だが、ライブも中盤を過ぎる頃に徐々に様子は変わっていった。そう、彼らは暗黒の世界に背を向けたわけでも、黒魔術を封印したわけでもなかったのだ。後から考えてみれば当たり前の話だが、ミュージシャンがどんなに音楽性を変えてみたところで、過去の作品やシチュエーションをすべて捨て去る事など出来るわけがないし、その事にあまり意味はない。あのデビット・ボウイでさえ「もう二度と過去の楽曲はやらない。」と宣言したが、"Ziggy Stardust"をその後、二回ライブで聴いた。大事なのは今までに築き上げたものと向き合う事をおろそかにする事なく、アートをする衝動に誠実に応じるという事なのだ。
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そして彼らはDeath In Vegasだった。甘かった。前半のアップテンポの楽曲を、笑顔すら浮かべて演奏する彼らに油断していたわけではないが「Flying」、「Drige」と"Contino Sessions"のとびきりのダークナンバーを立て続けに繰り出され、ものの見事に闇の次元回廊に引きずり込まれてしまった。さらに"Scorpio Rising"No,1幻覚ソング「Help Yourself」でとどめを刺されれば呆然と立ちつくす事しか出来ない。彼らが引き上げるのを目で追うが現実感に欠ける。
背中に冷たいものを感じながらアンコールを待つ。どのようなエンディングを迎えるのだろうという期待とこの後一体どうなってしまうのだろうという不安を同時に抱える。そしてアンコールの一曲目は、音楽界一ケンカの絶えない兄弟の弟がここ数年で最高のパフォーマンスを示した「Scorpio Rising」。この最新作のタイトルチューンでオーディエンスは何かから解き放たれたようなレスポンスを示し、そのままのハイトーンでもう一度のアンコールを挟みながら一気に駆け抜けた。
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