JON SPENCER BLUES EXPLOSION
@ ON AIR OSAKA(2002年5月31日)
@ ZEPP OSAKA (2002年6月1日)


-その名は "ロックン・ロール" エクスプロージョン!-


 そもそもジョンスペのカッコよさとは、ブルースがそれ以外のノイズやロックン・ロールといった異物とぶつかる時の衝撃にこそある。それゆえ、ど正面から純粋培養なブルースに取り組んだ前作「アクメ」にはどこかなじめなかった私。当然、それをひっさげての99年の来日でも不完全燃焼。翌年トリを努めたサマソニでは御大ジェ〜〜ムス・ブラウン熱演のあおりを食い、尻切れとんぼなショウのまま終演――。考えてみると最近のジョンスペにはフラレっぱなしなのだ。しかし、この春出た最新作「プラスティック・ファング」はそんなすべてを吹き飛ばさんばかりのロックン・ロール満載。これを生で体験しない手はない。

 5月31日、オンエア大阪。元々翌6月1日の公演が決まっていたところへ前倒しで出た追加。そしてツアー初日である。ジョンスペがプロデュースのベースレス・トリオ、KING BROTHERSに続いて、いよいよ3人が登場。客の入りこそ少ないが、みんな国民行事のワールドカップ開幕を文字通り「蹴って」ここへ来たか、あるいは私のように翌日と連チャン覚悟で来るか。招待制の超プレミア・ギグという雰囲気だ。光りモノシャツとパンツで黒ずくめのジョンは向かって右手に。私のいる左手はジュダ。そしてラッセルのドラムも前まで大接近。これまでは危険だと避けてきた最前だけど、こんなに間近でいいのか?

 "TORE UP AND BROKE"のどっしりしたテンポで始まったかと思うと、新作からノリノリの高速ナンバー"GHETTO MOM"でいきなりロックン・ロール炸裂。"AFRO"に戻ったかと思うと、"POINTOF VIEW"へ。息をもつかせず新旧のロックン・ロールが次々と展開されていく様子は、まさしく絶妙なツナギのDJプレイのよう。その合間にジョンがバンド名を叫ぶだけなのに、"ブルゥ〜ス・イクスプロ〜ジョン!"と入るだけでもバッチリギマるカッコよさ。そのスピードにパワーはまさしく「ロックン・ロール・エクスプロージョン」だ。

 皆思いきり叫んだ"WAIL"など何曲かやり終え、ジョンがラッセルに二言三言。"Yeah, how about Hold On?" と聞こえたかと思った瞬間、ズンズンチャッ!とラッセルがイントロのビートを刻み、"HOLD ON"へ。ああ、そうだった。彼らは事前にセット・リストを決めない。いつも何とかその紙をゲットしたいと狙うところだが、今日、足元には何もない。客席との"ベイビ〜!"コール応酬がいい感じの"DOWN IN THE BEAST"を始め、以前はかったるくて違和感があったブルース・ナンバーも、少しもダレることなく、大好きなロックン・ロール、"SHAKIN' ROCK'N'ROLL TONIGHT"や、ノイズ出しまくりで走る"ATTACK"へとつながる。1時間半足らずのセットは、メリハリ抜群の濃さであっという間に過ぎてしまった。ノイジーでちょっとねじれたジョンスペでもなく、ブルースが渋すぎ、ダルすぎの彼らでもない。ロックン・ロールに直球勝負、私の大好きなジョンスペが帰ってきたのだ。そんな想いが何度もこみ上げる。

 さて翌1日。ZEPP大阪に場所を移しての2日目は、今日こそジョン側にと右端最前に陣取ったが、ZEPPのステージは広い。ネイビー・ブルーのシャツ姿のジョンは確かに右手に立っているものの、私のいる右スピーカー前からははるかに遠い。それでも前日はアンコールだった"CHOWDER"から始まり、"SWEET N SOUR"でロックン・ロールが炸裂すると、昨日とはうってかわってダイヴが絶えることなく続く。昨日はやらなかった"BELLBOTTOMS"もセットに加わり、さらに佳境へ。潰されないよう必死になりつつも、おお、これぞいつものジョンスペのライヴだと納得。身体が揺れる度に汗が霧のごとく飛び散り、客の入りや場所など全く関係なしの熱演ジョンスペながら、今日は客側の熱さが断然違う。昨日より長めのセットが終わると、私ももう汗だくヘロヘロだ。柵に押さえつけられた腕はアザだらけで足もつり気味。だが、これまでのリベンジと言うには余りあるほどのロックン・ロール大炎上。ここまで味わえたなら本望ってもんだ。

 王道ブルースと直球ロックン・ロールから、暴れ者をさらに凶暴にする化学反応を起こす事ができる唯一の男、ジョン・スペンサー。やはり彼は常にその名を冠するにふさわしい「爆発」の衝撃と期待を担って走り続ける。

---SET LIST (MAY 31)---

1.TORE UP AND BROKE
2.GHETTO MOM
3.AFRO
4.POINT OF VIEW
5.HIGH GEAR
6.WAIL
7.MONEY ROCK'N'ROLL
8.MOTHER NATURE
9.HOLD ON
10.SHE SAID
11.DOWN IN THE BEAST
12.SHAKIN' ROCK'N'ROLL TONIGHT
13.ATTACK
14.BLUES X MAN
15.THE MIDNIGHT CREEP

---ENCORE---

16.CHOWDER
17.SWEET N SOUR
18.MEAN HEART
19.LIKE A BAT
20.MAGICAL COLORS
21.KILLER WOLF

report by ikuyo.
ikuyo's works

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