LONGWAVE @ Shinjuku Liquid Room (3rd Sept '03)
ロックで陶酔
この日は、夕方から激しい雷雨に見舞われた東京。電車も止まり、ごった返す新宿。リキッド・ルーム内は無事にここまで辿り着けた人たちが、フロアを埋めていた。予想以上に人が入っていた。暗い場内に一点目立つのが、ドラムに巻きつけられた赤く光る電球。クリスマスのイルミネーションみたいだ。そこからすでにロングウェーヴのファンタジーの世界が始まっている。
静寂の中に響く轟音。繊細さの中に秘めた破壊力。ロングウェーヴの、この幻想的なライヴ・パフォーマンスと、ちょうどその日リキッド・ルームに入る直前に見た、雲の向こうで音もなく、でも激しく閃光を繰り返す雷のその光景が、妙にマッチしていた。
ドラマーのマイクが怪我の為来日できず、助っ人で同じくマイクという名前のドラマーを向かえての初ライヴとなった。静かに進められていくライヴ、一曲ごとにのめり込んでいく。音楽を聴いて、こんなに気持ちのいい音があるんだ、と思わせる。
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| 派手さのまったくない、真面目で大人しそうなステージ上のメンバーは、プレイ中は激しく前のめりになりながらギターをかき鳴らし、時にはヴォーカルのスティーヴはドラム・セットに駆け上り、そこから高くジャンプをしたり、ギターのシャノンはアンプにギターをこすりつけて、ノイズを出しまくる。助っ人ドラマーのマイクは、複雑なリズムを見事に連打する。スティーヴの、ちょっとストロークスのジュリアンに似たふんわりした歌声が、轟音の中で優しく響く。これぞ、幻想的なロングウェーヴのサウンドだ。この歌声が、自然と私を気持ち良くさせるのだ。"Everywhere You Turn"での上り詰めていくメロディ、淡々としたメロディと歌声がサビへ向かって上昇していく。そこにエフェクトをきかせたギター・ノイズが混ざり合う。そして余韻を引きずることもなく、あっけないほどスパッと音が途切れて終わる。悲しい旋律のギターで始まる"Tidal Wave"は、ライヴで聴くと美しく温かいメロディで、寂しさの中に人の体温を感じる。なんだろう、この人たちの曲は、轟音が鳴り響いても、ものすごく心地よい。そして、彼らの演奏のクオリティも高い。安定したパフォーマンスは安心して見て(聴いて)いられる。 |
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聴覚、視覚、神経と肌で感じるサウンド。彼らの魅惑的な曲は、私の神経に入り込み、まるで音に包み込まれているような感覚になる。一種のトランス状態のようなものだ。赤くぼんやりと浮かぶドラム・セットに巻きつけられた豆電球を見つめていると、より一層不思議な空間に入り込んでいく。なんて、気持ちがいいんだろう。ここは、汗のにおいも、歓声も激しくぶつかり合う人の姿も無縁の空間。観客の、ステージを見つめたまま静かに揺れる影とゆっくりと流れる時間がリキッド・ルームを埋めていた。
アンコールは普段やらないと言いながら、一曲だけサービスしてくれた。今度はマイクも一緒に、またすぐに日本に来るからね、と言ってライヴは終わった。耳の奥の方の神経は、終わった後もピリピリと心地よくライヴの余韻を味わっていた。 |
| こんなに気持ちいいいと思ったライヴも久しぶりだったように思う。静かに聴き入り、ほどよくノる。フジロックでほんのちょっとだけ聴いた、メイシー・グレイやコールドプレイの優しく響いてくる歌声。サマソニでロマンチックに聴かせたルーニーや、時代錯誤な風貌で硬派なロックがものすごくかっこいいキングス・オブ・レオン。圧巻のライヴだったストロークスとレディオヘッド。こういったいい音楽が私を潤わせていたこの夏。そして、今回のロングウェーヴ。またしても、いい音楽に出会えた。大きな収穫だった。
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| report by ali and photo by maki
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