アメリカはボストン出身のポップ・オルタナティヴ・バンドDAMONE(ダモーン)。SUM41 FESTIVALすべての公演のオープニング・アクトに大抜擢。すでに日本ではその名は急激に拡大中なのだ。 ダモーンは、紅一点女の子ヴォーカル ノエルを中心に、ベースのヴァスケス、ドラムのダスティンの3ピース・バンド。バンドの全曲のソングライティングを務めていたギターのデイヴは、ツアーへの参加をせず、今後はソングライターとしてDAMONEをサポートしていくらしい。ということで、今回はサポートのギターを伴っての来日となった。最近注目を集めている、ヤーヤーヤーズやサハラ・ホットナイツ、ドナスなどのガールズ・グループと肩を並べて、ダモーンも現在注目株のポップ・ロック・バンド。4月にデビュー・アルバム『From The Attic』(輸入盤)がリリース(国内盤は5/21発売)。海外では、INJECTEDやTHE MOONEY SUZUKI、SAHARA HOTNIGHTS、THE ATARISらとツアーの経験もあり。アメリカでは、アルバム発売前からカレッジ・ラジオ・ステーションでヘヴィ・ローテーションされ、大きな注目を集めているバンドでもある。 この日は、SUM41 FESTIVAL全ツアー終了後のダモーン単独ショウケース。アストロ・ホールに来た人は、制服姿の高校生からパンク・ロック・スタイルの女の子たち、スーツ姿のサラリーマン、ポップ・パンク・スタイルの人までさまざま。ツアーでは、オープニングのため7曲ほどと短いステージだったけれど、ここではカヴァー曲も含め全13曲。NKホールで見たよりも、メンバーはリラックスしているように見える。観客がすぐ目の前でエキサイトしているのも嬉しいんだろう。 ライヴは、ポップな"You and I"で始まり一気に会場のテンションを上げていく。アップ・テンポな"Feel Bad Vibe"では、ノエルとギター、ベース3人並んでハード・ロックばりなギター・パフォーマンスあり、"At The Mall"はヴァスケスもヴォーカルを取り、ノエルとのハモりが絶妙なロックンロール・ナンバーで弾け飛ぶ。縦ノリ充分で観客の動きも激しくなる。"Overchay with Me"や"Carwash"は、ウィーザーを彷彿させる。"Up To You"や"On My Mind"は、ヴァン・ヘレンを思わせるギター・ソロが印象的で、これはNKホールでも会場からウォーッと歓声が上がったほどだ。どの曲もポップ感溢れ、弾けたくなる元気満載。アルバムの1曲目でもあり、ライヴでも最高潮の盛り上がりを見せた"Frustrated Unnoticed"は、切ないメロディーにギンギンのギターを乗せたエッジのきいたロックンロール。髪の毛を振り乱しながらギターをかき鳴らすたくましい姿のノエルが「転んだって泣かないし」なんてカワイイ歌詞を歌っている。同じティーンエイジャー(じゃなくても)共感できる単純明快に歌われる歌詞も、このバンドの魅力でもある。 ノエルの顔は、ステージ上では常に前髪で覆われてほとんど見ることができない。あとで本人に聞いてみたところ、「髪型のせいもあるけど、恥ずかしいから」と照れくさそうに言っていた。「かわいいんだから、顔見せればいいのに」と言うと、「そんなことない」とものすごく恥ずかしそうにうつむいていた。目がなくなっちゃうほどニコッとしたあの笑顔は、恐らくどのステージでも見ることはできなかっただろう。残念。非常にもったいない。ものすごくカワイイのに。 ライヴ中盤には、ウィーザーのカヴァーで"You Gave Your Love To Me Softly"をプレイ。ドラムのダスティンは、どことなくウィーザーのメンバーでもおかしくないような風貌をしている。その彼の選曲らしい。シングル曲のB面のこの曲を持ってくるあたり、かなりウィーザーに傾倒しているようだ。 ラストにもってきたのは、なんとニルヴァーナの"Territorial Pissings"。この曲では、ステージもアストロ全体も狂ったように暴れまくった。ノエルいわく「ニルヴァーナも好きだし、この曲はプレイするのが楽しくて、なんかこう(本人も言葉にできない)エキサイトして何かしなくちゃ(=暴れなくちゃというかんじらしい)って気になるの」と。後で聞いた話によると、ノエルはドラム・セットに倒れこんだらしい。生前カートがかましていたような、派手なドラムへのダイヴほどではないだろうけれど。そこで、1時間弱のダモーン単独ライヴは無事終わった。 初めて訪れた日本でのライヴ。何千という人を前にした大きな会場でのライヴの経験が浅く、未知の国でデビュー間もない彼らは、緊張と不安が大きかったようだ。でも「日本のオーディエンスは盛り上がってサポートしてくれて、みんな温かい」とノエル。確かに、NKホールではサム目当てのファンも多いに盛り上がっていた。昨日より今日、今日より明日。ダモーンはそうやってライヴを重ねていく毎に力をつけていく、まだまだ成長中のバンドなのだ。 今年の夏はWarped Tourへの参戦も決定しているダモーン。かといって、ダモーンはポップ・パンクの括りではない。懐かしくなるようなちょっと古っぽいメロディと、甘酸っぱい青春だぁ!みたいな歌詞、それをポップ+パンク+ロックでミックスさせたサウンドに乗せたいわゆるパワー・ポップ。ダモーンの曲は、聴いている人を圧倒しのめり込ませるパワーを持っている。一度聴いたら癖になる。ものすごく元気にもなれるし、センチメンタルに浸れたりもする。ぜひ、CDショップで試聴機に入っているのを見つけたら、一聴してみていただきたい。どれもこれも秀逸。何よりもノエルのぶっきらぼうな感じもありながら、キュートであどけなく18歳の普通の女の子が感情をそのまま剥き出しにして歌い上げている感じのヴォーカルが、ちょっと素人っぽくてカワイイ。ぜひ、サムのライヴで見たけどまだチェックしていない人、まだ知らない人はもちろん、ウィーザーで胸がキュン、泣けちゃうよって人、ダモーンをお試しあれ。 -- set list --
YOU AND I report by ali. |
Dmone : http://www.damone.net/ |
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