Avril Lavigne at 赤坂ブリッツ(2002年8月8日)
-Japan Rocks!-

 ここ最近の、女性シンガー・ソングライターの活躍は目覚しく、ミッシエル・ブランチに続いて、ヴァネッサ・カールトン。どちらも曲がいい。キラリと輝く才能も感じられる。そして、何より名前が覚えやすい。そこに続いて、アヴリル・ラヴィーン。ローマ字にすると、Avril Lavigne。これは覚えにくい。けれども、名前のインパクトは強烈だ。このアヴリルが、前述の2人とどこが違うか。それは「こんな女の子いいな」と同性に思わせるカワイらしさがある。まぶしい。17歳という初々しさと若さとパワー。スケーター風のファッション・センス。152センチと小柄で華奢な体型。メグ・ライアンを思わせるキュートな容姿。怖いものなしの根性。それぞれの要素が、他の2人より抜きんでているように思える。今回、初来日でスペシャル・ライヴを赤坂BLITZで敢行。恐らくそこにいたすべての人が、カナダからやってきた、この小さな女の子に目がハートになり、釘付けになったに違いない。同性の私でも、ベタ惚れだった。

 20時を少し廻ったところで、客電が落ち、それと同時にものすごい喚声に包まれた。初っ端は、"Sk8er Boi"。ポップなリズムでみんな立てノリ。この曲は元気の塊というイメージだ。彼女も小さければ、私も小さいので、ステージにいる彼女を見るのもひと苦労。やっと発見できたアヴリルは、白のタンクトップに黒のネクタイ姿。非常に可愛くて結構。後ろを振り返ると、人でギッシリ。そして、もちろんみんなアヴリルに釘付け。

 "Losing Grip"や"I'm With You"のようなスロー・テンポの曲は、幼さのなかにちょっとした大人の表情も垣間見れ、透き通った、ちょっとハスキーがかった声が遠くまで伸びる。元気な曲とは違い、しっとりとした曲は表情豊かに歌いこなせる。この時の彼女の歌唱力は、素晴らしい。人を曲のなかに引き込むチカラがある。ウットリと聞惚れる。"Mobile"では、ギターも披露。上手いかヘタかは別にして、ギターを弾く姿も様になる。"Things I'll Never Say"や"My World"のポップな曲では、ステージ上を大きく動き回り、ステージの一番前まで来て観客に手を伸ばしたり、降りてきてファン・サービスもあり。アヴリルが至近距離まで歩み寄ってきて等身大で見れたとたん、後方から人が手を伸ばし押し寄せてきて、圧倒された私は後ずさりをしてしまった。あー、アヴリルゥ・・・、せっかく近くで見れたのに・・・。触れたい気持ちもわかる。でも、触れたら壊れちゃいそうなくらい、間近で(一瞬)見た彼女はか細かった。その小さな身体のどこから、人を包み込むパワフルな歌声が出てくるんだろう。そして、ついにやってきたラジオでガンガンかかりまくっている、デビュー・シングル"Complicated"は、もちろん大盛り上り。マイクを向けられた観客は、待ってましたとばかりに"Tell Me"の部分の大合唱。背筋がゾクゾクした。

 曲間でのMCは、歌っている彼女とは別人で、はにかんで小さな声で話す。自分の出身地、カナダはオンタリオ州の小さな小さな村のこと、退屈なところで生まれた曲のこと。あまりに小さな声なので、ほとんど聞き取れないけれど、ハジケたイメージとは違った印象の、普通の17歳の女の子の部分も見られて、また惚れ直した。

 好きなバンドが、Goo Goo Dolls、Matchbox 20やIncubusというだけあって、彼女の作る曲はメロディ・ラインがとてもキレイ。CDで聴く以上に、繊細さと弾けた部分が混ざり合って、本当にどれもこれもステキな曲だと感心してしまう。この日のライヴはアルバムの曲をほぼ網羅。1時間という短いライヴではあったけれど、どの曲でも飽きることなく聞き入ってしまい、あっという間にライヴは終了してしまった。

 デビュー・アルバム『Let Go』は、とても17歳の子が手掛けたとは思えないほど、それぞれの曲のクオリティと完成度が高い。まさに、捨て曲なしの最高傑作。感受性豊かなそのままの彼女が投影されている。アルバムを聴き直すと、ライヴの光景と彼女の生の歌声が蘇る。カワイかったなー、アヴリル。これから10年後(でもまだ27歳って・・・)の彼女はとても想像できないけれど、今のまま「あたし道」を突き進み、そのままの「あたし」を映し出す、そして多くの人に響く音楽を生み出していってほしい。と思うのと同時に、そのカワイらしさもそのままでいてね、なんて、おやじ臭いですか?

report by ali.


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