RAGING SPEEDHORN at Shinsaibashi Quattro(6th Dec '02)
「買い物に出たら、リンキン・ローチ・ビズキット(笑)だか何だかアメリカものがいろいろ出てたよ」「ロスト・プロフェッツなんてBBCラジオでアコースティック・ライヴって、何がヘヴィ・ロックだよ」等々、とにかくその発言は英米問わず人気の他のへヴィ・ロック勢など眼中にないも同然のレイジング・スピードホーン。
そんな彼らを初体験したのは昨年4月。エイメンの前座として全く予備知識なしの遭遇だったが、曲の云々以前に超重量音と共に嘔吐される怒涛のツイン・ヴォーカルにただ圧倒されるばかりだった。だが、この夏に出た最新作「ウィ・ウィル・ビー・デッド・トゥモロウ」では、1曲目から、マリマンがやってもおかしくないようなフレーズが爆走モードでグイグイ迫る。轟音の塊からくっきりと描き出されたロックン・ロールのカッコよさ!
よっしゃあ、これなら私もOKだ。
と気合いで乗り込んだものの、いざ入場してみるとこの眼を疑うほどお客の入りは少ない。おいおい、これじゃダイヴもできないぞ。4度目の来日にして初の単独公演というのに寂しすぎる。いやいや、逆にこれなら危なくはない。開き直ってステージ最前を目指す。ステージを彩るものと言えば、ドラム・セットの背後に掲げられた真っ赤な布のみ。黒字で描かれたバンド・ロゴが鮮やかだ。
前座のPALMで轟音耳鳴らしを終えて、午後8時、いよいよレイジングのメンバーが登場。開口一番の絶叫に続いて"THE HATE SONG"の爆走挨拶だ。右手には赤シャツで
ほとんどずり落ちそうにパンツをはいたフランク、左手にセキュリティ、いや応援団長のジョン。2人の巨漢が交錯する絶叫ヴォーカルもすごいが、何よりそれを支える重量音!間近で聴くと思考回路なんぞふっ飛びそうだ。
アー・ユー・レディ・トゥ・ファッキン・ロ〜〜ック?
答えはもちろん、イエ〜〜ッ!
ダイヴはなくとも、思いっきりヘッド・バンギングやら拳振り上げての応戦が続く。「昨日のトウキョウよりもずっとクレイジーだよ」とお褒めの言葉を頂戴した後は、さらにロックン・ロールな"CHRONIC YOUTH" へ突入。そうそう、彼らは音表面の轟音度以上に、この問答無用な走りっぷりがいいのだ。その熱に次第に煽られてか、ガラガラだったはずのフロア前方はいつしかダイバー続出。落ちてくる野郎を支えては逃がす作業にスタッフも大わらわだ。終盤、「今夜が今年最後のギグで、終わったらわが家に帰ってクリスマスさ」の説明に、ドラムのゴードンが鼻歌でクリスマス・ソングを歌ったかと思うと、次の瞬間には高速リフに乗って2人の嘔吐絶叫。ごく普通の兄ちゃん達が突如轟音野獣と化す。そのギャップを笑うヒマもないスピードでたたみかけてくるのは、大好きな"FUCK THE VOODOOMAN"だ。こっちの汗だく揺れももう最高潮!
一息つくと「照明を落としてくれよ」の声と共に、暗い場内が赤いライトのみに染まる。始まったのは"HEARTBREAKER"。彼らには珍しいスローなナンバーながら、70年代ハード・ロックで育った耳には、当時グランド・ファンクがやっていた同名異曲が甦る。案外彼らの根っこはクラッシック・ロックなのかも。"SCRAPING THE RESIN" で再度加速し、
真っ赤に燃え尽きた本編に続いて、アンコールではブラック・フラッグの大爆走カバー"MY WAR" も。そして、メンバーが引き上げた後は、ギターのブォ〜〜ンという音だけが延々と響き続ける。そんなエンディングは珍しくもないが、彼らの場合は「怒れる警笛」
というバンド名と見事なまでに合致していた。これからも彼らは氾濫する轟音バンドに向かって警笛を鳴らし続けるだろう。そう、俺達こそが真にヘヴィなロックをやっているのだと。
--- set list ---
1.THE HATE SONG
2.SUPERSCUD
3.HIGH WHORE
4.ME AND YOU MAN
5.WELCOME TO SHITVILLE
6.MANDAN
7.CHRONIC YOUTH
8.IRON COBRA
9.DUNGEON WHIPPET
10.THE GUSH
11.SPITTING BLOOD
12.THUMPER
13.FUCK THE VOODOOMAN
14.HEARTBREAKER
15.SCRAPING THE RESIN
---ENCORE ---
16.MY WAR
17.RANDOM ACTS OF VIOLENCE
report by ikuyo.
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