東京ピンサロックス @ Shinjuku ACB Hall (26th Dec. '03)
完成度の高いミクスチャー
| "東京ピンサロックス"というほとんどヤケクソで付けたとしか思えないバンド名の印象は相当強烈なものだったが、それが女性のみで構成されたギャルバンだと知った時はさらに意表を突かれた。しかもその名からしてどんな「捨てきった」スゲエのが出てくるかと思いきや、これが揃ってなかなかチャーミングな女の子達だったから世の中わからない。しかしそれがバンドある以上本質はやはり音楽だ。BLEACHとのカップリング・ツアー最終戦である新宿ACBでその音を初めて確かめてきたが、失礼ながら予想以上に完成度の高いバンドで驚いてしまった。 |

ミクスチャーといわれる一連のジャンルに括られることが多い、との説明は聞いていた。確かにその要素は強い。ギターはフルシャンテばりのファンキーなカッティングをチキチキと刻んでいるし、そこにボーカリストが大部分をラップで載せている。チリ・ペッパーズを想起する人が多いのは無理もないだろう。はっきりいってそれだけのモノマネバンドなら今時別に珍しくない。だがこのバンドは、ひとつひとつの要素がもつクオリティが滅茶苦茶高いのだ。 |
ピンサロックスはトリ前に登場した。メンバーの体調不良で前日の名古屋公演を急遽キャンセルし心配させたが、さすがにファイナルには間に合わせてきたようで一安心。ボーカルは地毛を捻りまくってさらにエクステンションを編み込んだ見た目のインパクトがまず強烈だった。衣装も合わせてなんだか民族風だが、その娘が右手を高々と上げると緊迫感が会場にぴんとみなぎる。ベース・イントロから一曲目が始まった。
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特にリズムとグルーブに関しては徹底的にこだわっているフシがある。ラップにしてもただがなったりライミングを変に重視する今時の風潮ではなく、ひとつの楽器として捉え押したり引いたりのメリハリをきちんとつけている。しかも可愛い女の子のギャル声。この妙なミスマッチの快感はMISSILE GIRL SCOOT以来か? |
| 目を奪われたのがベーシストである。細くすらりと背が高い美人というのもあるが、とにかく音の組み立て方が半端じゃなくうまい。ごくシンプルなフレーズを根気強く繰り返しているのだけなのにまるで単調さを感じさせない。丁寧に弾いていて音粒がきれいだし、ライン自体も教科書に載せたくなるほど(そんなもんあればですが)美味しい。だが何より特筆すべきは、抜くべき音をきちんと抜いてグルーブをくっきり浮かび上がらせている点だ。ベースという楽器は盛り上げたい場所ほど弾かないほうが良い効果をもたらす事の多い天邪鬼な楽器だが、これを実行するのはなかなか難しい、というか勇気がいる。彼女はきちんと必要なボトムだけを要所で支えて心地好いループを作り出していた。隙間の愛し方が素晴らしい。きっとRAGE AGAINSTのティムなんかには影響を受けているはずだと思う。 |
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もちろんもう少し洋楽マニアをも唸らせるオリジナリティが欲しいところだが、途中演奏された曲にその片鱗がみられたような気がした。ビリー・ジョエルの"We didn't start the fire"を想起させる、サビで固有名詞を連発するチューン。この曲はギリギリのところでメロディーを残し、しかもそれがキャッチーで耳に残った。こういったフックをさらに膨らませて持ち前のヘヴィな要素と絡ませれば面白い方向に向かうと思う。だが、ま、そこまでは口を挟むのはお節介もいいところだろう。このままでも自力で彼女達は良い方向に進化していくと信じたい。演奏能力はすでに及第点以上なのだから(若いのにね)、もっと世界観を出せる表現法の模索を続けて欲しいと思う。また観にいこうっと。
追伸:ツアー・ファイナルに感極まって最後にちょっと感情を見せたメンバーはなんだか素敵でした。
report by joe and photo by keco
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mag files :
完成度の高いミクスチャー : (03/12/26 @ Shinjuku ACB Hall) : review by joe, photo by keco
photo report : (03/12/26 @ Shinjuku ACB Hall) : photo by keco
柔も剛もよく柔も剛も制す : (03/12/21 @ Utsunomiya Vogue) : review by nob
爆音の砂嵐へ : (03/12/17 @ Chiba Look) : review by nob
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