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タクシーライドの3人、ジェイソン、ティム(ワトソン)とティム(ワイルド)は、20曲通してCDと変わらないままの美しいハーモニーを聴かせてくれた。デビュー・シングルの"Get Set"では、それぞれのヴォーカルが一つずつ重なっていき出来上がっていく見事なハーモニーが印象的で、それは本当に衝撃的なデビューだった。デビュー・アルバム『イマジネイト』からかなりの時間を置いて"Creepin' Up Slowly"で戻ってきた彼らは、4人から3人になっていた。それでも、あの時の衝撃的なコーラス・ワークは4人の時以上に厚く重なり合っているように思えた。そのハーモニーは生で聴いても圧巻で、のびのびとしてきれいなものだった。
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照明が少しずつ落とされていくと、誰かが「シー、シー」と静かにするよう促す声が聞こえる。小さなざわめきを残した場内に、ガサガサという物音と、コツコツ歩く靴の音が聞こえてくる。始まるの?…まだらしい。シュッとマッチで火を点ける音がして、ステージの頭上に並べられた炎型のライトに火が灯る。後ろには、東洋の掛け軸のようなものが並んでいる。どこからともなく、お香の匂いが漂ってきたのは、照明が暗くなり始めた頃だっただろうか。ニュー・アルバムのタイトル『ガラージ・マハール』に合わせた、小粋で神秘的な演出だ。その幻想的な雰囲気もメンバー登場であっけなく現実に引き戻される。ビートルズでも出てきたかのような、悲鳴のような黄色い声。これが、とても愉快なんだ。真ん中に位置するジェイソンが、指を刺せばキャー、ステージ前方に寄ればキャー、しゃべればキャアーー!何をやっても、キャーなのだ"Afraid To Fly"の曲紹介で、タイトルをカミカミでも、キャァァ・・・。ジェイソンの両脇に構えるダブル・ティム(ワトソン&ワイルド)もステキなんだけどね、なんて失礼ながらもちょっとした同情を抱いてしまう。
お香の香りは、鼻に強烈に入り込んでくるわけでもなく、ほんのり漂い続けている。1曲目、"Get Set"のシタールがお香といい、掛け軸といい、すべての雰囲気に見事にマッチしている。素晴らしいスタートだ!そこから、"Afterglow"へと流れる。コーラスとギターが、気持ちいいほどゆったり響いて、タクシーライドお得意のハモリはライヴでも絶妙。何よりも、4人の時の"Rocketship"や"Everywhere You Go"も、もちろん"Get Set"にしたって、重なり合うコーラスは、3人でも厚い層で充分キレイな、何重にも聴こえるハーモニーを作り出してる。 |
| イスが用意されて、ティム・ワイルドだけがギターを弾き、ジェイソンとワトソンはコーラスに専念したアコースティック・タイムは、"Helplessly Hoping"と"Madrigal"。そして『イマジネイト』からの爽快な風、春の匂いを思わせる"Can You Feel"。ただ、ジッと彼らを見つめ、曲に聞き惚れる。彼らの力強く、そして気持ちよく重なるコーラスによるハーモニーを堪能。タクシーライドを初めて聴いた時と同じ衝撃をここでも味わう。胸を打つそれぞれのヴォーカル。彼らがデビューした頃、全員がギターを持ち歌う、そのコーラスの美しさに耳が釘付けになったのを思い出す。曲の良さもさることながら、ここまでの熱く絶妙なバランスのコーラスは、他に類をみないように思う。そこがタクシーライドの強みでもあり、他のバンドでは、恐らくマネのできないところでもある。 "Happy"というタイトルの曲は数多くあるだろうけれど、タクシーライドの"Happy"ほど、ハッピーな気持ちにさせてくれる曲はないんじゃないかな。この曲は、ぜひとも次のシングルにしてほしいくらい個人的に気にいっている。タクシーライドの曲の中でも秀作のひとつと大プッシュしたい。サビのハーモニーといい、ただのコーラスではなく、様々なヴァリエーションのヴォーカルがいくつも重なり合っている。メロディもハーモニーも、これなんだよ、タクシーライドのいいところは、っていうものがすべて凝縮されてる。 |
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それまでピョコピョコと小さく上下に動いていた観客の頭が、大きく揺れ始め、激しくジャンプしたのが、"Evertwhere You Go"。今までの穏やかな時の流れが一変、そこまで溜め込んだエネルギーを一気に発散させているような興奮状態に包まれた。スーツ姿で一緒に歌ってるサラリーマンの横顔が、ものすごく印象的だった。そして、シュガー・レイを彷彿させる、スクラッチの入った"Creepin'Up Slowly"。ゆったりテンポで、手拍子でもしながら一緒に大きな声で歌いたくなる。このファースト・シングルを聴き、待望のニュー・アルバムをすべて堪能し終えた時、これからもタクシーライドがある限り、彼らの曲を聴き続けファンでい続けるだろうと心に強く思った。それは、どんなに新しい手法を取り入れたとしても、タクシーライドの魅力であるいいメロディで美しいコーラスはなくならないから。
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アンコールも3曲と充分。躍動感溢れる"Saffron"で熱気絶頂。今までの19曲の中では見られなかった激しさとジャンプの連続、人々の満面の笑みと、またしても嬉しそうに一緒に歌うサラリーマンの横顔。それだけでも、ライヴとしては充分な曲数なのに、もっともっととせがむ人々の願いも空しく、"Wait"でタクシーライドのライヴは終わった。お香の匂いはすっかり消えていた。でも、タクシーライドの極上のハーモニーは耳にしっかり残ってる。期待を裏切らない素晴らしいハーモニーが聴けたライヴだったのはもちろんのこと、ほのぼのとした温かさを与えてくれたライヴでもあった。
--- set list --- 1.Get Set / 2.Afterglow / 3.Enemy / 4.Afraid To Fly / 5.How I Got This Way / 6.Rocketship / 7.World's Away / 8.Forest For The Trees / 9.Helplessly Hoping / 10.Madrigal / 11.Can You Feel / 12. This Time / 13.Happy / 14.Splash / 15. Skin / 16. Everywhere You Go / 17. Creepin' Up Slowly ---encore--- 18.Happiness Without You / 19.Saffron / 20.Wait
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