John Squire @ Shinsaibashi Quattro (19th Feb '03)静かなる再出発
| ここしばらくのジョン・スクワイアを見ていると、私の頭の中に思わず浮かんでくる人がいる。バーナード・バトラー、suedeの元ギタリストだ。ジョン・スクワイアはイアン・ブラウンと、バーナード・バトラーはブレット・アンダーソンという盟友との決定的な決別をし、脱退。両者ともバンドのキーパーソンであったことが逆に「重圧」とか「エゴ」「ワンマン」的な存在となり、結果的にバンドとして機能しなくなった一因となった。その後、一時The Verveにギタリストとして迎えられるという案が浮上も、もうそのすでに出来上がっている「らしさ」が結局はThe Verveには生かせなかったというところまで同じ道を辿ってきている。その後、バンドという形態で再開するも長くは続かず、最終的にたどり着いたのは「信じられるものは自分自身のみ」ということなのだろうか。原点への回帰を目指すかのように確実に音を奏でていく。そして、意外にこの人の声は渋い。歌えるではないか。
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どんな風に登場し、
どんな風にオーディエンスに迎えられ、
どんなギターを抱え、
どんな人達と、
どんなライブを…
The Stone Rosesのギタリストであったということよりも、John Squireという一
アーティストのライブに興味がわいて仕方がなかった。会場にはまさにローゼズ世代
といった感じの男のお客さんがとにかく多い。ぎりぎりローゼズ世代ではない私に
とっては予想できなかったことで少し異様な空気にも思われた。 |
| 開演前の入念なサウンドチェックまでのステージには一つ足りないものがあった。ジョンのギターだ。レスポールを持ったスタッフが登場するだけでおおお…というドスのきいたざわめきが会場を包む。早くもこの日の期待の高さを感じる。特に愛想を振りまくことなくステージに現れたジョンは、あいかわらずうっとうしそうな前髪をしていて、あいかわらすなで肩というか猫背というかうつむき加減で弾き始めるのはなんと"Driving South"!!オーディエンスの興奮とは裏腹に、淡々とMCもほとんどなく進んでいったライブ。"Welcome to Osaka!"という男性の声に"Thank You"と、この日初めて見せた笑顔が少し照れ臭そうだったというのがいかにも「らしい」
というか何というか。オーディエンスの熱さを感じ取ったのか、この日のライブが納得のいく流れに乗っていったのか、だんだんとご機嫌になっていく楽しそうなジョンがいた。
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| ステージ中央のマイクの前に立つジョンに最初は違和感を覚えたが、ライブが始まると意外に悪くない。あごを突き上げオーディエンスを見下ろす感じで歌う姿もなかなかのものだ。自分のために書かれたアルバムの曲では、改めてソングライティングにおけるアイデアの豊富さを感じさせられた。ギターとベース、ドラムの複雑なリズムにねっとりとした声が絡み合う"Welcome To The Valley"は、ライブでの再現は完璧。ジョン・スクワイアのソロという形ではあっても、やるからには完璧であることが鉄則。ジョンの他にもうひとりのギター、ベース、ドラム、キーボードという5人編成でそれぞれが目でコンタクトを取ってプレイしている姿はどこまでもバンドマンだった。
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しかし、ジョン・スクワイアから"Time Changes Everything"とか"I Miss You","15Days"とかいう言葉が出てくるとは思わなかった。こんなにも正直な人だったのか。そして惜しげもなく披露されたThe Stone Rosesのナンバー…"Made Of Stone"" She Bangs The Drums","Water Fall","Tightrope"“Fools Gold"…。この日ジョンが使っていたのはレスポールの他に2本のギター。いずれも塗装がかなり剥げ落ちていて「あの時」からの時間を感じさせる。しかし全く色褪せることのないジョンのプレイ。ジョンの一挙手一投足に見入り、ジョンのギターソロともなれば男性のファンからの熱い声援(ここにいるのは10代のアイドルなんかじゃないぞと思うほどの)が上がる。ギタリストとしての評価が高く、そこにこそ最大の魅力を感じている男性のファンの多さを目の当たりにした。もしかしたらThe Stone Rosesへのイアン・ブラウンへの未練や影、悲劇のヒーロー、ジョン・スクワイアを求めていた人もいたかもしれない。今回のアルバムも返事のないラブレター的に捉えた人もいたかもしれない。だが、残念なことにというかそんなある種の期待をあっさり裏切っていて、今の自分におかれている状況を楽しんでいるかのようでもあった。ジョン・スクワイア「らしさ」とはこういうものだったのかと後で思い出し笑いをしてしまう、そんなライブだった。 |
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そしてここにもジョー・ストラマーを慕うジョン・スクワイアの姿があった。それにしてもジョー・ストラマーという人はどれだけの人にどれだけの影響を与えてきて、今もなおどれだけの人にどれだけの影響を与え続けているのだろうか…。
ステージを去っていくメンバーを背に、最後まで手を伸ばすオーディエンスに端から端まで歩み寄って笑顔で握手をしたり、タッチしたりとジョンが私たちとの距離を縮めてくれた。やっとこれからが本当の出発なのかもしれない。どれだけの遠回りをしても、自分の思うように進んでいってほしい。さらにジョン・スクワイアという人間をさらに突き詰めてほしい。不器用であってもいい。そういう姿勢こそがジョン・スクワイアという人なんだから。そして私はそんなジョン・スクワイアをこれからも見続けていきたい。 report by kuniko and photo by ikesan |
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