Electraglide 2002 at Makuhari Messe (13th Dec '02)
--エレクトラグライドでの4人の話--【Nの場合】
ロッカーに荷物を入れ、「取りあえず飲もうか」と友人たちとクインシーバの屋台へ直行。珍しくオーナーのソロモンが働いている。ビールを買いDJフロアへ。TIM DELUXEが回している。
「うぉぉーーつ、ハウスだねぇ」
「スゲー楽しい!」
|
|
と友人は走って行ってしまった。周りを見回すと、飛び跳ねながらDJブースを目指している人たちがいる。その顔が嬉しそうだ。milkの屋台の女の子も踊っている。
TIM DELUXEは四つ打ちのハウスを基本にいろんな上モノをどんどん乗せていく。70年代のキング・クリムゾンを回していたような気がする。友人からクラフトワークが30分遅れで始まるというメールが来たのでX-PRESS 2の交代までDJフロアに居られることに。TIM DELUXEからX-PRESS 2に代わるときに、ちょっと機材トラブルみたいなのがあって、交代に手間取ったみたいだった。
「なんか音が小さいな。このまま行くのかな」
「おれ、クラフトワーク行ってくるから、また後で」
|
クラフトワークには人が集まっていた。さすがに年齢層は高そう。
「シンシシュクジョノミナサマ13ディッセンバー・フライデー ノ エレクトラグライド ヲ オタノシミクダサイ」とボコーダー音がして幕が開くと4つのロボットが!違った、おっさんが!つっ立ったままノートパソコンを操作している。そこから背後のスクリーンに映像が映し出され、クラフトワークのテクノで懐かしい世界が繰り広げられる。4曲目には早くも"POCKET CALCULATOR"〜"電卓"。自分はこのために家から電卓を持って来て片手に踊る。だけど、周りを見回すと誰も電卓を持ってない、というか、あまり踊っていない。じっとして聴くものでもないような気がするんだけど。
最新シングル"EXPO 2000"では、スクリーンに3Dホログラムみたいな映像が。"THE MAN MACHINE"では「MACHINE」という文字が並ぶ1930年代のバウハウスみたいだ。
|
"THE ROBOTS"ではロボットは登場しなかったけどスクリーンに例のロボットが映し出される。"TOUR DE FRANCE"のときはツール・ド・フランスの映像が流れ、"AUTOBAHN"では高速道路が、"THE MODEL"ではモデルが、"TRANS EUROPE EXPRESS"では旧型のTEEが映し出される。どれも実写映像は60年代のもので、レトロな感じがする。シンプルで凝りすぎずいい感じ。
|
 |
ギクリとしたのは"RADIOACTIVITY"で放射能の人体に対する悪影響がスクリーン上で述べられ、チェルノブイリや広島などの放射能汚染を受けた場所が歌われ、サビは「STOP!RADIOACTIVITY」だ。この無表情に歌われる放射能は、アコースティックギターで感情込めて歌われるよりも放射能の怖さが伝わってくる。だって英語とはいえスクリーンにでっかく「癌になる」とあるんだから不気味なことこの上ない。浜岡原発で働いている友人は元気かな。
ちょっと時代は違うけど、3年前行ったTGVとかユーロスターが並ぶパリ北駅を思い出した"TRANS EUROPE EXPRESS"からメドレーで"METAL ON METAL"の冷ややかな感じにヤラれた。今までのすべてのテクノのお祖父さんに当たるのはもちろんのこと、これを聴いた黒人がヒップホップを始めたのだから、今の音楽に与える影響は計り知れないものがある。それにしてもアレンジも音色も昔のまま。新しいことは一切なし。でも、これはBBキングにライトハンド奏法を求める人は誰もいないように、クラフトワークもこれでいいのだ。アンコールは「ボイン、ブンチャッチャ、ボイン、ブンチャッチャ」というかけ声から"MUSIC NON STOP"。一人ずつ去って行き誰もいなくなっても音楽が鳴り続けて幕。「いいものを見せてもらった」という余韻が残った。
|
report by nob and photos by hanasan & Yuki Kuroyanagi
|
|
|