ELECTRIC SIX @ Shinjyuku LIQUID ROOM (15th Nov '03)
楽しくなければロックじゃない
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"DANGER! HIGH VOLTAGE"というバンドで一番盛り上がる曲を演奏している時に、ヴォーカルのディック・ヴァレンタインは自分の財布を取り出し、札束を数え、そしてお尻のポケットにしまった。その一連の行為は「あ、やべぇ俺今日、お金持ってたっけ?」と思わず財布を見てしまったようなごく自然なものだったのだけど、それはステージ上で、ましてや、バンドの一番の有名曲を演っているときにすることなのだろうか?おれは今までにない衝撃を受け、そして腹を抱えて笑った。おれもロックを聴いて約20年、いろんなライヴを観ている。伝説ではステージ上でオナニーしたり、ニワトリの首に噛みついて殺したり、ブタの臓物を投げたり、チェーンソーで客を追い掛け回したり、カレーを作って食べたり、というのを聞いているし、今じゃ、ステージの上でマグロをさばくバンドだってある。だから、少々のことでは驚かないけれども。
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とまあ、この日のライヴはこれに尽きたんだけど、エレクトリック6のバカさ加減に心底やられてしまった。ステージ上には6人いて、一番左のキーボードのTait Nucleus?はキュアーのロバート・スミスの若い時かジーザス&メリーチェインのリード兄弟に似ている。ヘッドホンしているギターのThe Colonelはメガネ外した岸谷五朗と柄本明が合体した感じ。
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ドラムのMはオーバーアクションで叩いている割に音が小さいという驚異のドラミングを披露。ベースのJohn R. Dequindreはロジャー・ダルトリーと捕らえられた宇宙人の合いの子、サングラスのギターJohnny Na$hinalは70年代のグラムっぽい出で立ちでやたらとジャンプする。そして、ヴォーカル&ダンスのDick Valentineは頭に「日本」とあるハチマキをして、お茶目な踊りを随所に挟みつつ、ファルセットになると声量が足りなくて、そのゆる〜いダメさ加減がチャーミングだった。 |
ノイジーなギターとお水っぽいディスコのビートが、80年代の「ニューウェーヴ」の音を再現している。無愛想で、うつむきがちの当時と違うのは、演っている本人達がひたすらおバカでサービス精神あふれるステージであるということだ。そして、お客さんも、昔は腕組みしてスカして聴いている人ばっかりだったけど、このエレクトリック6のお客さんはめちゃめちゃノリが良くて、フロアは踊りまくり、叫びまくりだったのだ。

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本編が終わっても、メンバーは引き上げることなく、照明を暗くして、メンバーが下を向き、5分くらいそのままだった。そして再び顔を上げてアンコールが始まる。クイーンのカヴァーで"RADIO GA GA"。手拍子しているのは30代以上か?やはり凄かったのは"GAY BAR"で「君をゲイ・バーに連れて行きたい、ゲイ・バー、ゲイ・バー」と言っているだけの曲を大合唱である。ちょっと歩けば2丁目という新宿リキッドルームにふさわしい盛り上がりだった。「何なんだコイツら?ワケわかんねぇ」と笑う。笑いのツボがピッタリ合わさって笑えるときもあれば、向こうがユーモアと思っていることと、我々が笑えるところと微妙に違って、そのズレそのものが笑えたりする。それでいいのだ。
report by nob photo by ryota |
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楽しくなければロックじゃない : (11/15 @ Shinjuku Liquid Room) : review by nob, photo ryota
おバカなんだけどかっこいいんだよなぁ : (11/15 @ Shinjuku Liquid Room) : review by takao, photo ryota
正統派なのにおバカな愛しい奴ら : (11/17 @ Shinsaibashi Quattro) : review by shoko, photo ryota
素敵なバカにノックアウトされた夜... : (11/17 @ Shinsaibashi Quattro) : review by kami, photo ryota
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