (16th Dec) |
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