eastern youth @ Akasaka Blitz (5th June '03)
また暑い夏が来る...
イースタンユースのライヴがいつも素晴らしいのは、もはや当然のことであって、あとは聴き手の問題である。聴く側が3人の発する波長に対して、体力的に精神的に応えることが出来るか出来ないかで、その日のライヴの印象が決まってしまう。そして、自分の喉元に突き付けられるのだ「おれはここまでやった。お前はどうなんだ」と。
渋谷クアトロから始まった長いツアーの最終日だった赤坂ブリッツのステージは、これで終わりだというリラックスした感じもあった。 そんな緊張とリラックスという両方が入り交じった、どちらの感覚も共存しているのがイースタンユースの魅力なんだと思う。迫力で客を圧倒して突き放すとともに、「弱音を吐きたくても吐かない人とか、弱音吐きたくないのにやっぱり吐いちゃった人や、弱音吐きまくっちゃって、でも吐きたく無いなぁと思っている人に・・・これからおじさん達が歌ってあげる」というMCに象徴されるように、弱った人たちに寄り添いながら、包み込む感覚もあった。
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自分をギリギリにまで絞るように出される音そして声たちは、ダイレクトに聴く者の心に届くのだ。"二足歩行小唄"みたいな自虐的な歌詞を持つ歌もそとに発散されることによって、自分一人の悲しみから、みんながそんなわびしい感情を持っていることに気がつかせるのだ。

"雨曝しなら濡れるがいいさ"の歌詞にあるような割り切りが自分にも欲しいと思うし、その境地に至るまでのドタバタと転げながら生きていく自分を引き受けたいと思う。 |
いきなり一曲目に"自由"をぶちかまし「何が出来るのか」と激しく自分へ問い掛ける。その問いは客席にいる我々にも突き付けられているのだ。そして「おれは自由!」と吉野が絶叫するとき、単に自由が素晴らしいとか自由を満喫するのではなく、辛いこと苦しいことも含めて自由なんだと思い知らされるのだ。

3曲目に"青すぎる空"で、歌詞の大合唱となり最初の絶頂を迎える。普通は本編ラストかアンコールでやる曲をいきなりやってしまう。この哀愁溢れる世界には思わず涙ぐむ。
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本編ラストの"世界は割れ響く耳鳴りのようだ"の音が出た瞬間は、音が目に見えるかと思うくらい、空気の振動が凄まじかった。真剣勝負。そんな言葉を使いたくなるほど、3人の演奏は研ぎ澄まされている。
アンコールは"夜明けの歌"。そして最後は"夏の日の午後"。口笛を吹き、そして「ジャージャン!ジャージャン!」というイントロから気合いの入った演奏へ。歌い出しの「神様あなたは、何でも知ってて、心悪しき人を打ち負かすんだろう」で胸を掴まれる。やはりこの季節にこの曲をライヴで聴けるのはとても幸福だ。そしてまた夏が来ることを感じるのである。
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-- setlist --
1.自由 / 2.男子畢生危機一髪 / 3.青すぎる空 / 4.破戒無慙八月 / 5.スローモーション / 6.二足歩行小唄 / 7.走る自画像 / 8.雨曝しなら濡れるがいいさ / 9.いずこへ / 10.世界は割れ響く耳鳴りのようだ
-- encore -- / 夜明けの歌 / 夏の日の午後
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report by nob and photo by ryota |
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