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完全にズレてる。なにがって、バンドサウンドのスケール感とハコの大きさがだ。このセイントローズはまだシングル一枚出したばかりのニューカマーだが、既にこの日やった小さなハコではかなり窮屈そうな感じだった。まるでイギリスではスタジアムを埋めるステレオフォニックスをライブハウスで観たときに感じたズレのようだ、と言いたいところだが、正直そこまでの確信は私の中にはまだなくて、感覚的に近いのはむしろヘイヴンをクアトロで観たときに感じた窮屈さの方だろうか(彼らは次の来日ではリキッドルームを完全に埋めていた)。いずれにしろ、こういう感覚でライブを観れるのは幸せなことだと思う。「これから」を感じさせるドキドキ感、それこそが新人バンドを観るときの醍醐味だからだ。 |
| と、このバンドを新人バンド、ニューカマーと紹介しているが、純粋にはそうと言えないので一言断っておきたい。写真を見てもらって、気づくだろうか。ベーシストが日本人だということ?いや、確かにそれも最初は目を引くだろう。彼らはフォーピース・バンドなので、四分の一日本の血が混ざってるということになり、親近感が沸くというのも正直な意見だと思う。でも、今言いたいのはそれじゃない。わかっただろうか。わかる人はわかる。私と同じくらいの歳の人で、なかなかのUKロック好きの人ならわかる。どういうことかと言うと、このバンド、ヴォーカルが元ジャグアーのマルコムなのである。なので、メロディー、サウンド的にはやはり90年代の影を色濃く残している。と書くと、ジャグアーの音をそのまま想像して「あ〜、あんな感じか」と勝手に納得してしまう人が大多数だと思うが、それは甘い。もちろん100%違うと言ったら嘘になるのはわかってる。だが、ドッシリとしたリズムでゆっくりと、しかし激しい覚醒感を与える"call for calm"、耳を捉えて離さない切ないメロディーがいつまでも頭に残る"butterflies"、といった感じで、一曲一曲に説明を加えられるような曲の個性というものはジャグアーにはなかったものだ。 | ![]()
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焼けた鉄のように熱いライブサウンドも特筆ものだろう。CDからも彼らの熱さというものは十分伝わってきていたが、それを踏まえてもライブでの熱さには驚かされてしまったのだから。最近の新人バンドはフォークをベースにしていて、別に何をベースにしようと関係ないのだが、デビューしたての勢いというものがない上に、更にフォークっぽいので余計に古臭いだけに聴こえるバンドが目につく。どうもライブハウス巡りが退屈になりそうな予感がしている。その点、セイントローズはいい意味でシーンの流れからズレていて、個人的にはこのズレは大歓迎だ。 |
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時の流れは速い。「ついこの間のこと」と思っていたものが、あっという間に「歴史」だ。映画『リブ・フォーエバー』ではブリットポップが既に歴史として語られていて、なぜか頻繁にコメント出演しているスリーパーのボーカル(もう名前忘れた)なんて完全に「昔の名前で出ています」状態だ。で、一方そんなインディーロック・バブルの崩壊を乗り越えて今なお活動を続ける人もいるわけで、有名どころではジーヴァスのクリスピアンなんかがいい例か。しかし、彼が未だに過去の功績を乗り越えることができなくて悪戦苦闘しているのは周知の通り。当時を高校生としてリアルタイムで体験した私のような人間にとっては、このような状況がいつか来ると今までの音楽の歴史の勉強から分かっていたとはいえ、実際に体験してみると、やはりとっても悲しいのである。うん。だからセイントローズに出会えたのは幸せなことだと思う。マルコムは、ついこの間まで輝いていた人が今は過去の功績とセットでしか人から見られないという切なさを背負ってない。いや、背負ってないどころか、過去の功績はどこか遠くにかすんでしまうほど、セイントローズは新人バンドとして輝いている。そういった意味でも、彼らに出会えたのは私にとって幸せなことだ。
--->Part2
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http://www.saintorose.co.uk |
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