buttonSlipklnot @ Kawasaki Club Chitta(26th March '02)

Heavier, Faster, Monster...


 

 



 



 

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 マスク率ゼロ。つなぎ姿若干。ショボーン…。だって、スリップノットといえば、9人それぞれ強烈マスクにお揃いのつなぎスタイル。ビジュアル系のファンがこぞってメンバーと同じような服装をするのと同じく、スリップノットのファンも絶対マスク姿で、まるでハロウィン・パーティ並みの状態になっているのかと楽しみにして行ったら、なーんだ、みんな普通の格好で来るんだ。ちょっとガッカリ。冷静に考えてみれば、あのマスクして何百人の中でもまれて大暴れしたら、酸欠か脱水症状で倒れるか、顔面激痩せかあせもだらけになっちゃうだろうから、そんな危険なことはしないだろうけどさ。想像の中では、会場に入った瞬間にあの個性的なマスク被ってタバコ吸ったり、床にグッタリしていたり、ビール飲んで談笑する姿が溢れていたんだけど。

 すごすごと2階へと移動。見下ろすとフロアはすし詰め状態。「激ヤバ」と言われるライブを見せるスリップノット。どんなパフォーマンスを見せるのか想像するだけでワクワクする。そう、これが「怖いもの見たさ」ってヤツ。あの風貌とヘヴィーなサウンドから過激さの度合いは容易に想像はつくけれど、この目にしっかりと衝撃の瞬間を焼きつけなければ。その瞬間がいつ来るのか、まだかまだかと思いながら、ステージ前のロゴ入り垂れ幕を凝視し続けることおよそ20分。その瞬間がやってきた。

 暗転とともにオイオイ・コール。垂れ幕にメンバーの影がチラホラ映り、地響きのような低音が続く。観客のオイオイ・コールとメンバー登場までの焦らしで、鼓動が早くなってくる。いつ垂れ幕が落ちるんだ? どんなステージになってるんだ? 前のめりになりながら、ステージに釘付け。大歓声の中、垂れ幕が落とされた。

 9人の大所帯なら、ステージがいっぱいに見えても当たり前だけど、なんだかそれだけじゃないような気がする。右と左両脇のパーカッションの上にも人がいる。それが叩いてるんだか、暴れてるんだかがわからない。とにかくそのパーカッションは、片方は上下し、もう片方は左右に激しく動く。メインのドラム・セットが上昇するのは知っていたけれど、両側のパーカッションまで、まるで遊園地のアトラクションのように激しく動くとは。

 始まりと同時に観客の興奮ぶり、はじけぶり、狂いぶりも凄まじい。2階席の人たちも、始まるや否や立ち上がり、ここも興奮のルツボに叩き込まれた。轟音の連打、シャウトのシャワー。1階フロアでは、拳を掲げ、ものすごい速さの立て揺れを続ける観客。来日が延期になり、スリップノット禁断症状から解き放たれた人々が荒れ狂う。過激でヘヴィーで、なおかつ高速の曲、そしてステージ上でクレイジーに暴れまくるスリップノット。

「カワサキニ、ヨンデクレテアリガトウ」なんて愛らしいコーリーのMC。その日本語が微妙に上手いんだな。「コノキョクハ…」でほとんどの曲が始まる。そして、「コノキョクハ…、Left Behind」と言った瞬間、私は眼下に見下ろす荒波にダイブをしたくなった。それは、"My Plague"の時も同じ。スリップノットの私だけが勝手に思う魅力。それは、シャウトばかりではなく、"Left Behind"や"My Plague"のように、ヴォーカルの声が突如として優しく、旋律が穏やかになるところ。そのメロディがたまらなくいい。私は、ヘヴィーな中のそのギャップがものすごく好きだったりする。

 中盤、メンバーがステージ上から姿を消し、暗闇にただ一つスポット・ライトを浴びながらドラマー、ジョーイのワン・マン・ショウが始まる。来るぞ、上がるぞ、回るぞ!激しくドラムを叩きながら上昇し、頂点まで達すると前方へ90度倒れてくる。それでも叩く。そして、その状態のまま回転する。それでも叩く。定位置に戻り、バン!と締めて、今夜もやってやったぜ、見せてやったぜ!と言わんばかりに両手を高く伸ばす。この妙技、実にお見事。キレイに髪をなびかせて、一番控えめそうなマスク(マスクだから控えめだかどうだかわからないけど)姿の彼のドラムは男気、いや、ドラマーの職人気質を思わせる。

 再びステージに全員揃うと、今度はコーリーが歌う最中で、またしても微妙に上手な日本語で「しゃがんで」と言い出す。しゃがむのか? みんなが言われた通りしゃがむと、今度は英語で「オレがJump the fxxx upと言うまでそのままで」と何度も言う。不安だ。誰かが突然その前に飛び上がっちゃったらどうしよう。でもワクワク。何が始まるんだろう。会場全員がしゃがんでる光景なんて、今まで見たことありますか? ないですね。そして再び歌いだす。しゃがんだままでも、片手を揚げてノる人々。そしてついにその言葉が出た。Jump the fxxx up! みんな一斉に飛び上がる。Wow! なんて外人みたいな驚嘆の叫び声が思わず出ちゃったくらい、その光景は見ていて気持ちよかった。

 みんながどれくらい歌詞を聞き取れているのか、こういうヘヴィー系のものは共に歌うというのが非常に難しいような気もしていたんだけれど、さすがスリップノット崇拝者は違う。歌いだしを場内に求めると、見事なまでに大合唱が起こる。それが何の曲だったか、申し訳ない、わかりません。そしてまたしても、日本語で「ナカユビタテロ」。1階フロアは中指で埋め尽くされた。

 たくさんの日本語を話し、コミュニケーションを取ろうとするところは、本当に嬉しい限り。「IOWAに来たいかぁ?」…行きたいけれど、アイオワのデ・モインって何にもない所だよね? しゃべると普通のお兄ちゃんだね。なんてカリスマ性を打ち砕くようなことを思ってしまった。ただ、がなって煽ってだけのパフォーマンスかと思いきや、会場すべてを飲み込んで、スリップノットの音に操られるかのようにみんながジャンプする。過激なのは、マスク姿と両側のパーカッションの上に乗って回ったり、ぶら下がったり、一瞬ケンカしている風に見せて暴れている2,3人のメンバーで、残りのメンバーはひたすらプレイに打ち込んでいる。一時たりとも、ステージ上から目が離せない。人数が多い分、あっちにもこっちにも目をやらないといけないっていうのもあるけれど。ステージ上からは、見る者の目を釘付けにする、オーラのようなものが発せられている。

 ここ最近ヘヴィー・ロック系のバンドは数知れず。その中で彼らが他とは一線を画しているのは、独特の個性とカリスマ性、ありきたりな表現だけど、曲のカッコよさ。他には類のないスリップノットのすべては中毒性がある。これは、一見の価値ありのライブ。本当に「激ヤバ」です。
report by ali and photos by Shigeo Kikuchi

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