Nickelback at 新宿リキッドルーム(25th May '02)
YES! THIS IS HOW I REMIND YOU







SET LIST
1.WOKE UP THIS MORNING 2.ONE LAST RUN
3.HOLLYWOOD
4.BREATHE
5.LEADER OF MEN
6.DO THIS
7.HANGNAIL
8.NEVER AGAIN
9.WHERE DO I HIDE
10.FIGURED YOU
11.TOO BAD
ENCORE
12.HERO
13.HOW YOU REMIND ME
|
ニッケルバックの"LEADER OF MEN"を初めて聴いたのは、今から2年前の事だ。本当にシンプルなフレーズをひたすら繰り返すだけ。なのにグイグイ引き込まれ、曲が終わってもそのフレーズは頭の中で延々回り続ける。その強烈な洗脳パワー。実際、彼らのライヴでは大合唱の1曲だと聞くと、いつかどこかで自分がそれに参加している図を想像するだけでゾクゾクした。
そして、遂に念願の初来日決定!それも、昨年リリースされた2作め「シルヴァー・サイド・アップ」で堂々の全米制覇を果たしたトップ・バンドとしてである。なのに東京1回だけ? いや待てよ。仮にも全米NO.1バンドを、小さなハコで今時格安\3000チケットで見るなんて、もう二度とないチャンスかも。こうなりゃ日本での人気のなさも、むしろラッキーってもんだ。
で、大阪からの遠征の末、何とか新宿リキッドに辿り着く。しかし、これが新宿歌舞伎町だけにまた火事でも出たらまず助からないような古い雑居ビル。しかも入場待ちのお客はエレベーターを使えず、8階までの階段をひたすら上るしかないなんて。うわ、えらいとこ来ちゃったぞ。
雑誌での「プロレス・ロック」なんてライヴ評から想像するに、お客はさぞマッチョで恐いお兄さんが続々と思ったが、意外に女の子も多い。それならと私も前進。午後5時10分。場内が完全にまっくらになり、何やらホラー映画風なSEが流れ始めると、オイオイ・コールと歓声が交じり合ってもう場内騒然。右手前方にいた私も、強烈な押しに必死の防戦だ。顔を上げると、目の前はカウボーイ・ハットをかぶったベースのマイクがニコニコしている。髭とロングヘアで中央に立つヴォーカルのチャドは、なるほどプロレスラー顔かも。
ズッシリと重いリズムの"WOKE UP THIS MORNING"でスタートした後、アップテンポな"ONE LAST RUN"へ。皆が跳ねるとフロア足元の揺れはものすごいが、ステージの上の演奏は微塵の揺らぎもない。音の重さ以上に感じるこのどっしり感。「プロレス・ロック」って何だかわかる気がする。初めて日本に来れて光栄なんて挨拶に続いて聴こえたイントロは、ああ、待ち焦がれた"LEADER OF MEN"だ。アカペラの如く静かに始まるラインが次第にヘヴィに展開し、チャドも「ファッキン!」と叫んで煽る。さすがにここ日本では、鳥肌ものの大合唱とはいかないが、ようやく生で聴けたと感慨もひとしお。
新曲だと言って、裏"HOW YOU REMIND ME"と言えそうなドラマティック・ナンバーを披露した後は、ギターのライアンの貴重な日本語「ヤキソバ」に笑い、熱気ムンムンのフロアにチャドが撒いたミネラル・ウォーターを浴びて一息。再びヒート・アップしたのは"NEVER AGAIN"だ。スピードに乗って走るギターのリフ、キマるシャウトと跳ねる私達の合唱。ああ、もう思いきりロックそのもののカッコよさ。"WHERE DO I HIDE"はそれよりずっとスローな1曲ながら、水撒き、ピック撒き、客席撮影などなど、サービス嵐に皆がどっと殺到。「トウキョウ・ファッキン・ロ〜〜ック!」の大絶叫でさらに熱くなる。
50分ほどの本編終了の後、アンコールにはアコギを抱えたチャドとライアンの2人だが登場。チャドがチューニングで「A(の音)をくれよ」とライアンに言うと、すかさず客席からの「A〜!」の合唱が起こったのには大笑い。そして映画「スパイダーマン」から、チャドが"HERO"を切々と歌う。決して美しい声でも、大げさでもないのに、この人の歌にはドラマを創り出す力がある。さあ、4人が揃うと、とどめの1曲、"HOW YOU REMIND ME" だ。頭からもう完璧な大合唱が続く。カナダの国旗を掲げる同郷ファンや、こんなテンポの失恋ソングでさえも大暴れで跳ねてる男の子達。曲が不意に止まっても、音が途切れても、私達の歌が、歓声が、熱気が決して歌を終わらせようとしない。曲こそ違うが、私がずっと夢に描いていた瞬間、そして絶対に参加するのだと心に決めていた瞬間がまさしくそこにあった。
This is how you remind me こうやっておまえは俺を思い出す
そう、これからは私もこの曲を聴く度に思い出す。この先どれほど大きな会場で、何度あなた達のライヴを見ることになろうとも、忘れはしない。こうしてたった一度のショウのために東京に来て、初めて目の前にいるあなた達と歌い続けた夜のことを。
report by ikuyo and photos by mari.
|
|
|