buttonBeck @ 東京ベイNKホール (29th March. '03)

小宇宙のプロデューサー !?
 翌日(31日)にリキッドルームで異例のアコースティック・ソロ・ライブを控えた ベックが、どうやってバンド編成の本日を料理してくるか....。そんなことを考えて いた客も多かっただろう本日の東京初日公演。ファンの気持ちを見透かしたようにま ずはなんとアコギの弾き語りから始まった。

 リキッドのリハーサルの意図もあったのか、それともその日には来れないファンの ためのサービスといった意味合いも含んでいたのか。とにかくピンスポットで椅子に 腰掛けたベック当人だけが浮かび上がった暗闇のステージ、ちょっとした意外性とい う点も含めてこういう静穏な始まり方も悪くない。

 音楽性は全然違うがその構図がなんとなく声量のあるロン・セクスミスあたりを勝 手に彷彿としていた4曲目あたり。ワンコーラスが終わったくらいの"Golden Age"で 不意をついて突然どこからかドラムが滑り込んでくる。一瞬遅れて派手に照明が灯 り、同時にいつの間にかステージに上がっていたバンドメンバー全体での演奏に切り 替わる。その演出と、腹に響く低音の登場に一気に沸く観客。ヤラレタ。手法として はそう珍しくも無いやり方だが、アコギの世界観に浸りきっていたあたりの油断を見 事につかれた。

 演出といえば、今回のステージ・プロデュースはベック当人も関わっているのだろ うか。そう思ったのは中盤以降、バックドロップに巨大なスクリーンが登場したから だ。カラフルで不思議な映像が映し出された。それは時にビルの夜景を想起させるよ うな四角ばった幾何学模様だったり、あるいは単なる染みのような原色の色彩が徐々 に拡がっていったり。モンドリアンやポロックの絵画みたい。ベック本人が企画した 趣向だとすれば、この抽象画はもちろん曲に対するひとつのイメージであろう。この 世界を共有できるか、という問いを突きつけられた気がした。

 そして終盤、ついにいつものヘッポコ・ダンスが繰り出され始める。ひとしきり 踊った後にジャケットを脱ぎ捨て、背中を向けた仁王立ちのまま人差し指を天に突き 刺すベック。黒一色に銀ラメが星のごとく散りばめられたステージは小宇宙のよう で、その中に今夜の主役が真っ白い衣装で佇む。銀河に浮かぶスーパースター。全然 リアルタイムではない世代なので想像の世界だが、『ジギー・スターダスト』や『ア ラジン・セイン』の頃のデビッド・ボウイってこんな印象のライブやったのかな。と どめはすっかり定番、"Sexx Laws"。管楽器が入っていないアレンジにもお構いな し、スタンディング・フロアはとっくの間に沸騰し、すでに立ち上がった二階席の観 客も両手を振り回して喝采をあげる。

 ベックは本当に現代において稀有なミュージシャンだ。あらゆるミュージシャンか らの影響を消化・再構築している一方でどこにも属していない。レイジやニルヴァー ナに続々とフォロワーが登場しても(否定的な意味だけではなくて。念のため)、ポ スト・ベックといった存在はなかなか現れにくい。つまりは彼の創る音楽があまりに もオリジナルだということだ。代わりはいない。だからこそファンは彼に夢中にな る。

 けど、アンコール1曲だけはちょっと寂しいじゃない。それに、客電がついたら さっさとハケちゃうお客さんもお客さんじゃない。"Devils Haircut"聴ければそれで 満足じゃないでしょ? 退場誘導アナウンスに相当数が不満気なため息もついていた でしょ? だったら皆に合わせて右向け右じゃなくて、自分の基準でミュージシャン の演奏をちゃんと評価してあげたらどうかなあ。アンコールって単に「長めの休憩 とった後の演奏」や「予定調和の儀式」じゃあないと思うんだけどなあ。何度でも呼 び戻そうよ。いいショウを観せてくれたんだったら。もっと観たいと思ったんだった ら。

セットリスト(原文のまま)

Acoustic
Golden Age
Lazy Flies
New Pollution
Puressure Zone
Hot Wax
Broken Train
Paper Tiger
All in Your Mind
Lost Cause
End of The Day
Lonsome Tears
Sunday Sun
Loser
Milk & Honey
Novacane
Nicotine & Gravy
Thunder Peel
Sexx laws
Where Its At
Devils Haircut

report by joe

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