| テレビを見る。BGMが流れる。あっ、これスリルズの"santa cruz"じゃん、ということが何度もあった。日本で彼らがどれくらい売れているのかは知らないが、こちらではそれはもう凄い人気である。今書いたように、テレビのBGMでよく耳にする。アルバムは全英初登場3位。ツアーは何度追加公演を出しても売切れてしまう。私が行ったこの日のライブも二度目の追加公演、当然チケットはソールドアウトである。 レイドバックしていると断言していい60〜70年代的なポップスでヒットを飛ばしているバンドらしく、小学生くらいの子供から普段スタンディングのライブには絶対足を運ばないだろうと思わせる初老の夫婦まで、会場は文字通り老若男女入り混じっている。イングランド対トルコ戦というサッカー命のイギリス人には見逃せない試合と日程がバッティングしてしまったため、前座のアダム・グリーンさえ試合終了の8時半まで出てこなかったというのは正にイギリスらしいエピソードであるが(客もこの時間まで入りが悪かった)、待ちに待たされたうえ出てきたそのアダム・グリーンが誰かの借り物の音楽を演奏してるだけのようなつまらないバンドだったのには参った。他の日程ではハー・マー・スーパースターとかシンプルキッドとか、面白い前座が出てたというのに。運が悪い。 さて、そうなると否が応でもスリルズへの期待が高まるわけだが、2週間ほど前にMTV2の5周年記念イベントで観たときに、出演陣のなかで唯一何も引っかかるところを残さずにライブが終わってしまったバンドだけに、期待と不安の割合は3対7といったところだった。もう、一曲目で、つかみの一発で、私の不安を吹き飛ばして欲しい、と願っていたのだが、残念ながらこの前観たときと大して印象は変わらなかった。「make a fuckin' noise!!」と、ヴォーカルはよく観客を煽っていたが、このようなMCに代表されるような姿勢がよくないのではないか。つまり、音がレイドバックしたドリーミーなポップスなのに、ステージングがロック的過ぎて、ミスマッチの違和感が常に付きまとうのだ。別にポップスはクールに演奏しろと言いたいわけではないが、"big sur"でロック的な乗り方を求められても私は困ってしまうだけだ。彼らが激しいステージングを好むのならそれはそれで一向に構わないが、彼らの音楽には誰もが簡単に手に入れられるわけではないポップスのエヴァーグリーンな魅力が備わっているわけだから、もう少しステージングの仕方を変えてみてもいいのではないかと思う。 私はあまり満足していなかったのだが、この日はイングランドが勝った勢いもあり(アイルランドのバンドなのに?)、会場は最高に盛り上がっていた。しかし、彼ら自身が言っているように、息の長いバンドを目指すのなら、もっとライブを魅力的なものにしていくことが必要不可欠である。違う言い方をすれば、楽曲のクオリティーは申し分ないのだから、その楽曲を生かす形にライブの方向性をキッチリと合わせていくべきだ。そうすれば、彼らは更に大きな人気を得て、本人たちの目指す息の長いバンドにもなっていくはずである。 report by yoshi_k |
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