| ストロークスもホワイト・ストライプスもリバティーンズも、もう要らない。ちょうど一ヶ月前の10月10日、ULUでホープ・オブ・ザ・ステイツの前座として出てきた彼らを観て以来、狂ったようにライブに通い今日で既に四回目。もう他の音楽がみんな退屈で、と言うかどうでも良くなって、高校生の頃から食費を削りながら集めてきた我がCDコレクションを全てテムズ川の河川敷に行って焼き払ってしまいたいという衝動に何度駆られたことか。久しぶりにこんな音楽に出会った。十代を過ぎたら、もうこんな出会いなんてないものだと思い込んでいた | ![]() |
| この日はセカンドシング"rip it up"の発売に合わせて行われた単発ライブ。これで彼らのライブを観るのが四回目と言っても、メインアクトとしてフルステージをやるのを見るのは意外にもこれが初めてなので、否が応にも期待が高まる。ステージと客席の間に柵さえない、有名な割には意外とこじんまりとしている100クラブの最前列に陣取り(写真撮影うんぬんを抜きにして、最前列でライブを観たいと思ったのも久しぶりだ)、冴えない前座の演奏を我慢しながらレイザーライトの登場を待つ。マイクスタンドの脇に張られたセットリストに目をやると、この日はいつもと曲順が違うことに気づいた。"rip it up"が、一曲目だ。 |
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潔いほどシンプルなギターリフに畳み込むようなドラムのビートが重なったと思うと、過剰なエネルギーで裏返りそうなジョニーの歌声が間髪いれずに割り込んでくる。この"rip it up"の性急さに、ロック好きなら誰が抗うことができるだろうか。クラブでもノリが悪いブッリクレーン〜オールド・ストリート辺りをうろついていそうな気どったファッションのカップルでさえもこの曲に合わせてリズムを取っていたのを見て、この日のライブが成功することをはやくも了解した。 まだシングルを二枚リリースしたばかりの新人である。しかし、彼らのステージには既に余裕さえ感じる。デビューライブから僅か一年強しか経っていないとは思えないほどアンサンブルは安定し、個々人は高い演奏能力を持つ。オリジナル・パンクのように生々しく性急な音楽性なのに、どこかどっしりと構えているように感じさせるのは、そのためだろう。前のめりだがつんのめることはなく、奇跡的にロールしていった"action!"が正に好例だ。この曲が持つ、ベースが歌いギターがリズムをとるという初期のthe who的なスタイルは、高度な演奏能力に裏打ちされていないと、こんなにもライブで映えるはずがない。 |
| パティ・スミスの"gloria"を髣髴とさせる"in the city"が始まると、喧騒が過ぎた深夜の繁華街のように会場は一瞬静まり返り、これまでとはまた違ったテンションに支配される。ポエトリー・リーディングのように言葉が詰め込まれた前半は常にメーターが振り切れているようないつもの勢いが敢えて抑制され、一気に混沌の渦へと雪崩れ込んでいく後半はその抑制していたものを爆発的に開放し、カタルシスを生み出す。静と動の激しいコントラストを使ってカタルシスつくるのは使い古された方法論のようでもあるが、意外とこれを使いこなせているバンドは少ない。コントラストを激しく、劇的にしていくほど、それを演奏するバンドのスケールが試されるようになるからだ。しかし、レイザーライトはこの曲でパティ・スミスをも連想させるのである。 |
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ハイカットのスニーカーに裾を入れたボロボロのジーンズに、ジョン・メイオールの古着のTシャツを着たジョニーは、この狭い会場でもいつもどこか遠くを見ながら歌う。最前列は彼の端正な顔を少しでも近くで見ようとしている日本人の女の子で埋め尽くされていたが、見向きもしない。彼はもっと遠くを見つめているのだ。彼と一緒に遠くを見つめてみると、どこか遠く、いつの間にか手の届かない遠くまで行ってしまった、初めてロックを聴いたときの興奮が見えてくる。そう、初めてロックを聴いたときの興奮、それを思い出させる何かがこのバンドの音楽には宿っているのだ。ロックンロールって、確かこんな音だった、と思わず口にしたくなるような。 report and photo by yoshi_k |
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