JUDE @ ZEPP東京 (28th Nov '03)
終わらない旅の一つの頂点
今年の夏、BLANKEY JET CITY解散後、初めて浅井健一の「うた」をきちんと聴いた。
メディアやフェスで耳にする機会は何度もあったのに、避けてきた。その時はパティ・スミスのオープニング・アクト、逃げ場無し。興味を失ったのではなく、怖かったようだ。BLANKEY JET CITYのあの3人揃っての姿が彼の完成形と思い込んでいたため、見えるパーツの欠損したこの人を目の当たりにしそうで。
そんなわたしの恐れを他所に、彼はあの頃とは違った高さを、自分のペースで悠然と進んでいた。 |
Zepp Tokyoの前は12月まで間近とは思えない様子だった。Tシャツにタンクトップ、既に熱くなり始めた人々。BLANKEY世代でなく、SHERBETS、JUDA世代の予想以上の多さ。通路から降り、わたしもオーディエンスの1人になる。
開演前、熱狂的なファンに囲まれ暫く居心地の悪さを憶えたが、1曲目、"ARABIA"で既にうたの世界に連れていかれる。
こんなに「愛」という言葉を剥き出しのままぶつけてくる表現者をわたしは他に知らない。生で聴くと更にヒリヒリとしてくる。"新しい風""透明の戦場"...狂おしいまでの純粋さ。そんな中に混じるファニーなナンバー、ぶっきらぼうで「らしい」浅井健一のMC。"海水浴"はその時々で全く違った印象に響く自分には不思議な曲。
 |

ドラムの椎野恭一とベースの渡辺圭一の演奏は時にねじ込んでくる強さを持ちつつも安定し、福士久美子のキーボードとコーラスを繊細に色付けし、一見脆く儚気なベンジーの世界をよりはっきりと引き立たせ更に遠くへ乗せる。
「ロードム−ヴィー」という言葉が今回のアルバム、『Highway Child』に向けられていた。今年公開された映画、「偶然にも最悪な少年」で主人公が旅立つ前、東京の焦燥感に満ちたシーンで大音量で流れていた、BLANKEY JET CITYのナンバー。奇妙な符合。でも全く異なる世界。 |
これは今の彼だけにしか出せない映像。異国の大地へ、懐かしい海へ、そして通り過ぎた街へとわたし達を連れて回った。
最前で転がり、跳ね回る観客がエネルギー切れに近付いた頃、なお煽るかのようにちょっとサディスティックな勢いの、激しいナンバーで攻め立てる。
|
"ARABIA"が再び微かに流れ、そして全てが終わった。彼は振り返らず、ぶっきらぼうに「らしく」消えて行く。
「旅の途中」とJUDAでの代表曲"シルベット"で歌い上げられる。同じ場所(JET CITY)に恐らく何度も立ち返りながら、彼は旅を続けている。立ち止まる事は自由だけれど、生きる事に完成がないように、その旅も果てはない。
その中で今、JUDAは幾つも広がる一つの大きな高みの頂点にいる。 |

report by chihiro and photo by maikokko *なお、写真は11/10の川崎クラブチッタで撮影されたものを使用しています。 |
mag files :
まるで、眼前の大岩のように : (03/12/7 @ Sapporo Factory HALL) : review by shuma, photo by q_ta
38歳の少年 : (03/11/28 @ ZEPP Tokyo) : review by taisuke, photo by maikokko
終わらない旅の一つの頂点 : (03/11/28 @ ZEPP Tokyo) : review by chihiro, photo by maikokko
Jet Cityの案内人 : (03/11/10 @ Kawasaki Club Citta) : review by taiki, photo by maikokko
photo report : (03/11/10 @ Kawasaki Club Citta) : photo by maikokko
シルベットは夢を見る : (03/1/8 @ Shibuya Kokaido) : review by nob
|
|
|