button Gerling at Shinsaibashi Quattro(15th April '02)

 

 

Garling Garling Garling Garling Garling

 

アホニナレ〜!!!

 

 己を忘れ、笑顔で飛び跳ね、首を振り、ただリズムに合わせて踊るだけ…。まるでそこは、鳥獣戯画の宴のようだった。そんな空間を、音楽を作り出すガーリングは、エンターテナーであり、詐欺師であり、魔術師なのかも知れない。

 昨年のフジロックでも、レッドマーキー初日のトップバッターという大役を果たしたガーリング。邦題『若きテロリスト達が太陽を追いかける時(劇画指向)』を遅れて聴いた私は、見逃した事を後悔していた。CDを聴いただけでも、ロック、ハウス、ダンス、ヒップホップと何でもありなのだから、ライブはさぞかし凄いことに…悔やまれる!なぜ昨年見ておかなかったのか!!

 しかし、後悔の日々を送っていた私にもチャンスは来た!そう、来日公演が決まったのだ。もう、どれほど嬉しかったことか…。日程が昨年末から今年に延期になってガッカリしたが、こうやって目の前でガーリングのライブが見れたから、言うことは何もない。

 "phazer kidz in the windy city"で幕を開けた今回の宴。「コンバンワ、オオサカ〜!」と叫びながら客席を悪戯な目で見て、シンセをいじり、轟音なノイズを響かせる彼ら。その顔は、母親の目を盗んで、夜のおかずをつまみ食いしているかのようだ。メロディ自体はまったりしているのに、どことなく悪戯で…やはり面白い。いや、私の想像以上だ。さらに加速しながら『若きテロリスト達が太陽を追いかける時(劇画指向)』を中心に遊び続ける。CDがいかに陳腐で、まとめられた商品に過ぎないかを思い知らされた。まるで子供が積み木を崩しては組み立てて遊ぶかのように、音を「玩具」にして遊ぶ彼らの狂気さや、遊び心、悪戯、エンターテイメントはやはりライブでしか表現できない。「生」だからこそ生かされるバンド…それがガーリングなのだ。

 中盤で「アホニナレ〜!!!」となぜか関西弁を喋る彼らに、会場は爆笑。その言葉のせいか、一揆に会場と彼らの距離が縮まった気がする。親近感というやつなのだろうか。その後もテンションをどんどん上げ、汗だくになりながら動き回り、叫び、歌い踊る! コール&レスポンスを繰り返し、客席に下りてはタッチして歩き、観客の中を掻き分ける…そんな姿を見ていると、本当に愛しさが増してくる。最前列にいた5人の女の子を強引にステージに挙げ、皆で踊りまくった"enter spacecapsule"。まさに乱痴気騒ぎ。「ラ〜リ〜ララ〜」と喜怒哀楽の表情で歌うメンバーを見て、会場はさらに歓喜と笑いを増していく。ステージ上に挙げられた女の子達も、最初は照れていたものの、しばらくすれば笑顔で溢れ、とても楽しそう!、「尊い時間を、楽しく過ごそう!もっともっとアホになって、盛り上がろう!」というパワーを無意識のうちに感じ、言葉なんかわからなくても、今が楽しければいいと思わせてくれた。途中、ボイスチェンジャーが故障するというアクシデントがあったが、彼らのテンションは変わらない。いや、より暴走したかもしれない。

 アンコールは日本盤のみボーナストラックとして入っている"ghost patrol"。皆、待っていたかのように踊り始める。日本語のボーカルはなかったが、曲の持つ楽しさと、何よりもメンバーの楽しそうな顔が、客席のテンションを上げていた。

 とにかく楽しかった。腹を抱えて笑う所もあり、ムーディな所もあり、まさに「ザッツ・エンターテイメント」! ライブを楽しむ秘訣…それはまさに「アホニナレ〜」!!!

report by shoko and photo by ikesan.


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Tsuyoshi "ikesan" Ikegami. They may not be reproduced in any form whatsoever.

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