buttonGoo Goo Dolls at ZEPP東京(19th Oct '02)

--それは、本当に「感動」の一言に尽きる!--

 この日は、あいにくの曇り空と、冬の近づきを思わせる冷え込み。そんな寒さの中でも、観覧車には、長蛇の列ができていた。グー・グー・ドールズの曲が観覧車の中で響いたら、ものすごくロマンチックなのに。お台場の風景も、きっと最上級の夜景に見えただろう。

 Zepp Tokyoに入ると、いつものライヴとは様子が少し違う。タオルを巻いている人もいなければ、クレイジーになる意気込みを感じる人たちもいない。びっしりと詰まった会場ではない。もちろん、ステージ前には人がギッシリいるけれど、適度な隙間があり、それを見てちょっとした安堵感があった。穏やかな空気が流れるZepp Tokyo。できれば、落ち着いた空間で彼らの曲を堪能したかった。そこは、グー・グー・ドールズを満喫する雰囲気バッチリだった。

 18:10頃、暗転とともに、映画のオープニングを思わせる重低音が鳴り響く。そんな派手な効果音の割には、ステージはいたってシンプル。何も飾りのないステージ手前、真ん中にヴォーカル兼ギターのジョン、向かって右手にベース兼ヴォーカルのロビー、そしてドラムのマイク。『A Boy Named Goo』からの、彼ららしい哀愁満載の"Naked"でスタートし、王道ロックな"Long Way Down"へ。観客は大興奮というよりも、彼らの放つメロディに身を委ねて調子良くノッている。その軽快な滑り出しに、私の体も曲に合わせて、激しくもなく、リズムを取り続ける。この日のライヴは「しっかり聴いてしっかり乗る」を実行できた。それくらい、じっくりとどの曲も漏らさず聴きたいと思わせる、「いい曲」満載の素晴らしいバンド、グー・グー・ドールズ。

 ジョンは、赤いバンダナを頭に巻いて、黒のタンクトップ姿。腕にはがっしりカラーのタトゥーが入っている、なんとも男臭いいでたちでギターをかき鳴らす。ロビーが歌う時は、ギターを弾きながら落ち着きなく、時にはたばこを銜えながら周囲をうろつく。まるで、ストリート・パフォーマンスでもしているかのよう。"Black Balloon"のようなしっとりと、泣かせるメロディの曲の時は、全身から哀愁と切なさのオーラを放ち、ポップな"Slide"、"Big Machine"、"Think About Me"、"Broad Away"では、優しい笑顔を観客に向け、それでギターをかき鳴らす様は、甘くてカッコいいオーラ大放出だ。ほんとにジョンって人は、何をどうやっても様になる。男らしさと、こっちの目がハートになっちゃうくらいな端正な顔立ちの持ち主。そして、哀愁と胸をギュッと掴まれるような切ないメロディを作り出す、最高のメロディ・メイカーだ。

 ロビーは、髪の毛を振り乱してベースを弾き、自分が歌う時でも前に覆い被さった髪の毛はそのまま。しゃがれた声で、"You Never Know" や"Smash"、"Tucked Away"のロック・チューンを熱唱する。ジョンに負けず劣らず、ロビーもポップなメロディと耳にしっかり残り、軽快で心地よい曲を作り出す。ジョンとロビー、同じようにグー・グー・ドールズ節をベースに、それぞれ異なったテイストの曲を生み出している。

  "Here is Gone"は、会場全体に広がる伸びのあるスケールの大きな曲。ラジオでこの曲を初めて聴いた時、すぐにこれが彼らの曲だとわかった。それは、ジョンの少し鼻にかかった温かみをおびたヴォーカルもそうだけど、グー・グー・ドールズ節を押し出した、ちょっと寂しくなるような切ないメロディ。それですぐに、これは、グー・グー・ドールズだとわかる。それを生で聴けるのは、感動もひとしお。

「日本は自分たちにとっても、大きな部分を占めてるんだ」と真面目に話したかと思うと、おしゃべり人形を取り出しそれを自慢げに見せたり、観客からエルモのパペツトやモモの人形を借りてそれを使って遊んでみたり、アメリカで何百万と売れたビッグ・ネームになったって、中身は何も変わらない、普通のお兄ちゃん的なところも垣間見ることができた。そこに、彼らに親近感も覚え、そのあまりに普通っぽさから優しさと温かさを感じ取ることができた、なんて言ったら大袈裟だろうか。

 "Name"のイントロをギターで軽く弾く。待ってました!の最大級のリアクションを見て、その曲を心待ちにしている観客を焦らすかのように、ジョンはこんなような事を語った。「7年前、スーパーに向かっている時、隣の車のカー・ステレオから"Name"のイントロが聴こえた。この時、有名になったんだって実感した。オレの人生に何が起こったんだ!ってかんじだった。でも、この曲があって本当に良かったよ。」この曲が、長い下積みの末、ようやくグー・グー・ドールズを大ブレイクさせ、メジャー・ロック・バンドへ押し上げたというのは有名な話。そこにいたすべての人が、それぞれの思いを馳せながら一心にその曲に聴き入る。アコースティックの音色とジョンのヴォーカルが、ものすごく心地よく穏やかな空間を作り出す。正に、名曲だ。

 終わりに近づいた頃に、マンドリンとアコースティックの音が気持ちよく鳴り響く"Sympathy"。ニュー・アルバム『Gutterflower』の中でも、ひと際美しさが感じられる曲だ。またしてもグー・グー・ドールズ、泣かせる曲を作ったな、と唸らせる名曲である。そして、静かになった会場の中、天井のミラー・ボールが回りだす。迎えた本編最後の曲は、"Iris"。その壮大なメロディの美しさに引き込まれ、音が体を包み込む。この曲を聴くためだけでも、来る価値は充分にあった。間奏のパートで、ジョンとロビー、そしてギターの3人が輪になってギターとベースを弾く。お互い微笑合い、耳元で何ごとか囁きあったりしている。その光景と曲との見事な調和に心打たれ、感動が込み上げてきた。そのスケール感と、改めて聴く曲の良さが心地よい以上に離れがたくなり、このままずっと"Iris"を聴き続けていたいとまで思わせる。思い切り、曲に酔いしれた。

 その感動を引きずったままアンコールに突入。"All Eyes On Me"、そしていつまでも耳に「Na Na Nanana Na・・・」のコーラスが残る"What A Scene"を最後に、ライヴは終わった。

 まだ、グー・グー・ドールズを知らない人には、ぜひ聴いてほしいと強くお薦めしたくなるバンドだ。どのアルバムを聴いても、彼らのメロディに必ず心打たれる。大ヒットした名曲以外も、どれを取ってもいい曲満載。ライヴを見て、改めて彼らの曲に惚れ直した。「今風」でないからこそ、流行りに流されずに、自分たちらしさを守り続けているこのような生粋のアメリカン・ロック・バンドは、ものすごく貴重なように思える。

--set list--

1.Naked
2.Long Way Down
3.Slide
4.Big Machine
5.You Never Know
6.Dizzy
7.Here Is Gone
8.Smash
9.Black Balloon
10.Think About Me
11.Truth Is A Whisper
12.Name
13.Lucky Star
14.Tucked Away
15.Broadway
16.What Do You Need?
17.Sympathy
18.Iris

--encore--

19.All Eyes On Me
20.What A Scene

report by ali.


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