「今年のサマソニには、オレンジ・カウンティの"アハ〜ン"のあのバンドも!」…それって、オフスプリング以外いないじゃない。このコメントを読んだ私は、半錯乱状態。去年の3月にライヴを見てから、こんなに早くまたオフスプリングに会えるなんて!嬉しすぎる。頭の中は、出演決定を知った時から"One Fine Day"で洗濯機状態に回され、突き飛ばされ、でも始終笑いっぱなしの私がいる。祭りの準備は万全。去年のライヴでは、確かTシャツの背中に、飛び蹴りでもされない限りつくはずもない人の靴跡があったっけ。今年も自分の身に何が起こるかわからない恐怖を抱きつつも、やっぱり兄貴たちに会い行かなくちゃ!と、テンションは上がりっぱなしの日々を過ごした。 8月18日、午後7時、千葉マリンスタジアム。前方ブロックの真ん中よりやや後ろにて、彼らが出てくるのを待つ。鼓動の早さはピークに達し、訳もなく隣にいた友達と緊張で冷たくなった手を握り合ったりしていた。体が震えてる。そこからは、私の小さな身長ではステージも見えない。10分ほど過ぎた時、湧き上がった大歓声から彼らがステージに現れたのがわかる。と同時に、後ろから突進してくる人、人、人。それが怖いんだってば。ならば、私たちも前進あるのみ。「コンニチワ、トーキョー」…はっ、またデクスターの口から新たな日本語が…。そして、彼の髪の毛が青に。真っ青に。気を許した途端に後ろからものすごい勢いで背中を押され、モッシュの中に巻き込まれる。私が恐怖で真っ青。逃げなくちゃ、逃げなくちゃ。というわけで、1曲目が何だったか、スコーンと抜けた。今回ばかりは、曲順を覚えている余裕もない。ただ、イントロで盛り上がり、デクスターと共に歌い、モッシュから逃げの繰り返し。 "self esteem"や"come out and play"は、もちろん大合唱。おかげで数日経った今でも、ハスキー・ヴォイス。日本で大ブレイクした『Americana』からの"The Kids Aren't Alright"、"Have You Ever"、"Staring at the Sun"、"Walla Walla"は爆発的な盛り上がり。がむしゃらに騒いでいたのが、"Dirty Magic"でホッと我に返る。どれもこれも最高。オフスプリング最高!お待ちかねの"bad habit"のイントロは、まさに嵐の前の静けさ。この曲の荒れ方は尋常じゃない。猛烈に荒れ狂う。そしてお決まりのシャウトのパート。デクスターの"Drivers are rude…"で始まり、"You stupid dumbshit goddam motherfucker"と、何千もの人のシャウトがひと塊になる。デクスターも言っていたけれど、よくもここまで悪い言葉を羅列できるもんだ。でも、これがなくっちゃ。オフスプリングと声を揃えてシャウトできるなんて感涙。 そして中盤、デクスターが「古い曲をやる」と言って始まったのが、1994年のアルバム『smash』の中の"smash"。これが不思議と盛り上がらない。やはり"Pretty Fly"や"Original Prankster"や新しいアルバムのほうが、祭り状態でみんな飛び跳ねる。"Dammit, I Changed Again"や"Want You Bad"、そして私の大好きな"Gotta Get Away"と"Million Miles Away"を聴けたのには感動。 お約束のIntermissionはステージが一切見えず。なので、何が起こっているかは想像するしかないけれど、恐らくソファーにメンバーが座り、その前でふくよかな裸同然の人が面白おかしく踊っている…のではなかろうか。想像上の図です。そして、Intermissionの後は、これもお決まりの"Why Don’t You Get A Job?"。カリビアンな、とてもオフスプリングらしからぬ曲だけど、ここで体力温存。穏やかに盛り上がる。たぶんライヴ中盤、何度も人の荒波に揉まれ、体力も消耗しきっていて、熱さでグッタリした時に恵みの雨。この冷たい雨がどれほど心地よかったことか。野外のライヴも悪くない。 アンコール。私の記憶が正しければ"Special Deliver"と、ラストが"What Happened To You?"。残念ながら、何ヶ月か頭の中でライヴのイメージ・トレーニングに使用されていた"One Fine Day"はやらず。これだけが心残り。 「サヨナラ〜!」デクスターの口からまた新たな日本語が飛び出した。私は人に埋もれていたので、最後の姿を見ることもできず、その言葉でライヴが終わってしまったことを知る。ステージ後方から花火。キレイだなー、なんて眺めている気持ちの余裕もなかった。またいつものライヴの終わりに感じる、一抹の寂しさでいっぱいだった。本当にあっという間のライヴだった。曲数は、通常のライヴとそれほど変わらないのに。この日のオフスプリングのライヴをどれだけ心待ちにしていたか。なのに、今となっては、ものすごく前のことのように思う。記憶も定かじゃない。思い出すのは、私の前にそびえ立つ人々の頭と背中。そして、すぐ横で激しくぶつかりあって、猛スピードで跳ね返ってくる人々の姿。今まで何度も彼らのライヴには行ったけれど、恐怖に戦き、自分の身を守るので精一杯だったライヴは、今回が初めてだったように思う。というわけで、あっけなく終わってしまったように感じる切なさと、頭の中が真っ白でライヴのことを思い出すのもひと苦労、といった彼らのライヴも今回が初めてだと思う。でも、結局思うことは毎回一緒。オフスプリング、最高!次のライヴも絶対行くんだ! report by ali. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to Ali Maeda. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |