ELVIS COSTELLO and Steve Nieve @ Tokyo Geijitsu Gekijo Dai Hall (1st Oct '03)
最小編成というプロデュース - part1 -
参った。コステロは名プロデューサーでもあることをすっかり忘れてた。セルフ・プロデュースもばっちりの男だった。ギターとピアノのみ、という構成にはちゃんとそれだけの意味があったのだ。
実は当初ぼんやり「低音(ドラム&ベース)の分は、下駄を履かせて観てあげることにしよう」なんて考えていたと知ったら、あの眼鏡の皮肉屋は怒るだろうか呆れるだろうか。きっとただ鼻で笑うだけだろうな。この最小限の編成は伊達でやってるんじゃないんだぜ、って。熟達した演出家は「引き算」で舞台を創り出すものらしい。先日ニック・ロウを観た時も感じたんだけど、今回の公演で再度それを思い知った。 |
東京初日、一曲目はいきなり"ACCIDENTS WILL HAPPEN"での奇襲だった。冒頭からキラー・チューンをかます久々のパターンに、早くも腰が浮きそうになる(この日は全席指定なのですよ)。しかし中盤以降、新作『NORTH』からの選曲を中心に、モードは徐々にじっくりと聴かせる雰囲気に。実はここからが見ものだった。
そこまでがつがつリズムを引っ張っていた自身のギターは肩から完全に外してしまい、ピアノの伴奏のみで大らかに歌い上げる。ロックというよりはまるでクラシックや声楽を聴いているようだ。そういえば鍵盤を弾くスティーヴ・ナイーヴは元々そっちの畑の人のはず。彼の技量も半端ではないが、それに輪をかけてすさまじいのはコステロの声量である。 |
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report by joe photo by hanasan |
なんでこんなに伸びやかな声が出るの? ってくらいの見事な歌いっぷり。オフマイク気味にマイクから何度も口を外し、その度に生声が直接ホールにびんびん響く。そして……ついには完全にマイクスタンドの前を離れ、歌いながら舞台を上手から下手へとゆっくりと歩み始めた。おお、これはなんだ、俺はオペラでも観てるのか? まさしくこのアコースティック・セットならではの生の迫力だ。機械ををまるで通さない、歌声とグランド・ピアノだけの、そのものの音と感動が空間を占めている。曲が終わるたびに、堰を切ったような拍手が何度も何度も繰り返された。
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