The cooper temple clause @ Shinsaibashi Quattro(25th March '02)
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未知なる期待、大爆発!
昨夏のフジで見逃して以来、ずっと待ち焦がれていたクーパー目撃の夜。定刻を少し過ぎ、客電が落ちる。ヘタに前に行くと潰されるかと思いつつ、やはり皆と一緒に前へ前へ。ぐっと暗めの照明の中、オープニングはアルバムと同じく"DID YOU MISS ME?"だ。だが、ゆったりと始まってもどんどん加速、最後に大爆発が待っている事は、もう承知の上。客席の来るぞ、来るぞ! の期待感が一体となって「クーパー節」は1曲めから全開だ。思いきりうるさい音にも埋もれず、ベンのヴォーカルがさらに炸裂する。
「コンニチワ。ボクタチハ、THE COOPER TEMPLE CLAUSE デス。コノキョクハ…」
まだ息を切らしたままベンが挨拶。最近は大阪に来れば「オオキニ」連発でウケるアーティストも多いのに、何てガイジンらしいカタコト日本語なんだろ。だが、ツギノキョクハ、イマノキョクハと微妙にパターンを変えつつ、1曲ごとに少し息を切らせながら紹介してくれるので、レポ書きの身には大助かり(笑)だ。そして、"FILM-MAKER"が紹介されると、オイオイ・コールが起こり、中央ではダイヴも出て一気に熱くなる。ああ、この走りっぷり、やっぱりカッコい〜い!
ふと見ると、さっきまで私の前でキーボードをいじっていたギタリストの彼が向こうへ行ってベースを弾いている。皆ローディのように黒Tシャツにジーンズ姿なので、裏でギターのチューニングやマイクの直しをしているスタッフと同化しそうだ。ティーンエイジ・ファンクラブやスローンではないが、彼らも6人のメンバーのうち3人までが各パートをコンバートする。気がつくと、メンバーはあちこち移動。嬉々としていろんなツマミをいじっては音の洪水に。時にそれはモグワイにも負けぬほどの轟音と化す。
そんな音をバックに、ヴォーカルに専念していたベンがギターをかき鳴らし始めると"PANZERATTACK"だ。おらおら、この荒々しさとスピードはどうだ! "Here comes the Panzer Attack, Panzer Attack! "、みんな拳を振り上げ、叫び続ける。一転、スローダウンした"AMBER"でも、さらに声も枯れんばかりのドラマティックなヴォーカルは圧倒的だ。ストリングスの音にステージを見回すと、レスポールのギターをバイオリンのように弓で弾いている。あら、懐かしい。昔ジミー・ペイジがよくやってた技だよ。
1曲ごとにちぎれんばかりに叫ぶベン君、息を切らしつつ、後半は遂に「ウゴケマセン」。いやいや、まだあるでしょ。そして、ビートに乗ってあのピヨョ〜ンなノイズが走ると、待ってました!の"LET'S KILL MUSIC"だ。一緒に飛び跳ね、Kill music ! と連呼しながら、実はこれほど「音」のパワーを感じさせてくれる曲もないぞと改めて思う。
何のサビ・メロもなく、このフレーズだけなのに、こんなに血が騒ぐんだもんな。コレガサイゴノキョクデス、と始まったのは、生だといっそうスケールがでかい"MURDER SONG"。あっという間の客電にブーイングが起こるも、再登場はなく、結局1時間ほどで終了となった。
ゴリゴリのパワーで突っ走る曲も、スローで限りなくドラマティックな曲も。そして、そんな曲達を彩る様々な種類の音塊も。演奏や曲作りがうまく、ソツなくツボを押さえたかのような新人が多い中、クーパー達は違う。どんな枠にも収まりきれないゴリゴリの熱量はもとより、次は何が来るかとワクワクさせてくれる、あの「得体の知れなさ」がたまらないのだ。巧いバンドなんていらない。私達が一緒に熱くなれるのは、こういう連中なんだよ。
--- SETLIST ---
1.DID YOU MISS ME?
2.THE DEVIL WALKS INTHE SAND
3.WHO NEES ENEMIES?
4.FILM-MAKER
5.THE LAKE
6.PANZER ATTACK
7.AMBER
8.DIGITAL OBSERVATIONS
9.WAY OUT WEST
10.BEEN TRAINING DOGS
11.LET'S KILL MUSIC
12.MURDER SONG
report by ikuyo and photo by ikesan. |
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