MO'SOME TONEBENDER @ Shinjuku Liquidroom (17th May '03) ロックンロールの先へ
全ての演奏が終わって、客電がついたあとにもう一度拍手が起こった。あまりのすごさに、何かをせずにはいられなかった、というような光景だった。またこの日も、一歩一歩階段を登っていくように成長していくこのバンドを観ることが出来たことに感謝の気持ちで一杯になる。
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この日はまず"GREENS"から始まった。RIDEを思わせるようなギターの轟音に、深いリバーブがかかった歌声が乗る新曲だ。バンドの音で空気を塗り替えてしまうような、ライヴの始まりには相応しい。次の"モダンラヴァーズボレロ"はGOO期のソニックユースを思わせる激しさで早くもお客さんたちを踊らせる。明るいメロディを持つ"idiot"や反対に不穏な"FREEZE"も、単に明るいとかおどろおどろしいのではなく、明るさの中での不安とか、不穏なものを吐き出すことによって得られる爽快さがあって、いろんなタイプの曲がモーサムトーンベンダーというフィルターを通して現れていく。そして"未来は今""HigH""echo"と続けて、どれもライヴの後半に持ってきて盛り上げる曲を惜し気もなく前半にどんどん投入する。これは、彼らの自信の現れなんだろう。
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中盤は、しばらく抑え気味でサイケデリックな面を見せる。ベースの武井がトランペットを吹き、ドラムの藤田がシンバルを持って歩いて投げては拾い、投げては拾いを繰り返しながらステージを一周するという不思議なシーンもあった。
後半はロックンロール攻めで、フリクションの"BIG-S"、デッド・ケネディースの"CALIFORNIA.ARMY"とカヴァーを2連発。重い演奏と百々の絶叫が交差する"カム"、ギクシャクしながら突っ走る"壊れてるよ"、3人の音の塊をぶつける"DAWN ROCK"、「凡人のロックンロールにはもうウンザリなんだ」と言い放つ"凡人のロックンロール"と息をつかせぬ展開で本編が終わった。
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そしてアンコールは・・・って何気なく書いて思ったのだけど、このバンドは今まで滅多にアンコールに応えることはなかったはずだ。それがごく自然に登場してきたのだ。"DUMDUM PARTY"は百々が狂ったように歌い始め、途中穏やかなハーモニーを聞かせて、再び狂気の世界に帰っていくような曲。ジェットコースターに乗っているような痺れる感覚のまま"冷たいコード"に突入する。この疾走感はたまらない。ロックンロールの限界に挑む凄まじさを観るたびに体感できるのだ。こんなにワクワクさせるバンドは他にない。
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終わって総勢7名で居酒屋で飲み。そこでの話題の中心はベースの武井のことだった。去年のフジロックのカウボーイハットに短パン、年末のリキッドルームのツッパリハイスクールロックンロール風などさまざま笑いを提供してくれるのだが、今回も"壊れてるよ"でダンス、"DUMDUM PARTY"で腰を振り、"CALIFORNIA.ARMY"ではリードヴォーカルを取り、"冷たいコード"でトランペット吹き、最後はダンディ坂野風にゲッツ!!と武井ワールドを堪能させてもらった。
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-- setlist -- 1.GREENS / 2.モダンラヴァーズボレロ / 3.idiot / 4.FREEZE / 5.未来は今 / 6.HigH / 7.echo / 8.天井の低い部屋 / 9.ヒトリカタリ / 10.HIPHOP / 11.ジュピター / 12.黒になれ / 13.PANIC ROOM / 14.BIG-S / 15.CALIFORNIA.ARMY / 16.カム / 17.壊れてるよ / 18.DAWN ROCK / 19.凡人のロックンロール
-- encore --
DUMDUM PARTY / 冷たいコード report by nob and photo by saya38
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