--- Set List ---
1.DANCE
2.JUG TUNE
3.TRUTH IS NO WORDS
4.HUMAN
5.NEW INSTRUMENTAL
6.THE PEOPLE
7.TURN OUT THE LIGHTS
8.ALONE(ACOUSTIC)
9.TAKE THE LONG ROAD AND WALK IT
10.DISCO
---Encore---
11.LIFE
12.WALLS GET SMALLER
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叫べ!踊れ!「音楽」の名のもとに
まだデビュー・アルバムも出ないうちから、「UK期待の新人」と騒がれ、速攻初来日が決まる度に、興味津々で足を運ぶ。だが、ザ・ミュージックの場合は、さらにこう思った。だいたい「音楽」なんて言葉をそのままバンド名にしてしまうって、どんな神経の奴なんだ――?ちょっとU2のボノを思わせるようなヴォーカル。その一方でドラマティックに掻き鳴らされるインスト曲。ミニ・アルバムを聴いた印象では、インスト部分がよりドラマティックなライヴってとこかな。
そんな事を思いつつ開演を待っていると、不意に暗転。"I know you out there, I can feel you now..." と映画のセリフらしきものが流れて来た。時計を見るとまだ定刻まで10分ぐらいある。思わぬフライング・スタートにあわててフロア最前へ。左手に背の高いギターのアダム、右手は丸刈り頭のベース、スチュアート。後方のドラムのフィルにサッカーのユニフォーム・シャツ、半パン・ジャージ姿のヴォーカルのロバート。「UK期待の新人」というより、学校でやってるバンドそのままって感じだ。実際、ハイスクール卒業を待ってレコード契約した彼らだから当然か。
だが、その第一声を聴いたとたん、ああ!と思った。どこまでも延びる時の熱さは、確かにボノにも通じる。そこにドライヴ感あふれるギターのリフが絡みつく瞬間、瞬間のカッコよさ。曲間、何かに取り憑かれたかのように踊る彼から発せられる独特のオーラ。その熱がドラマティックな演奏と相まってフロア全体を包み込んでいく。うわぁ、生の方が断然いい!
オープニングからずっとミニ・アルバムに未収録の、初めて聴く曲ばかりなのに、すっかり興奮した私は、歌詞も知らず聞き覚えで叫びまくる。皆も思い思いに跳ねたり拳を振り上げたり、ヘッドバンギングしたり。そう、モッシュ&ダイヴだけが熱さの証しじゃない。
ヴォーカルに専念していた彼が中盤からギターを持って、インスト、"NEW INSTRUMENTAL"になると、やっと知ってる曲だとばかりにイントロに歓声が上がる。ギターを掻きむしりながらヘッド・バンギングし始めると、ちょっとAC/DCのアンガス状態。他のメンバーもまんま「シューゲイザー」スタイルで、うつむき加減に黙々と演奏している。そう、元々私がイメージしてたのはこんな感じだ。
もちろん、ここだけ取り出しても十分浸れる世界である。だが、やはり肝はロバートの歌だ。アコギ一本で歌ってくれた"ALONE" のせつなさにもさらに思う。そして、この夜一番の盛り上がりは"TAKE THE LONG LOAD AND WALK IT"。この先も彼らのアンセムとして残る名曲だろう。ところが、タイトル部分はともかく、♪ピッパッピッパッパララ…のリフをあのスピードで一緒に歌おうとすると、これが実に「舌噛み唾飛ばし」なフレーズなのだ。この曲に限らず、彼は歌にならないスキャットもさり気にすごいのだと思い知る。
そして、ラスト"WALLS GET SMALLER"まで、あっという間の1時間少々。ロバート、もうインスト曲は他のバンドにまかせていいよ、なんて言ったら怒るだろうか。だけど、あなたはもっと叫べ! もっと踊れ! そして、恥ずかしくなるほど正面切った「音楽」という名に、とんでもない熱量が込められてるってこと、まだ見ぬ連中にも刻み込んでやらなくちゃ!
*おまけ:ここで日本盤以外の曲も聴けます↓
http://www.themusic.uk.com/tm/index.cfm?Page=Tracks/Home |