DONOTS at 原宿アストロホール (15th Dec '02)
-ドイツのパンク・ポップ・バンド、Donots初来日!-
今回レポートするのは、MIDTOWNのライヴにオープニング・アクトとして出演したドイツ出身のパンク・ポップ・バンド、Donots(ドゥノッツ)。大手レコード店で"ドイツのMIDTOWN"というコメントを目にした人もいるだろう。日本では、ヨーロッパのパンク・ポップ・バンドというのはなかなかクローズ・アップされにくい。パンク・バンド(一般的にメロコアやパンク・ポップと呼ばれるもの)で名前が通っているのは、オフスプリングやグリーン・デイ、NOFX、Blink 182などのような年季が入っているバンド。最近のこのジャンルのブームに再び火をつけたのが、SUM 41やニュー・ファウンド・グローリー、シンプル・プランなどなど、やはり英語圏のバンドが多い。そんな中でも、スウェーデン出身のミレンコリンやドイツ出身のジャイガンターは、ある程度名前は定着しているとは思うけれど。そのブームに乗って、日本でもメキメキ芽が出てきているのが、このDonotsなのだ。ぜひこの機会にお見知りおきを。
まだ日本ではあまり知られていないので、簡単なバイオをご紹介。1994年に、インゴ(Vo)、その兄弟のギド(G)とジャン・ダーク(B)がガレージのようなところで小さなライヴを行ったことからバンドはスタート。1995年にエイクがドラマーとして加入し、それに続いてギタリストとしてアレックスを迎え、Donotsという名のもとにこの5人で正式にバンド活動を始めた。アルバムは、すでにドイツでGUN/Supersonicレーベルから3枚リリースされている。ツアーを年間100本以上こなすライヴ三昧のバンドなのだ。オフスプリングのドイツ・ツアーのオープニング・アクトだってやってるし、Blink 182やラグワゴン、No Use For A Nameなどの、日本でも人気のあるバンドとの競演も果たしてる。特にここ何年かはミレンコリンとのツアー同行が多い。実はヨーロッパでは結構人気のあるバンドなのだ。ここまででちょっとでも興味を持った人は、彼らのオフィシャル・ホームページwww.donots.comに行って、Rock Am See2002(ほかNickelback、Puddle of Mudd、NOFXも出演していたドイツの野外フェス)の映像をチェックしてみてほしい。ものすごい人数の観客がエキサイティングしている、鳥肌もののライヴ映像を見ることができる。これは、ほんとにスゴイ!
で、肝心のDonotsの初来日ライヴがどうだったか。彼らがステージに現れた瞬間、最前まで突進。待望のライヴが見られるということで、私の胸は期待ではちきれそうだった。ライヴは日本で発売されている唯一のアルバム『Amplify The Good Times』がメインのラインナップ。”1-2,1-2-3-Go!”のインゴのシャウトで、1曲目”My Stereo’s A Liar”がスタート。始まりと同時に、男の子たちはモッシュで激しくぶつかり合い、前方に詰め掛けた女の子たちもガンガンにヘッド・バッキングで、見ている人たちのテンションが高いのなんのって。久々のスタンディング・ライヴで、初っ端から楽しくて汗まみれ。ステージ上の彼らも一気に汗だく。さすがライヴを数多くこなすバンドなだけあって、演奏もバッチリ、観客の掴みもガッチリ。そこから”Rollarcoaster”とポップなナンバーに流れたもんだから、観客のテンションもそのまま継続。多いに盛り上がるそんな観客を見ているステージ上のメンバーみんなの笑顔が温かくて、それを見て、やっと実現したDonotsライヴ初体験に感極まって涙が出そう(大げさ)だし、楽しくて頭が空になって笑っちゃって顔の筋肉が痛くなっちゃうし。インゴは狭いステージ上で飛んで跳ねてキックして、恐らく、母国でやるライヴと同じ状態のテンションでやっているんだろう。途中、観客に向かって、ダイヴ!そうかと思うと、落ち着いているアレックスやジャン・ダークは狂喜乱舞している観客に優しい笑顔を振り撒く。ギドは始終落ち着かず、左へ右へステージ最前ギリギリまで来てギンギンのギター・アプローチ。やっと見えたドラムのエイクは、サラサラの髪を振り乱し、力強くスピード感あるドラムのビートを叩きまくる。みんなカッコイイよ。
ミディアム・テンポの”Big Mouth”はキャッチーなメロディとコーラスが、すぐに覚えられて口ずさめる、正にみんなで一緒に歌おう!な曲。私はこの曲が一番好き!Donotsのキュートな面がメロディにすごく表れていて、これは名曲だ!と言い切れる。インゴの"ジャンプして!"の言葉に、みんな激しくジャンプで応戦。思わず隣の人と微笑み合いたくなるような、ポップなメロディとリズム。初めて聴いた、セカンド・アルバム『Pocketrock』からの”Super Hero”と”Today”は、弾けてたて乗りガンガンな曲、それでいてメロディアス。いい曲作るなー、Donots・・・なんて感心してしまう。
そうだ、忘れちゃいけない、MIDTOWNとDonotsの繋がりを。ライヴでもやった”Up Song”は、アルバム『Amplify The Good Times』に収録されているんだけど、その曲にレコーディング中に遊びに来たMIDTOWNのメンバーがバック・ヴォーカル(と言い切ってしまって良いかわからないけれど)で参加している。MIDTOWNのアルバム『Living Well Is The Best Revenge』にも、Special ThanksでDonotsの名前入り。ニュージャージーのMIDTOWNとドイツのDonotsの微笑ましい交友関係。この”UpSong”も、飛ばずにいられない、爽快さ満点、ものすごく元気を与えてくれる曲。「ウォウ、ウォウ、ウォーウ」のコーラスや「レッツゴー!」とシャウトする部分は、叫ばずにいられないでしょう。そして、ラストは、滑らかなギターのフレーズで始まる、これまたジャンピング・ソングの”Saccarine Smile”。またしても、モッシュが一段と激しく盛り上がりは絶頂。インゴは小さく手を合わせ、メンバー全員満面の笑みでステージを去っていった。
Donotsの曲はシンプルでキャッチーなメロディラインのものばかり。ぜひ、もしどこかのレコード店で試聴機に入っていたら、ボリュームを最大にして聴いてみてほしい。そのままCDを手にレジへと直行するでしょう。今時のパンク・ポップが好きな人には確実に受け入れられるはずだろうし、シンプルなパンク・ポップなので、どんな人でも楽しめる、必ず琴線に触れるメロディ満載のアルバムは大推薦。メンバーが大好きなバンドがFoo Fighters、Green Day、Face To Face、Bad Religionなどで、こういったバンドからソングライティング面では大きな影響を受けているらしい。上記のバンドが好きな人も要チェック! 聴いていて飽きたり、どこかと同じような曲調だったら推薦なんてしませんよ。いいアルバムだからこそ、多くの人に聴いてほしいし、すごくいいバンドだからDonotsの名前をたくさんの人に知ってもらいたい。で、また日本で彼らのライヴが見たいっ!
-Set List-
MY STEREO’S A LIAR
ROLLERCOASTER
BIG MOUTH
SUPER HERO
UP SONG
TODAY
SACCARINE SMILE
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