buttonElvis Costello and Steve Nieve
@ Osaka Sankei Hall (4th Oct '03)

すべての人々と共有した同じ思い...、"幸せ"
 ピアノの音色は、まるで記号のように懐かしさを私たちに与えてくれる。それはどことなく匂いを伴って...ある時はロマンチックな...そしてある時はクールな様相で、私の脳内の確かな記憶の中で、曖昧に彷徨い、うごめくのである。

 Elvis Costelloの待ち焦がれた今回の来日公演は、盟友Steve Nieveのピアノによる演出がことの他、約2時間という時を共有する私たち観客にとって、大きな意味を持つこととなったのであった。
Elvis Costello


 アンコール後は、観客の思いを存分に受け入れ、盟友とのアイコンタクトによる即興感(実は綿密に計算されている筈...)溢れるステージは、私たちに「今しかない!」的な大切な時間を共有する悦びを味あわせてくれ、ピアノ弾き語りで歌い上げたCostelloに注ぐピンスポットの光は、まるで時間の優しくやわらかい流れを確かめている彼を照らす月の明りにも感じ...そんなあまりに想像を膨らませすぎて、私は自然に顔からどんどん笑みがこぼれていくようなそんな感覚を憶えた。マイクから離れ、観客に声をふりまいている時には、私の心は昂揚し、最後には座席から重い腰を浮かせ、スタンディングオベーション。歓声の波はホールの天井に向け一つの大きなウエーヴを作っていた。
Elvis Costello

report by kami
photo by ikesan
 1976年。Elvis Costelloの生きる証は、閉鎖的なロンドンのパブリック・バー(いわゆるパブ)という労働者階級の人々の体臭と酒の匂いが入り混じったそんな空間の片隅の小さなステージにあった(あくまで私の想像であるが...)。集まった客の顔色を眺めながら、スタンダードなカバー曲も交え唄い、歓声を浴びる...そこで呼吸をし、飯にありつき、日銭を稼ぐ...それが当時の彼の生きている場所であった筈だ。

 この日のステージでの見事なまでのエンターテインメントショウは、現在の進化というか退化というか、はたまた変化といえるのか...そんなElvis Costelloの姿と、あの彼の原点ともいえる時代の姿が、Steve Nieveのピアノの音色により、シンクロしながら表情を現してくる。それを噛み締めているかのようなCostelloの唄声は、より哀愁感を増し、その魂を込める具合の程よさが、あの"パンク的Costelloファン"(実は私もそうであるが...)たち馴染みの客が好む、絶対にはずせない名曲たちをも、結果的には違和感なく伸び伸びと、育んでいったのである。


Elvis Costello 集まった観客は、少しずつ異なった思いで今回のElvis Costelloのライブに足を運んだに違い無い。しかし、終了して言えることは、すべての人々がほぼ同じ思いを持ったのではないか?ということである。それは、その人々の笑顔の中に浮かび上がって来ることで確かめることができた。..."幸せ"...これなのではないか...

 ちなみにその時の私はというと...もちろん微笑んでいた。そして今も...この文章を書きながら...やっぱり幸せを感じ、微笑んでいる...(笑)

The official site of

Elvis Costello

is :

http://www.elviscostello.com/

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