こんなライブは久しぶりに見た。本当に一体感のあるライブとはこういうもののことを言うのだな、と感心させられてしまった。 ブリッツのような2000人近くも収容できるライブハウスでは、後ろの方に行くとドリンクでも飲みながらクールにライブを見ているような人が大半、というのが普通のパターンだ。しかし、この日のライブでは、一番後ろの客まで前列の客と同じように踊り、手を振り上げ、そして叫んでいた。暴れたい人は前へ、というよりも、広いスペースで踊りたい人は後ろへ、といった感じの雰囲気。前も後ろも関係なく、会場全体が同じ空気を共有し、均等な温度で盛り上がっているように感じた。ボーカルのフミオが何度もMCで繰り返していた、「今日は一人残らず楽しんでいって欲しい」という想いが、私の見る限り、しっかりと実現されていたようだった。 |
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![]() 楽しそうな空気に包まれていたのはもちろん観客だけではなかった。むしろステージからフロアにそれは伝染していっていたのではないかと思えるほど、ステージ上のバンドもいい雰囲気だった。フミオは、オープニングナンバーの"rockin'"が終わったときから早くも満面の笑みで、「この感じ、この感じ」と手応えを掴み、嬉しさと興奮を隠しきれない様子だったし、他のメンバーも自分が演奏していないときはすかさず笑顔で客を煽っていた。バンドが標榜するPMA(ポジティブ・メンタル・アティテュード)を正に体現しているようなステージングだ。
この日のフミオのMCは、今までの自分たちの道のりを噛み締めているようなものが多かったが、それは今回のツアーがベストアルバム発売に合わせたものであるからというのもあったのだろう。特に、この日のゲスト、レピッシュはまだバンドが始まったばかりの本当に無名の頃に前座に呼んでくれたので感謝している、といったエピソードは印象に残った。長い年月を経て、またこの二つのバンドが同じステージに立っているという感慨深い事実は、あまりこの二つのバンドを知らない私のような人間でも思わずしみじみしてしまうようないい話だった。そうそう、この日のレピッシュのステージは、ゲストのものとは思えないほどの盛り上がった本当に素晴らしいものだったということも忘れずに付け加えておきたい。 |
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正直、今回のステージを観るまで、私はこのケムリというバンドがPMAという精神を掲げていることについて、あまりピンとこないところがあった。ポジティブに行こうなんて、ただ正論を正面から言っているだけような気がして、このバンド固有のメッセージとして受け止めることができなかったのだ。しかし、実際にライブを体験してみると、このPMAという基本方針がファンの間に浸透し、他にはないピースフルな雰囲気を生み出しているのがすぐに分かる。つまり、このPMAとは決して心がこもってない標語のようなものではなく、バンドと観客の間で血肉化されているリアルなアティテュードである、ということが強く伝わってきたのだ。 |
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![]() report by dak and photo by hanasan. |
会場の隅から隅まで徹底してPMAな空気が支配するケムリのステージ、後ろの方で見ているとステージがどこか他人事のように見える、ある意味で「ゆるい」普通のライブに慣れてしまっている人は一度体験してみるといいかもしれない。 ---setlist--- rockin' |
Official site : http://www.kemuri.com/
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