「人は一生のうちに、いったいいくつのバンドを見送るのだろう?」最近、そんなことをよく考える。思えばここ数年、本当にたくさんのバンドの解散を見てきた。音楽を広く聞けば聞くほど、深く知れば知るほど、私たちは多くのバンドと別れなければならない。バンドの解散は、大切な物を失った時とも、大切な人を失った時とも違う独特の喪失感を伴う。いずれ別れが訪れることを知りながら、それでもバンドを愛してしまう。音楽ファンとは因果な商売だ。 |
エコー&ザ・バニーメンのライブが行われたのは、スウェードが突然の解散を発表した数日後のことだった。そう、また一つバンドの光が消えた、その時だった。告白すると、私はどこかでエコバニのライブに救いを求めていたかもしれない。バンド結成25周年という数字の重みを知ればこそ、今なお現役として私たちの前に存在するエコー&ザ・バニーメンの姿を確認し、次々と襲い掛かってくる喪失感を埋めようとしていたのかもしれない。 イノセントな気分を演出するかのように降り続ける冷たい雨の中、会場の恵比須ガーデンホールへと足早に向かう。クリスマスのイルミネーションに目を細めながら瀟洒な建物の間を抜けると、やがて暖かい光を放つガーデンホールに到着。やわらかいカーペット敷きのロビーに入ったら、なぜかちょっとホッとした。いつもは「なぜこんなこじゃれたところで!?」とライブが行われることに違和感を感じるガーデンホールも、今日はとても心地よく感じる。 ![]() |
![]() 開演を待つフロアには、黒い服の人が目立つ。予想通り、いつも行くライブより少しだけ年齢層は高め。「ニューウェイヴの残り香ね」と嬉しくなる。イアンが"エコー"社製のドラムマシーンとバンドを始めてから25年。東京で1夜限りのスペシャルライブということもあって、全国からファンが集まってきている。「モリッシーが来日した時に…」とか「リヴァプールに行った時に…」なんて会話が聞こえてくる。立ち疲れ、床に座って待っている人が多いのもご愛嬌だ。 |
客電が落ち、メンバー登場。一際大きな歓声の中、「世界一の唇を持つ男」イアン・マッカロクがゆっくりとステージに現れた。黒いジャケットに黒いサングラス。暗がりの中、いきなりタバコに火をつけ紫煙を燻らせる。ライターの火に浮かび上がるイアンの横顔。25年間変わらない彼のダンディズムは健在だ。1曲目の「Show Of Strength」から、あっという間に「エコバニ・ワールド」=「イアン・ワールド」へ持っていかれる。イアンのダークなヴォーカルが、場内を独特の微熱で包んでいく。 | ![]() report by satori and photo by izumikuma |
ECHO & THE BUNNYMEN http://www.bunnymen.com/ The Latest Album; 『Live In Liverpool』(US import & 国内盤) 彼らの名作がボーナス・トラック付き、リマスターで再発されています。ただし、各国盤によって微妙に収録曲に違いがあります。気をつけてください。 『CROCODILES』(UK import, US import, US import with bonus trax, & 国内盤) 『HEAVEN UP HERE』(UK import, US import with bonus trax, US import & 国内盤) 『PORCUPINE』(UK import,US import, & 国内盤) 『OCEAN RAIN』(UK import, US import & 国内盤) 『ECHO & THE BUNNYMEN』(UK import, US import, & 国内盤) |
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