The Jeevas @ 渋谷AX(14th Jan '03)
- これから始まるんだ -
クリスピアンは60年代風の甘いメロディを持つロックが骨の髄まで大好きなのだと思った。それは始まる前のBGMもそうだし(60年代好きの知り合いのDJによく趣味が似ていた)、アンコールラストでジミ・ヘンドリックスの"Fire"をやったときの生き生きとした様子、これはもう単なる趣味でなくて、クリスピアンのlifeそのものになっているようだった。それなのに古臭く見えないところがクリスピアンのすごさで、ギターの鳴り方がちゃんとマンチェやグランジを踏まえ、ファンキーかつノイジーで、現在のものになっていて、単に昔が懐かしい、昔に憧れている、というものではない。
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ツアーも終わりに近づいてファンにJeevasの曲が浸透してきたのか盛り上がっている。どれも覚えやすいメロディで軽快なものが多い。特に"One Louder"なんか覚えやすいしすぐ反応する。ときには激しいロックンロールをJAMったりしてクリスピアンが伸び伸び演奏を楽しんでいるようだ。クーラ時代の"Grateful When You're Dead"ではフロア全体が爆発して「ぱっ、ぱっ、ぱぁ〜」と大合唱。"Hush"やアンコールでの"Hey Dude"でもお客さんは跳びはね、腕を挙げ、サビを大合唱。そりゃ曲そのものに宿っているマジックだもんな。 |
「シングルのB面の曲をやるよ。BっていうのはBESTのBだよ」というMCから"Stoned Love"。本編最後の"Once Upon A Time In America"では「マイケル・ムーア(?と言ったと思う)とジョー・ストラマーに捧げる」と言って演奏された。フロアの前方は両手を上げて盛り上がる。

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 この前、Judeを観た自分にとっては、偉大なバンドが解散した後はどうなんだ?という共通する興味を持ってJeevasを観たのだった。Judeの浅井健一もクリスピアン・ミルズも前のバンドの中心だったし、どちらも前のバンドの曲を寝かすことなく、演奏しつづけている。そして、どうしても前のバンドと比較されてしまうのだ。前のバンドに思い入れが深い人が多くて、前のバンドの曲を演奏するのに複雑な思いを抱かれがちだ。だけど、Jeevasであれだけ楽しそうにやっているのを見るとクリスピアンが求めていたのはこちらなのかなぁと思う。
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ただ、どうしてもクーラ・シェーカーが大好きで、当時のクーラの壮絶なライヴを体験した者としては、dakさんやIKUYOさんのレポートに共感してしまう。リラックスしてポップだったり、ストレートなロックンロールをやるのもいいんだけど、サイケはどこ行った?インド風味はどこ行った?音楽で別の世界が見えたような気になったヤバさはどこに行った?もっともっと凄いアーティストなんだよ、君は、と思う。
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 ---setlist ---
(原文のまま。303は演奏されず。アンコールの2曲目でHey Dudeが演奏されるなど変更があります)
SPARE RIBS(INTRO) / ONE LOUDER / VIRGINIA / BUFFY / GHOST / YOU'VE GOT MY NUMBER / TEENAGE BREAKDOWN / GRATEFUL WHEN YOU'RE DEAD / WOT IS IT FOR / STONED LOVE / EDGE OF THE WORLD / 303 / SILVER APPLES / HUSH / AMERICA
--- encore ---
SCARY PARENTS / FIRE
report by nob and photo by hanasan.
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Judeは曲のバラエティが広がってブランキー・ジェット・シティとは違う世界を作っているのだけど、ドラムに池畑というギターと喧嘩できる人を迎えたので、ファンが浅井健一に求めているスリルとか何かヤバい感じがそのままだ。Jeevasはクリスピアンの背後にクーラ・シェーカーを見る人が求めるスリルを提供するのか、それとも大らかなアメリカンロックや60年代ロックのメロディの心地よさに向かうバンドになるのか、まだ答えは出ず、ちょうどここが分岐点、というか出発点になるようなライヴだと思う。
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