新宿フォーク @ 吉祥寺プラネットK (18th Dec. '03)
フォークって何?
新宿フォークというバンド名は絶妙なのかもしれない。このバンドのライヴを体験した後、そう思うのだ。バンド名だけで聴かず嫌いをしているなら非常に勿体ない。今年の1月に秋葉原GOODMANで観て久々に観たけど、やっぱりいいバンドだと感じた。
この日は吉祥寺プラネットKで新宿フォーク主催のイベントが行われ、4バンド出演の3バンド目だった。このバンドはギターがなく、キーボード、ベース、とヴォーカルとサポートで女の子のドラムの4人組である。フォークなのにギターがいないの?という疑問を宙吊りにしたまま1曲目の"好きです"が始まる。「君を抱いたりキスしたりするのは簡単だけど好きですという言葉が言えない」というラブソングがプロコル・ハルムの"青い影"(=BOROの"大阪で生まれた女")を彷彿させるオルガンの音色と気品のあるピアノをバックに歌われる。ヴォーカルの小田切はコートに長い白マフラーを巻いて(観た人によると夏でもマフラーだったとのこと)切ない歌詞を全身で歌うようだ。声質は和田アキ子に少々武田鉄矢が入った感じ。次の"東京ガール"はまさに昔の和田アキ子が乗り移ったかのようなファンキーさが炸裂するアップテンポなナンバー。新宿フォークというより新宿ファンクじゃないかと思うくらい60年代のR&B魂を感じた。"疲労"の歌詞は東京の最近の風俗を描写しながら、最後にさりげなくイラクへの自衛隊派兵について言及する。ラブソングのイメージがあるので意表をつかれた。
"準急"は「準急も通過する駅がある街に住む君」に向けて物語る、ドラマのように展開する歌。「僕と君」はどうなるのと、早く次の歌詞を聴きたくて堪らなくなるほど、歌の世界に引き込まれるのだ。「君があいつにふられたとき、その駅に一度だけ降りたことがある」そして「僕」はどうしたのか。おれには"準急"にあるような経験をしたこともないのに何故にリアルに響くのだろう?そう考えて、彼らの音楽の力が説得力を持つのだと納得する。素直だったり、ドラマティックだったりするけど、決していい格好したことは歌わない。そして小田切の声は中音にパワフルさがあるけど、決して歌が上手いわけではない。だけど彼が発する言葉ひとつひとつがこちらに届きまくるのだ。
最後は"27番地"。「君」と別れる場面を歌った切ない歌で、歌い出しはイルカの"なごり雪"を思わせるメロディのあとに、3人の楽器隊がぶつかり合って、ドッカンドッカンした展開へ。これはもはや新宿ロックである。そしてキーボードの大久保がジェリー・リー・ルイスみたいに鍵盤の上に乗ったり、キーボードを持ち上げて振り回したり、揚げ句には電動ディスクグラインダーをキーボードに当てて火花を飛び散らすのだ。キース・エマーソンもびっくりのパフォーマンスである。切ないラブソングと、ファンキーなR&B、そして笑ってしまうパフォーマンス、こんな目まぐるしく展開する新宿フォークのステージはめちゃめちゃ楽しい。是非観てみてほしい、オススメのバンドである。
report by nob |
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