

-- SET LIST --
1.GLORIA
2.REDONDO BEACH
3.FREE MONEY
4.FREDERICK
5.PUMPING (MY HEART)
6.DANCING BAREFOOT
7.BECAUSE THE NIGHT
8.SUMMER CANNIBALS
9.PEOPLE HAVE THE POWER
10.ROCK N ROLL NIGGER
report by ikuyo and photo by makiko. |
開演が近づくと、ものすごいパティ・コールと手拍子がわき起こる。昨日のヘヴンも素晴らしかったが、今夜のマーキーはさらなる期待と熱気で蒸し風呂状態だ。
昨日はステージ前に出てきても、高くなったヘヴンのステージの縁に腰掛けるまでが精一杯で、下へ降りたいけど、降りられないの、なんて顔をしていたパティ。ここなら左サイドに階段もあるから、降りて来てくれるかな?
やがて、頭に手ぬぐいをターバンのように巻き、クラリネットを思いきり吹き鳴らしてパティが登場。ゆっくりと始まるギターのコードはああ、"GLORIA" だ。次第にスピード・アップして走り始めるその瞬間はいつ聞いても血が騒ぐ。G. L. O. R. I.A! 去年にもまして大興奮のオープニング。ゆったりと"REDONDO BEACH" を挿んだ後、再度"FREE MONEY" で突っ走る。おお、昨日はやらなかった「ホーセス」からの3連打。やっぱり何をどうやっても泣きたいほどカッコいい。かと思うと、にこやかにハ〜イ!と一声。そして舞うように踊りながら"FREDERICK"へ。今は亡き旦那様の事を歌うせいだろうか。ちょっとはにかんだ少女のような表情すら見える。
続く"PUMPING (MY HEART)" では、出だしのギターのキーをレニーが間違えるも、パティは笑って"一言、"テイク2"と仕切りなおす。初めて生で聴くゴキゲンなロックン・ロール。さすがに少し息を切らしたパティが「今夜のフジは地球上で一番熱い場所ね」と"DANCING BARFEOOT"では文字通りブーツもソックスも脱いで裸足に。いや、ほんとにここは暑くて死にそうだ。"BECAUSE THE NIGHT" はパティが黙ってマイクをこちらに向けるだけで完璧な大合唱が続く。そして、息が切れてて、あまりしゃべれないけど…とゆっくりとパティが語り始めた言葉の数々は、これまでにない重みを持っていた。
世界情勢はとても悪い方向に向かってる。世界中の皆が戦争の恐ろしさを忘れかけている。どんな戦争も道徳に反しているのに、この星全体がそれを求めているようにさえ思える。だけど、あなた達、日本の祖先以上に戦争の恐ろしさを知る人はいないのだから、ヒロシマ、ナガサキを忘れないで…。
Don't Forget, Don't Forget ! For Peace, Peace, Peace! 忘れないで、平和のために!
ありったけの力を込めてそう叫び続けるパティに場内は騒然。私も思いきり拳を振り上げて応える。まるでウッドストックの1シーンのようだ。身震いするほど強烈な一体感。続く曲はもちろん"PEOPLE HAVE THE POWER"だ。これは80年代終わりに生まれたパティ復活の歌だが、もし60年代なら、間違いなくウッドストック世代の反戦歌になったに違いない。そして、21世紀の今、昨夜にも勝る大合唱がこだまし、私にも刻みつけるのだ。大切なのは「忘れない」ことなのだと。
興奮はラスト"ROCK N ROLL NIGGER"でさらにクライマックスへ向かう。赤い布で目隠ししたままエレキを掻きむしる姿がまたキマっている。「フジ! さあ、世界の平和のためにロックン・ロールよ!」もちろん!一緒に燃えさせてもらいますとも。アウトサイド・ザ・ソサエティ、の叫びの中でメンバー紹介をし、最後はクラリネットを吹き鳴らしながらステージ袖へ消えていったパティ。ギターのノイズを残し、彼女を呼ぶ声や拍手がいつまでも続く中、1時間ほどのセットは終了。昨夜より短かったものの、まさしくロックン・ロール完全燃焼だった。
ああ、ありがとう。パティ。この2日間の、あなたの力の限りの叫びを決して忘れはしない。50代も半ばのあなたがこんなにも熱く力強い女であり続けること、そしてそんなあなたのファンでいられることは、私の何物にも勝る誇りだ。この先もあなたの歌う「力」を胸に刻んで生きていくからね!
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