54-71/Mo'some Tonebender @ Shibuya Quattro (29th Aug '02)
この2つのバンドの組み合わせは最高!
満員で身動きのできない渋谷クラブクアトロ。扉を開けると人がぎっしりで、到底中まで入れない。以前「何やコレ!?」というインパクトがあったけども、頭越しに観た54-71は、この日さらにヘンなバンド振りに磨きがかかった。
ステージ左からドラム、中央にベース。このベーシストはずっとお客さんに背中を向けている。右にギター。ヴォーカルが酔拳というかパントマイムを思わせるアクションでステージの上を所狭しと動き回る。
ドラムはバスドラとスネアとハットだけのシンプルなもの。バンドは音で壁を作るのでは無く、スカスカの音と音がつくり出す「あいだ」を大切にしている。隙間をデタラメぽい英語のライムが自由に放たれるのだ。彼らの音を聴いていると、初期PILやポリスやヒップホップの影響を強く感じるのだけど、それ以上に竜安寺の石庭とか、山水画などを思い出す。隙間の多い音が作り出す空間が和風な感じがするのだ。
絶対こいつら、クーラーが効いた部屋よりも畳に障子の部屋でうちわで涼をとっている方が好きだろうなというイメージがある。このバンドがスゴイのはそういうストイックな部屋に酔っ払いのヴォーカルがチン入して変な踊りを踊っているのだ。おれは「花の応援団」の「クエッ、クエッツ」を思い出したよ(古くてスマン)。やっぱり一番インパクトがあるのが3曲目に演奏された"be-yond"のサビの「びよーん、びよーん、イマジネーション」である。聴いたら忘れられない「びよーん、びよーん」とそのポーズは強烈である。
この日は中盤あたりからメロディのある曲やコーラスを付けたりして、いろんな引き出しがあることを見せてくれる。そしてラスト近くの激しい演奏は圧巻。ストイックな世界を作っていた彼らが畳をひっくり返し、障子を破り、柱をへし折り、破壊の限りを尽くす。この荒々しさは自分たちにまとわりついているものを引っ剥がして解放的な気持ちになる。
at 「ビビりました。びっくらこいた」
satoshi 「けっこう懐の深いやつらだと思った。硬派だと思ったけど、中盤のメロディがポップだった」
ながた 「びよーんが聴けて良かった。メロディが素敵なのもあるんだと思った」
のざき 「メロディのある曲が意外で気持ちよかった。鼻水が見えませんでした」
マーブル 「照明は暗い方が良い。トリッキー並に」
-- setlist -- (54-71)
1.professor
2.humpty empty mellow blues
3.be-yond
4.b.b.c.
5.ceiling
6.swamp disco
7.what color
8.doors
9.don black cock
10.snow
11.life
12.reveal
このライヴより10日くらい前、北海道のライジングサン・ロックフェスティバルで最初から飛ばしまくり、限界まで振り切れた演奏をしていたモーサム・トーンベンダーは、そのテンションを維持できるのだろうか?という心配があったけど、そんなことは全く関係なかった。
この日は「ツアーの最終日やけん、疲れとるけど、最後まで楽しんで下さい」という百々のMCの通り、最後の力まで振り絞ったステージを見せてくれた。
モーサム風人力トランスと言うべき"Lake Side"から始まり、"9"や"パルス玉"の久々にライヴで聴くことができた2曲を続けてプレイし、悲しみをざらざらしたもので包むような感覚が、彼らの持ち味だということを思い出させる。本来ならクライマックスにふさわしい"未来は今"〜"HigH"が早くも前半で演奏され、ギターのノイジーな響きの中から空へ飛び立つような広がりを感じさせる。"見知らぬところ"の破壊的な音の間にサンドイッチされたホワホワした柔らかい演奏とコーラスで、押しの一手だけでなく、引くことでもお客さんを惹きつけることが出来るようになったのが、以前との違い。去年の初めの頃から彼らのライヴを見続けて約一年半、初めて観たときの激しさはそのままに、音にバラエティと広がりをみせてくれるのが嬉しい。
"DAWN ROCK"や"壊れてるよ"、"冷たいコード"の重さとスピード感はお客さんを
引っ張って盛り上がりが最高潮になる。こんなヘヴィな音をぶつけてくるバンドは、今の日本で一番だろう。そしてラストの"echo"でメンバーは最後の力を出し尽くすように、音を塊にしてフロアに投げ付ける。百々はギターをステージに叩き付けて去っていった。
at 「54が良かったので、ピンとこなかった」
satoshi 「"冷たいコード"の武井のカウントで笑わせて頂きました。"echo"が強力になっていた。"見知らぬところ"が一番好き」
ながた 「久しぶりの"echo"が聴けて嬉しかった。すごく格好良かった」
のざき 「"冷たいコード"と"echo"が気持ちよかった。持って行かれた」
マーブル 「声が辛そうで疲れが見えた。途中走りまくった。最後のギターをガーっと弾きまくって格好良かった」
-- setlist -- (モーサム・トーンベンダー)
1.Lake Side
2.9
3.パルス玉
4.idiot
5.未来は今
6.HigH
7.見知らぬところ
8.DUM DUM PARTY
9.カリフォルニアガール
10.DAWN ROCk
11.壊れてるよ
12.冷たいコード
13.ONE STAR
14.echo
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mag files :
やり取りのあるライヴ (02/12/20 @ Shinjuku Liquidroom) : review by nob, photo by saya38
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photo report (02/02/25 @ Shinjuku Liquidroom) : photo by hanasan
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