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「ねえ、その服どこで買ったの?」と、最前列で身を乗り出してライブが始まるのを待っている少年たちが、ステージに上がり他のメンバーの準備が終わるのを待っているヴォーカルに声をかけていた。確かにそれは、私も気になっていた。カムデンの古着屋でいつまでも売れ残ってそうな派手なマルチストライプのブルゾンに、タックの入ったパンツ、そしてベルトには何故かメジャーのようにメモリが入っている。一見ちょっと頑張りすぎてしまった服飾学校の学生みたいなファッションにも見えるが、よく見たらそれとは似ても似つかないのは、特に気負ってそんな格好をしているようには思わせない彼の佇まいのせいだ。ごく自然体でこの服を選んでいる。ごく自然体で一般の基準からはみ出している。まるでintensions of an asteroidの音楽そのもののようだ。 |


"wait don't fire"をはじめて聴いたときは、ある意味衝撃だった。それは、今まで誰もやったことのない新機軸を打ち出しているとか、過去の遺産を誰もやったことのない角度から再発見しているからというのではなく、ただ単純に音楽として奇妙だったからだ。彼らの音楽は一聴した感じパンク的、エモ的な印象を与えるが、ヴォーカルが日本の歌謡ロックに肉薄する下世話スレスレなメロディーを少年のような声でシャウトしながら歌うとき、それは現在の神経症的に細分化されたジャンル分けの器からもポロリとはみ出してしまう。特にサビで、ただただ「wait don't fire, wait don't fire」と、ギジー("glolia"等のヒットを出したあの日本の歌謡ロックグループ)あたりが出しそうなギターの音に乗せて繰り返すだけの"wait don't fire"は特筆すべき面白さを持っていると思うのだ。 オープニングアクトとしての出演で曲数が少なかったせいもあり、この日はその"wait don't fire"を演らなかったが、それでも彼らの魅力は十分に味わえたライブだった。特に変わったパフォーマンスをしているわけではないのに、どこか奇妙な違和感を発し続ける。そして、それがなんとも気持ちいい。自然体であるのにどこかズレてしまっている。そのズレから音楽を発している。ロックという表現における基本のようなあり方であるが、妙に頭が良くて器用な音楽を創るバンドが溢れてるなかで、このようなバンドを観ると他にはない生々しささえ感じる。彼らには変なテクを身につけずに、このままズレてズレてズレ続けたままで走り続けて欲しい。 report and photo by yoshi_k |
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