buttonUnderworld at Makuhari Messe (25th Oct '02)

君が光を運んでくる

Underworld
 デカイ会場で万単位のお客さんが集まるイベントでは、どこで観ていたかが結構重要だと思う。ステージ前は人口密度が高くて思いっきり踊れないし、ステージから離れると音が小さくなって迫力がなくなる。他の人に迷惑をかけなければ何をしてもいいし、こんなときは他人を気にせずに盛り上がってしまった方が勝ちなのであるけれども、やはり周りに気持ちよく踊っている人が一杯いた方がいい。そういう意味では、自分がいたステージ左側のスピーカー中間からやや前方というあたりのポジションは踊るスペースもあって最高だった。実は、初めは後ろの方で観ていようかと思っていたのだけど、同行者に「もっと前で観ないと音が小さい」と言われて、前の方に行くとなるほど迫力が違う。これで印象が変わるくらいである。
 18:30ころに幕張メッセに着いたときはすでに大勢の人がダレン・プライスのDJで踊っていた。来ているお客さんは、ギャル・ギャルオ、オタク、普通のカップル、会社帰りのネクタイ姿、車椅子で来ている人もいたし、小さい子供を連れてきた親もいる。これだけの規模の会場だと本当にいろんな人が来る。

Richie Howtin
Richie Howtin

 しばらくしてDJはリッチー・ホウティンに交代する。おととしのエレクトラグライドで、1時間くらいずっと同じフレーズを繰り返すというミニマル地獄の凄まじさを見せつけたのだけれど、今回はダレンのあとということもあって、アンダーワールドの"Moaner"をちょっとだけサンプリングしたのでループを作ったり、コスリを入れたり、軽快な上物を4つ打ちに乗せたり、ブレイクを作ってお客さんをアゲさせることに徹した、まるでエンターテイメントというか「楽しいリッチー・ホウティン」という自分には意外な展開が嬉しかった。3回しか観ていないんだけど、こんなに柔軟に対応できる人とは。奥が深いな。
Underworld
 そして、30分くらい再びダレン・プライスのDJをはさんで、みんなが待っていたアンダーワールド。凄い歓声。カール・ハイドが手を叩いて煽りまくり、1万数千人の手拍子が幕張メッセに響き渡る。"Dark Train"で始まり、いきなり2曲目に最初のピークポイントと言える"Cowgirl"そして"Rez"!あのシンセ音が聴こえて来たときには狂喜乱舞。
ブレイクで手を挙げ、キックにあわせて体を動かす。"Two Months Off"でカール・ハイドが歌う「君が光を運んでくる」という言葉にふさわしく、カラフルな照明がステージやフロアを駆け巡る。アンダーワールドの売りのひとつであるスクリーンに映し出される映像が今回は今ひとつだったけども。
 ステージの2人は対照的でリック・スミスは大人しく機材をいじる係で、カール・ハイドが煽り役はいつも通り。手を叩き、腕を振り回してお客さんを乗せたり、ギターを弾いたりする。何よりも、ステージ前方に出てきて踊りまくる。そのクネクネぶりが40半ばのおじさんなんだけども、とてもキュートだ。ブランアン・フェリー、モリッシーに続くイギリスの踊るクネクネ男の系譜を受け継いでいるのではないかと思わせる。そんなカールが感極まって「ファンタスティック!」と叫んでいたのが印象的。
 "King of Snake"ではレーザーが縦横無尽に動きまくり激しいビートとシンクロしていた。"Dirty Epic"や"Mo Move"が中間の箸休め的な曲で座り込む人もいたけど、足を止めない人も多い。アンダーワールドはこういうじんわりとした曲で聴かすことも出来るし、踊らすことも出来るし、休ませることも出来る。

Richie Howtin
 
Richie Howtin
 
Richie Howtin

 
 そして、一転して"Born Slippy(nuxx)"!!これは休んでいた人も跳ね起きて踊りまくる。あの「タンタンタンタン・・・」というフレーズが聞こえてきたときに挙げられた腕!喜びが爆発したようなフロアをライトが明るく照らす。隣の人の笑顔が見える。「君が光を運んでくる」の「君」とは隣にいるお客さん一人一人なんだということ。
アンダーワールドは大勢の人と喜びを分かち合うこと、自分達はその仲介役に過ぎない、ということを伝えたかったんじゃないか。この曲の音、光、フロアのお客さんは最高だった。

 再びじんわりと踊らす曲"Jumbo"、そして激しい"Dinosaur Adventure 3D"で終了。カールとリックが抱き合って喜んでこれで終わりかな、と思っていたらアンコールに促されて2人が戻り"Moaner"。強烈にアゲまくって去っていった。キラキラとした音と光、それは確かにアーティストのものだけど、それを運んでくるのはフロアの一人一人である。幸せな気分にしてくれる。

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「"King of Snake"のレーザーにやられた。"Born Slippy"より良かった。映像は具体的なものが減って、抽象的なものになった」(hideto)
「"Cowgirl"〜"Rez"の流れが良かった。リッチーも良かった」(マーブル)
「リッチーはもっとディープかと思った。5回観たけど、5回とも違うのが凄い。アンダーワールドのファン向けに考えたんじゃない?」(たけちゃん)
「初めて観た。アルバムで聴くより、テクノ色が強くて踊れて気持ちよかった」(ピ エール)
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