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元レイジトム・モレロ(g)、ティム・カマフォード(b)、ブラッド・ウィルク(ds)に、グランジ先駆けの元サウンドガーデンのヴォーカル、クリス・コーネルが加わり始動した、超大物バンドオーディオスレイヴ。元レイジにクリスがヴォーカルとして参加というニュースを知った時は複雑だった。クリスがザックのように歌うのか?それは到底ないだろう。じゃー、どういうバンドになるんだ?で、出たニュースが脱退だ、海外のイベントの出演はキャンセルだ、また再加入だ・・・。だから最初っから上手くいくはずないのにと思いつつも、かなり大きな期待は抱いていた。クリスのソロ・アルバム『Euphoria Morning』で聴かせるしっとり甘い歌声もいいけれど、前のようなパワフルでガナるヴォーカルも聴きたい。今回は後者のヴォーカルが聴けるんじゃないかと。でも複雑なんだ、こういうバンドの誕生って。元々のお互いのバンドがドでかいだけに、新しいバンド、オーディオスレイヴとして世に出てきても、必ず元のバンド名がどこでもついてまわる。ザックの後釜クリスが歌うレイジ・ソングとか、サウンドガーデンの再生なんてかんじのどちらとしても捉えられてしまうことが懸念される。でも、アルバムを聴いて個人的に満足度が高かったのは、非常にクリス・コーネル色の強いものになっているように思えたから。私を含め、クリス・ファンには万々歳のアルバムだと思う。 待望の初来日ライヴは、終始何か煮え切らないものを感じさせるものだった。クリス・(サウンドガーデン)ファンにとっては、この上なく満喫できたものであるだろうし、レイジ・ファンにとっては、不完全燃焼の感じがあったかもしれない。ひょっとすると、今のオルタナティヴ・ロック(USロック)史上久々の強豪モンスター・バンドになるかもしれないし、この一発だけで終わってしまうかもしれない。どちらにしても、Zepp東京という比較的小規模の会場でオーディオスレイヴのライヴを見たというのは、後々スゴイ自慢になるものだろう。個人的には、クリス・コーネルの凄まじいヴォーカルに聞き惚れ、鍛えぬかれた体に釘付けの1時間だった。 BGMはPuddle of Muddの『come clean』。この選曲に、オーディオスレイヴのロック色の強さがうかがえる。多くの人にはそのBGMはどうでもいいようで、場内は待ち切れない人々で騒然としていた。場内暗転と共に湧き上がった歓声とは裏腹に、ずいぶんと落ち着いたかんじでメンバー登場。ステージ真ん中に位置するクリスの余裕たっぷりのスタンディング・ポーズ。後光がさしているというか、ものすごいオーラと貫禄が発せられている。"Light My Way"でライヴはスタート。ゾクゾクっと鳥肌が全身を覆い尽くしていくのがわかる。イントロの重圧感と迫力ある声。そして、"Set It Off"と"Gasoline"へ。どちらも、サビの力強く迫力ある部分では場内の人々は大きく上下に揺れる。レイジのような過激にモッシュの渦とダイヴの嵐にさせるものはないけれど。そこで激しく動くわけでもなく歌い続けるクリスの姿には圧倒される。タンクトップ姿の無駄のない筋肉美。ホレボレ。観客は、ひたすら両手を掲げ音に身を委ね乗るしかない。勢い余ったいくつかのダイヴも見られたけれど、どこかそういったものがこのバンドには不似合いなように思える。 どうしても真ん中にデンとかまえるクリスに視線はくぎ付けなのだけれど、それも致し方ない。王者の貫禄、醸し出す雰囲気が威圧感を放ってる。誰も彼のオーラには太刀打ちできないように思える。激しくガナる時も、静かに歌う時も姿勢は同じく、前を見据えたままか時には下を向いたまま。そして、時にセクシーに艶っぽくメロディをなぞる。あの迫力あるヴォーカルの威力は、腹の底から湧き出てくる。これが、フー・ファイターズのデイヴ・グロールをも魅了したヴォーカルであり、グランジ世代でサウンドガーデンという偉大なバンドに魅せられた人々が口にする「世界で一番セクシーなヴォーカル」なわけだ。デイヴは、ある雑誌のインタビューで「クリス・コーネルみたいに歌えたらいいと思うんだけどね」と言っていたことがある。トム・モレロらも認める「偉大なシンガー」のヴォーカルには、どのバンドも霞んでしまうように思えるのは、クリスの絶世のヴォーカル・テクニックとクールさを支持し、彼に目がハートの個人的なえこひいきに過ぎないけれど。 "What You Are"、"Like A Stone" 、"Show Me How To Live"のように重くのしかかるヘヴィなサウンドと暗く迫る陰の部分。それに重なるクリスの雄たけびが鳥肌もの。"Exploder"や"The Last Remaining Light"、"Hypnotize"での甘く感情どっぷりのヴォーカル。どの曲をとっても、ダイナミックでドラマティック、そしてヘヴィネス充分。新しいロックの誕生を感じさせる。本編ラスト"Show Me How To Live"の最後では、喉を手で小刻みに叩き、CDと同じように声を震わせる。あれ、自分の手でやってたの?と友達が言うのも無理はない。だって、クリスがそんなことをやるとは思えないからね。 アンコール。PVの花火と同じような色の照明での"Cochise"。ここまで来てやっと、このバンドが、両者の良さをミックスさせたことで出来上がったサウンド何も考えず単純にカッコイイものに思えることができた。そして、この曲で場内この日一番の盛り上がりを見ることができた。ラストは"Shadow On The Sun"。クリスが両手を大きく広げてマイクをステージに落とし、ステージは終了した。未収録曲2曲を含む全13曲、1時間余りの実にあっさりしたライヴだった。 オーディオスレイヴの曲はクリス一人では成り立たないように思えるし、トムとティム、ブラッド三位一体のリズムによって、その重厚さやダイナミズムは生み出されているんだろう。クリスにリード権があったように思える今回のアルバムも、次は音がどういう風に変化するのか(しないのか?)、そこは楽しみでもある。今回のライヴで、どうしてもクリス・コーネル対レイジ組の3人が離れて見えてしまったのは、それは元のバンドが私の中を大きく占めているからに違いない。トム・モレロの服装も、クリスの存在感も、観客の「No War」のプラカードも、誰もが内に過去のバンドを引きずったままのような気がする。色々なところで言われているように、新生オーディオスレイヴとして認知されるのは、次のアルバムからになるんじゃないだろうか。 report by ali. |
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