--- Set List ---
1.WHERE IS THE LOVE
2.OUTSIDE
3.I NEED SOMEONE
4.TILL THE END
5.LATELY
6.OUT OF REACH
7.SAY SOMETHING
8.BEAUTIFUL THING
9.STILL TONIGHT
---Encore---
10.LYING TONGUE
11.LET IT LIVE
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ジョニー・マー。80年代に少しでもスミスを愛聴していた人間にとって、その名はもうどうにも抗しがたい吸引力を持っている。彼がプロデュースした新人という宣伝につられてCDショップで試聴した "BEAUTIFUL THING"のギターのイントロ! ああ、間違いないと鳥肌が立った。速攻でレジへ走った私だったが、意外にも当のヘイヴンのメンバー達は、ジョニー・マーやスミスが何者かを全く知らずにいたと言う。じゃあ、この音はどこから降ってきたのだろう?
不思議に思いながらも、危なくはなさそうだと最前に陣取る。東京は追加公演も出たほどの人気だか、最終日の大阪も、後方がよく見えないほどの満員盛況ぶりだ。ステージ上はドラム・セットや、その他機材が後方にグッと押しやられた感じで、
やけにすっきりしている。やがて、定刻を10分ほど過ぎて登場したメンバーに、悲鳴とも言えるほどの黄色い歓声が。え? ヘイヴンってアイドル系? と焦ったが、なるほど中央のヴォーカルのゲイリーを筆頭に、皆カッコいい。そして "WHERE IS THE LOVE"でスタートすると、ゲイリーもベースのイワンも、前へ後ろへとステージいっぱいに動きまわる。ああ、このスペースはそういう事か。
「繊細なギター・サウンドの中に漂う歌」というイメージを裏切り、ファルセットがかったゲイリーのヴォーカルは生だと本当にエモーショナルだ。彼がアコギをかき鳴らして熱演の"LATELY" も、続く"OUT OF REACH" もドラマティックだったが、それより何より"SAY SOMETHING"の曲紹介をした時の盛り上がりと言ったら!もう悲鳴と歓声と大合唱が一緒になって最高のノリ。もちろん私も大口開けてしっかり参加する。この胸キュン・メロディは、本当にみんなの宝物だね。
終わると、ゲイリーがいきなりカメラで客席を撮影して「キミタチハ、サイコウ!」だって。ついでにステージからペット・ボトル投げもして、悲鳴がさらに大きくなったところで、"BEAUTIFUL THING"のあのギターが! その瞬間、私は完全にノックアウト状態。だって、今夜はもうこの響きに身体じゅう埋め尽くされたくて、ここに来たようなもんだ。それもさっきの大合唱との連打だもの。ああ、なんて贅沢。♪Beautiful things don't die――美しいものは死なない。一緒に何度も何度も歌いながら、その法則を心底かみしめる。80年代やスミスや、その他時間や音楽に全く関係なく、今、ここに彼らのようなギターと美しいメロディを湛えたバンドが出てくる事が何よりの証しなのだ。そして、それを愛するファンも決して絶える事はない。女の子のゲイリーを呼ぶ声のみならず、男の子が野太い声でナットやイワンの名を叫ぶ場面に思わずなごんだところで、客席からの手拍子と共に "STILL TONIGHT"で本編終了。
その後のアンコールまで入れても結局50分ほどで終わり、少々短いものの、デビュー・アルバム1枚の新人なら仕方ないかと納得していた。ところが、壮絶な争奪戦の末、友人がゲットしたセット・リストを見せてもらうと、明らかにやっていない曲がある。実はこの日、ゲイリーの声の調子があまりよくなく、リストから3曲ほどカットしたそうだ。そんな事、少しもわからないぐらい力のある歌だったのに。でも、
それなら8月のサマソニでは、さらに素晴らしい歌が聴けるよう祈っていよう。その日まで Let it live!
* Special thanks to: Yasu-san and "Brightest Dark"BBS
report by ikuyo and photo by ikesan. |