buttonFOO FIGHTERS at Shinjuku Liquid Room(12th Sept '02)

--今年、最高のロックはFoo Fightersにあり。--

 この日は、10月リリースのニュー・アルバム『one by one』のプロモーション来日で、一夜限りのスペシャル・ライヴ。喉の調子が悪く満足に声も出ない状態でも、出せる限りの声を振り絞って歌い続けるDave。合間に観客を楽しませるユーモアたっぷりのおチャラケを挟み、ニュー・アルバムからは5曲も披露してくれた。90年代のロック・シーンを牽引してきた立役者でもあり、すでに中堅ではなくビッグ・ネームとなったFoo Fightersのライヴがリキッドで、そしてリリース前にしてニュー・アルバムから何曲かでも聴けるこのスペシャル・ライヴのチケットは、正にファン垂涎のものだったに違いない。幸運にもそこで80分のライヴを堪能できた人たちは、間違いなくニュー・アルバムへの期待は大きく膨らみ、そしてFoo Fightersのカッコよさを強く再認識したことだろう。

 シークレット・ライヴだからなのか、フロアにはかなり余裕があるように見える。真ん中辺りでくつろいでいると、19時過ぎた頃から人が増え、気が付いたら前にも横にも大きな人が私の視界を邪魔をしていた。おっと、これじゃ、何も見えない。でも、今日はこの辺りで人々の汗を浴びることなく、こじんまりとノっていようかと思っていた。19時を10分くらい過ぎた頃、照明が暗くなりメンバーの影がステージ上に見えた。心臓の鼓動を思わせる静かなギターのノイズとDaveの囁くような歌声。このイントロを聞いた瞬間、私は目の前にあった柵を潜り抜け、前方へと突進していった。その曲は、ニュー・アルバム1曲目、1st Sgの"All My Life"。ほんの少しの間続くその静寂が突如激しいビートに変わり、観客は荒れ狂いリキッドの床も人の動きに合わせて揺れる。穏やかにノって聞いてる場合じゃないっ!体が自分の意思とは関係なく、勝手にはしゃぐ。これぞ、Foo Fightersだ!と間違いなくファン感激の、バリバリロック・チューン。この曲を聴いて、ゾクゾク興奮しない人はいないだろう。アルバムの幕開けにも、ライヴのスタートにも最高の曲。その調子のまま"Breakout"へ突入。大声で歌う観客の声が一つの塊で聴こえてきた時、みんなFoo Fightersを忘れてないな、という変な安心感があった。

 ライヴは、ファースト、セカンド、サード・アルバムと、今までのおさらいをするようなラインナップ。"My Hero"や"Generator"、"For All The Cows"に挟まれて、ニュー・アルバムの"Times Like These"。これは、柔らかく流れるミディアム・テンポのメロディ。"Disenchanted Lullaby"は、"Hey, Johnny Park!"のような静と力強さを合わせたスロウなナンバー。どの曲でも、Foo Fightersならではの繊細で泣けるメロディ満載。

“Stacked Actors"で、Daveがステージを離れ、脇のカウンター・テーブルの上に登り、その上で動き回りながらギター・フレイズを奏でる。突然の出来事に、カウンターの真下にいた私は、こっちに押し寄せてくる人々にもみくちゃにされながらも、口を開けてしばし放心状態だった。Daveの足に触って大喜びの男の子、目がハートで釘付けになっている女の子、みんなものすごくいい笑顔をしてる。

この日のDaveの言動は、妙におかしい。小指を立ててビールを飲んでみたり、流し目をしてみたり。どこで覚えたのか、歌の途中やMCの途中で「ハイッ!」と合いの手のようなものを入れてみたり。着ているTシャツには、「東京」の漢字が入ってるし。「アリガトウゴザイマシタ」の言葉が変におネエっぽくて、私はそんなユーモアたっぷりの、歌っている時のクールさとのギャップが大好きでたまらない。観客から次のツアーの質問が飛ぶ。来年の春には戻ってくるかもしれない。「他にツアーに関しての質問は?」なんて、ツアーQ&Aがしばらく続く。「来年はフジロックに出る・・・んだよね?」と周りのスタッフに確認しながらも、「出る」と約束をしてしまった。フジロックは不確定にしろ、どうやら、来年の春には日本にライヴでやってくるらしい。この日、見たばかりなのに、もう来年が楽しみになってしまう。

 一時不調だと伝えられていたTaylorは、力強くドラムを叩く姿を見ると、どうやら回復している様子。ギターのChrisとベースのNateは、不動のまま、とにかくひたすらプレイを続ける。本格的に、この4人一体でFoo Fightersが成り立っているんだという、絶妙なバランス感がステージ上から伺える。2ndからの"Enough Space"、泣きの名曲"Learn To Fly"はもちろん必至の盛り上がり。絶えることなく、ダイヴとモッシュは続いていた。"This is a Call"や"Monkey Wrench"でボルテージは頂点、ゴキゲン・ロックで場内の熱気は最高潮に。哀愁漂うスロウ・ナンバーも魅力だけれど、彼らのロック・チューンはスカッとする。そして、泣けるメロディでキュッとハートを包み込まれる。Dave、あなたは天才メロディ・メイカーだよ、と心の底から思う。なんてったって、彼らの曲はカッコイイ!

 声の不調をおしてのアンコール。しっとり落ち着いた"Tired of You"のイントロが流れると、Daveの細かな息遣いや心臓の音まで聴こえるんじゃないかというほどの静寂に、場内は包まれた。この曲は、ゆっくりと静かに時が流れていくのを感じる。かと思うと、それとは打って変わって"Low"では、激しくギターとドラムが畳み掛ける。ラストは"Everlong"。また、すぐに戻ってくるから、と何度も言ってFoo Fightersは去って行った。

 Foo Fighters、3年ぶりのニュー・アルバムには、多くの人が期待を寄せているだろう。でも、間違いなく、最高のロック・アルバムに仕上がっていることは、ライヴで聴いた数曲からだけでも窺い知ることができる。今回は、収録曲の順番も入念に練られているらしい。10月発売のニュー・アルバムを、じっくり聴き込んでほしい。そこには、熱くて優しい、ハートに突き刺さる最高のゴキゲン・ロックがあるはずだから。そして、スケールの大きな、今までのFoo Fightersにはなかったすごい音があるはずだから。そして、来年、恐らく春頃に(本当に?)再びやってくるFoo Fightersのライヴに挑むべし。

--set list--

ALL MY LIFE
BREAKOUT
MY HERO
GENERATOR
TIMES LIKE THESE
FOR ALL THE COWS
STACKED ACTORS
ENOUGH SPACE
LEARN TO FLY
DISENCHANTED LULLABY
THIS IS A CALL
HEY, JOHNNY PARK!
MONKEY WRENCH

-- encore--

TIRED OF YOU
LOW
EVERLONG

report by ali.


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