オーディエンスは浅井健一独特の、細い線で描かれたデザインがプリントされたTシャツを着て、Jet Cityの住人になろうとする。その街にはブランキーもシャーベッツも、言うなればベンジーに関わったすべての人たちが住んでいる。街に入るゲートをくぐる時に、流れる曲はいつも決まってニーノ・ロータの"太陽がいっぱい"だ。しばらくしてベンジーを筆頭とする案内人たちが現われ、即座にリミッターをカットした。四人がメルヘンチックで少々物騒な世界を案内してくれる。だが、街中にある名所すべてを案内するには時間があまりにも足りない。ベンジー自らが選んだ場所(曲)に行って暴れて、心に刻みこんだ「お土産」を開封していこう。 |
ライブでのドラムス担当が以前の池畑潤二から椎野恭一へと変わっている。池畑は現在も「JUDE」であるし、新作『Highway Child』のレコーディングにも参加している。だが、この二人のドラミングは明らかに性格が異なっている。池畑が力強さを全面に押し出した「剛」ならば、椎野は柔らかで繊細なリズムを刻む「柔」だ。池畑の歯止めの効かないドラミングはうねりとなって、ベースの渡辺圭一の「地獄」と形容される強靱な音と合わさっていかついロックンロールを生み出し、オーディエンスの闘争本能をかきててていた。だが、椎野を迎えることによってベンジーの声は少年の心を取り戻し、渡辺のベースラインは揺るぎない芯となって、優しさや愛といったもうひとつの側面がよりいっそう浮き彫りとなった。 | ![]() |
![]() ![]() ![]() photo by maikokko |
柔軟なスタンスは全編にわたって福士久美子(ex.シャーベッツ)のキーボードをフィーチャーしていることにも表われていて、シャーベッツで培われた音の拡がりは現在進行形であり、当たり前のように彼女が存在することが何よりの証拠だった。![]() 彼の抱えるグレッチのギター、通称「テネシー・ローズ」はバックのカーテンの赤に溶け込んでいて、陶酔させるには十分すぎる妖しさを放っていた。そんな状況の中で鳴らされた一曲目は"海水浴"。冬が近づくいま、案内人たちはまず海へと連れて行き「かき氷は宇治金時」と季節外れのデザートをすすめる。つじつまのあわない状況がベンジーらしい。いざ食してみると、体は汗ばんだ。後にも先にも熱くさせるかき氷は「JUDE」にしか作れない。曲が終わるとベンジーは「ニイハオ!」と一言。そういえば中盤で「シェイシェイ!」とも言っていたな。たとえ中国語の言葉でもオーディエンスのボルテージはいあおうなしに高まる。熱気が立ちのぼる様子を見届けて、"Wild Bebi"へ。疾走感あふれるギター、ベース、ドラム、キーボードの順に重ねられていく音にベンジーの声が乗っかり、出現した音像が頭と体をひたすら引っ掻き回す。そのグルーヴはそのまま"Diduri Didura"へと繋がっていった。この二曲、これからのライブの要となるだろう。 -->part2 |
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JUDE http://www.sexystones.com/ The Latest Album; ![]() 『Highway Child』(SSR-026) Sexy Stones Records |
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