buttonLINKIN PARK @ 武道館 (25th Oct '03)

- 目に見えない美しさ -
 2001年5月にZEPP東京で初めて見た彼らのライヴ。その帰り道で考えたことと同じ 事を考えながら武道館を後にした。彼らのライヴの素晴らしさを伝えるには、どんな 言葉が的確なのか。「カッコいい。カッコよすぎる」・・・。あぁ、またしてもこん な薄っぺらな言葉と乏しい表現しか思い浮かばない。でも私だけでなく、そこにいた みんなが、ライヴ終了後、きっとまず同じこの言葉を発したに違いない。「カッコい い」。曲も、パフォーマンスも、ステージも、武道館内に響く観客と一つになった歌 声も、すべてがあまりにもカッコよすぎた。2年半ぶりにリンキン・パークが日本に 戻ってきて、忘れられない最高のライヴを見せてくれた。

 17:50過ぎ、客電がやや暗くなり始め、SEのダークな曲の音が少しずつ大きくなる につれ、ザワザワと観客が立ち上がる。始まる。待ちに待ったリンキンのライヴだ。 早く見たい気持ちと裏腹に、始まってほしくない気持ちも攻めてくる。当たり前の事 だけど、始まってしまえば、終わりがくる。このワガママなジレンマと葛藤している 間に、歓声が一段と大きくなり、ステージを見るとジョーがDJブースに姿を現した。 遂に始まる、衝撃のライヴ!

 パペットで愛嬌を振りまきながら、ジョーがDJをスタート。次々と裏手からステー ジに駆け上がるメンバーの影に気づいた観客から、より一層大きな歓声が上がる。会 場内の割れんばかりの歓声の中、メンバーの姿をステージに見た瞬間、鳥肌が全身を 覆った。言葉が出ない。そこにリンキン・パークがいる。ただただ感無量である。 ステージは、でかいロボットの残骸が無造作に置かれているようなかんじだった。 『REANIMATION』のジャケのロボ、である。それがいつか合体して大きなロボに変身 するんだと期待したが、遂にその時はこなかった。その残骸の上段、向かって左に ジョーのDJブース、右にロブのドラム・ブース。あまりに大きなステージで、前にい るチェスター、マイク、フェニックス、ブラッドの4人がとても小さく見える。これ は2階席だから?

 さて、ライヴは『METEORA』と同じ流れで、"Don't Stay"、"Somewhere I Belong"、"Lying From You"と3曲があっという間に流れていく。すでにアリーナ にはモッシュの渦ができ、スタンド席も、みんな一様に両手を掲げジャンプしてい る。あまり激しくジャンプすると落下する恐れがありますってアナウンスも必要だ な、と思う。武道館のスタンド席は傾斜がきついのである。よくぞ、最後まで落下者 が出なかったと思うほど、みんな構わずハイ・ジャンプを繰り返す。マイクが" Runnaway"でジャンプを促すと、より一層高さを増す。ヒヤヒヤしながらも、飛ばず にいられるかいっ!リンキンには珍しく風を切るスピードを感じる"Faint"になる と、会場の温度も一気に上昇、あの広い武道館でも、窒息状態になる。モッシュも勢 いを増し、大きく強い勢力を持った輪へと広がっていた。 相変わらずステージ前方まできて観客を煽るのはマイクの役割で、滑らかにラップし ながら最前で観客を飛ばせる。ギターも弾き、ピアノも奏でる『METEORA』からの新 しいマイクの姿だ。

 チェスターは、ステージを左へ右へ動き回り、中央にいる時は決まって前屈姿勢で吐 き出すようにシャウトしている。逆えびジャンプ、クルクル駒回り、そして倒れ込み そうになりながらの前屈シャウト。少し痩せたように見えたチェスターも、完全復帰 を祝っていいみたいだ。良かった、元気になってくれて。そして、あなたの美声と雷 鳴のごときスクリームを聴くことができて。そのギャップもまた、リンキンの魅力の 一つだと思う。同じ曲の中に、穏やかに優しく流れるヴォーカルと、痛々しく喉が引 きちぎれるほどのスクリームが存在する。それは、とても同じ人が発しているとは思 えないものなのだ。その抑揚、激昂と切なさのバランスと盛り上がりが、他にはない リンキン節であり、実に美しい。

 "By Myself"や"With You"では、CDと同じくらい、いやそれ以上の力強さを ヴォーカルに込めるてぶつけてくる。それに応えるかのように、場内はいつでも合唱 が起こる。どのパートでもどの歌でも、マイクを向ければ大きな合唱が聞こえてく る。ここで、リンキンとファンとの固い絆を感じることができるのだ。"Crawling" で、多くのパートで観客にマイクを向け、胸に手を当てながら聞こえてくる大合唱に 大きく頷くチェスターの姿は、実に印象的だった。そんな彼らに届けとばかりに、歌 声も大きくなる。この一体感、凄まじく、そして鳥肌がゾゾッーと立つ。

 チェスターの穏やかで繊細なヴォーカルが目立ったのは、『REANIMATION』からの" P5hng Me A*wy"。あの"Pushing Me Away"が、ここではまるで賛美歌のように流 れ、気がつくと、観客は振り上げた手を下ろし、静かに聴き入っていた。ジーンとく る切なさ、壮大な美しさに引き込まれる。胸が熱くなる曲なのだ。"Numb"やアン コールの"My December"は、マイナー・メロディがより美しく静かに会場内に流れ た。まるで、それはさよならが近づいているようで、むしょうに悲しくなるチェス ターの歌声でもあった。

 アンコール、"My December"に続いて"A Place For My Head"と、締めくくりには やはり"One Step Closer"。合間に「ライヴに来てくれてありがとう」と日本語で のコメントが入り、"BREAK!"のシャウトで完結。曲が終わっても、メンバーはス テージから降りることなく、全員で場内すべての観客に深くおじぎをして回る。チェ スターはたくさんの投げキッスを会場みんなに贈る。なんてイイお兄ちゃんたちなん だっ!ありがとう、日本に来てくれて。見えているはずもないのに、ずっとステージ の彼らに手を振り続けた。本当に、一曲ごとに「カッコイイ!」という言葉が口をつ いて出るライヴだった。

 音を自在に操る無限の才能で進化し続けるリンキン・パーク。彼らの音には圧倒され る。ライヴでもアルバムと少しも変わらない演奏を聴かせる。そして、そこに目に見 えない音の「美しさ」を感じる。ロックでこんなに美しいと思い、それを感じること のできるバンドなんて、リンキン・パークくらいなんじゃないかな。アルバムを聴い てもライヴを見ても、すべてにおいて期待以上のものを届けてくれる彼ら、リンキ ン・パークはめちゃくちゃカッコよくて、最高のバンドなのだ!

--- set list ---
Don't Stay
Somewhere I Belong
Lying From You
Papercut
Points Of Authority
Runaway
Faint
From The Inside
Figure.09
With You
By Myself
P5hng Me A*wy
Numb
Crawling
In The End
--- encore ---
My December
A Place For My Head
One Step Closer
report by ali

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