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自分の全財産と時間をUKロックの新譜チェックに注いでいたと言ってもいい我が高校生時代(暗いなあ)。そんな90年代後半のジャストな時期に華々しくデビューし、初来日のリキッドではサラサラの金髪と派手なステージアクションで強烈な印象を残していったクーラシェイカーは今でも特に思い出深いバンドだ。今回、そのクーラシェイカーの中心人物であったクリスピアン・ミルズが新たに組んだバンド、ジーヴァスの初単独来日公演ということで、懐かしさ半分、新たな期待半分でチッタに足を運んだ。 サングラスをかけて登場したクリスピアン王子は相変わらずのサラサラ金髪でかっこいいが、やっぱりちょっと老けたか。(でも遠目で見ればまだまだいけるぜ!)オープニングナンバーは予想通りアルバム未収録で日本限定でのリリースだったファーストシングル曲、"one louder"。ベースのダンとドラムのアンディの経歴はよく知らないのだが、勢いのある真直ぐで気持ち良いロック・アンサンブルを聴かせてくれて好印象だ。 明るくカラッとした60、70sアメリカンロック的なサウンドでジーヴァス「らしさ」というものがよく出ていると思う"virginia"。そしてスーパーグラスにも通じるようなパンキッシュなサウンドで、やっぱりUKのバンドなんだなと改めて思わされる"you've got my number"と、多彩な曲群で飽きさせないのはやはりさすがクリスピアン王子。作曲センスが光っております。 そして、なんとブチかましてくれたクーラシェイカーのファーストシングル曲、"grateful when you're dead"。以前、フェスで来日したときはクーラ時代の曲も結構やっていたらしいが、ファーストアルバムをリリースした後でもやってくれるとは!ここは素直に高校時代を思い出して懐かしんでおきました。でも、曲のアレンジはそんなに変わっていなかったものの、クーラ時代の性急さが抜けて、なんとなくほのぼのとしたジーヴァス・サウンドに生まれ変わっていた。そのせいなのか、思っていたよりも客の反応が薄い。年齢層から見てもクーラ時代から聴いてたファンが少ないわけではなさそうなのだが。 ここで私は少しあせってしまった。もちろんライブを見に来ているだけの私があせる必要は微塵もないのだが、実はこの日のライブは最初からどうも盛り上がりがいまいちだったのだ。ステージももう中盤を過ぎている。ここでクーラ時代の人気のある曲をブチかましてもフロアの温度が上がらなけりゃ、これからどうすればいいんだと。勝手にそう心配してしまったのである。ここらでバンドの方も「今日は駄目だ。適当に流そう〜」って感じになればこっちもその気で見るのだが、ステージのクリスピアンらは相変わらず派手なアクションをしたり歌の間に「オイッ!」という掛け声かけたりといった具合に全く手を抜いていないので、こっちもどうしても応援モードになってしまうのだ。 更にクーラ時代の名曲、"303"をやっても変わらなかった会場の雰囲気に、こりゃ駄目だと私もさすがに諦めかけた。しかし、次の"silver apples"から様子が変わってきたのだ。アルバムよりもかなり勢いのある演奏にフロアの熱がじわじわと上昇。クリスピアンもそれを感じ取ったのか、観客を煽るようなこれまで以上に力を込めた歌い方に変わってきている。そして、間髪入れずに始めた次の"hush"でついにフロアが弾けた。徐々に盛り上がってきていたところでクーラ時代の持ち歌で人気の高かった初期ディープ・パープルのカバー、"hush"が来るのは抜群のタイミングだった。完全にノリをつかんだ彼らは本編最後となる"once upon a time in america"では、静かなパートでは手拍子、激しいパートではモッシュといった具合に観客から最高の反応を得て見事に素晴らしいライブを成立させてしまったのである。 はっきり言ってクーラシェイカーを体験した私は現在のジーヴァスの音楽に完全には満足していない。フックのあるキャッチーなメロディーを書くセンスは相変わらずだし、バンドサウンドも悪くないのだが、インドかぶれなサイケ感が抜け落ちた今のクリスピアンの楽曲はいい意味での「いかがわしさ」がなくなって面白味が減ってしまっていることは否めないと思う。他の会場でのライブがどうだったかはまだ分からないし、この日の客が静かだっただけかもしれないが、なんとなくノリきれない雰囲気と今のジーバスの音楽性は無関係ではないだろう。もちろんインド趣味をまた前面に押し出せばいいわけではないし、いかがわしければいいわけでもないが、「もう一声!」と思わず言いたくなるのが今のジーバスに対する私の正直な印象だ。もちろん私は彼の才能を信じて惚れ込んでいるからこそ「もう一声!」と言いたくなるのだ。しかし、この日のステージは苦しかったものの先程書いたように後半見事に盛り返してくれた。このような底力のあるところを見せつけられると、その「もう一声」が出てくるのもそう遠いことではないのではないかと期待が高まるのである。 --setlist--
spare ribs(intro) --encore-- edge of the world |
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