button Diskaholiks anonymous Trio at Aoyama CAY(23rd March '02)

 

 

Diskaholiks anonymous Trio

 

Diskaholiks anonymous Trio

 

Diskaholiks anonymous Trio

 

Diskaholiks anonymous Trio

 

Diskaholiks anonymous Trio

 

Diskaholiks anonymous Trio

 

 

*なお、写真は3月25日の高円寺20000V公演で撮影されたものです。

 

OTAKU達の宴

 

 START直前、会場につくと溢れる人人人…。

 あまりの人の多さにビックリしてしまった。後ろのバーカウンターに座っている人も沢山いる。しかしここで諦めてはいけない。根性だして少しずつ前方へにじり寄る。今日はいつもの「王子様の御尊顔を近くで見たいんジャァア!」というミーハーな心ではないのだ。自他共に認める音楽オタク達が、どんな楽器でどのようにそれを使って演奏するのか?!という私には珍しく真面目な気持ちなのである。そうやってジリジリと進んでいるうちに Diskaholiks anonymous Trio登場。ステージ左側にMats Gustafsson、右側にはThurston moore、そして中央にJim O'rourkeという配置。しかしデカいThurston、立っている目の前のMatsは別として、ステージ中央に座っているJimの姿は人垣もあって私のところからはまったく見えない。たまにユラユラと動くオデコがチラチラと見えるだけ。音楽オタクの宴に、日本中の音楽オタクが結集してしまったのだろうか? 私の横で不自然な体勢でナナメりながらユラユラと揺れている男の子を見ながら思う。

 この3人の活動について、あまり知識もなく見に来たのだが、一番興味深々だったのがスゥエーデン人のMats Gustafssonの管楽器プレイである。Thurston moore、Jim O'rourkeについてはSonic Youthを通して彼等の活動、音楽的趣味は伝わってくるのだがMatsに関しては「スゥェーデンの即興演奏の凄い人」くらいにしか(いや、それすらも)情報はない。まあ、もちろんこの会場においてはそこらへんのマニアックな知識をたっぷりと持っている人も沢山いるのだろうが…そう、私のような「Matsって誰さ〜〜インプロって即興のことでしょ〜フラフラ」とゆーぼやけたヘタレにも、一般にもインプロヴィゼーションの世界というのは神秘のベールに包まれているのものなのだ。

 突然、屠殺場に連れていかれた豚の悲鳴のような音がMatsの笛から聞こえてくる。たかい、キンキンとした音がピッコロのような、ソプラノリコーダーよのうな銀色の笛から聞こえてくる。それに同調するようにギターのユルユルとした音色が被さり、さらにエフェクトされた何かの音(としか言えない音色)が加わると、なんとも気持ちがいいのか悪いのか形容し難い音楽が出来上がっていく。ただ、ひとつひとつの音はエネルギーに満ちて生命力がある。有機的な音だ。しばらくその即興で繰り広げられる様を聞いていると、即興で無秩序である中にも何かの循環のようなものがあることに気付く。壊され、グニグニにされた音が沈静し、また構築されて再生する循環…とでも言えばよいだろうか。そしてこの循環というのは何かに似ているな〜〜と考えていると、ふと無音室に入った時のことを思い出した。

 以前私は自分の心臓の音を真っ暗な無音室の中で聞いたことがあるのだが、ギザギザのスポンジの山が壁一面に貼付けられた部屋に入ってまず最初に聞こえてきた音というのは空気のミーーーーーーンという音だった。無音室というのは、音をすべて壁のギザギザスポンジが吸収してしまうので、何も聞こえないものと思っていたのが、実は全く逆だということが非常に面白かった。次に、その状態になれてくると聞こえてくるのが自分の体が発する音だった。これには驚かされた。

 ツバを飲むゴクンという音、首をまわすと髪の毛が耳の近くでカサカサと動く音、そして首の関節が動く音、耳の中で留まっている空気の音、顎の骨の音、肺が呼吸している音、そして身体の奥の方…脳みそのシナプスが電気を通している音までもが聞こえるような気がしてくるくらい、自分の体が騒がしいことに、本当に驚いた。

 ああ、この音だったのか。Diskaholiks anonymous Trioがくり出す個々の音というのは。私には、まるで体の各器官から出される音を3人集まってひとつの体につくりあげていくように聞こえる。笛越しにMatsがブーブーと息を吹く。それはまるで肺の音。Jimが奏でるギシギシ、カコカコという音は骨と筋肉の音。Thurstonのギュルギュルジョニョジョニョなギターはまるで脳みその音…。

 彼等がどんな風に感じてこのような演奏をしているのかはわからないけれども、もしかしたら自分の体から絶えず出される音を表現しているのだろうか… などと思わされてしまう演奏であった。

 ステージには何の余計な飾りもなく、赤や蒼白いぼわーんとした照明、そして時々フラッシュライトが延々と点滅するというシンプルなものだったが、彼等の演奏というのは目にも飽きる事のないチャーミングなものであった。Matsのアツイ笛さばき(?)は見ているこちらまで呼吸困難になりそう。肺が痛ェデス。なんつーか、そのスタイルは「晴れ時々痙攣」というようなヒステリックとリラックスが混ざったもので見応え十分。カッチョイー永遠の青年・Thurstonがその長身でギターを高く掲げて弾く勇姿は文句なく痺れます。きゃあ♪と、いつものミーハー心に戻ってしまったり♪ウフ♪ そしてJimさん…… Jimさん… マイペース。マイペースなところが素敵だあ。(笑)つか、頑張って行けるところまで前にいったんだけどJimさん座って淡々とプレイ… なんで何も見えなかったのです。ただ、時々見えるオデコに光るものが見えたりして、チト感激(何で?)したりする。

 このようなハイクオリティなインプロヴィゼーションというのは、彼等のバカテクな技術あってこそ出来る演奏なのだろうが、幸か不幸か私は技術がどうこう言える知識を持ち合わせてない。とにかく体感するだけである。実にお気楽で楽しくてよいなぁ〜〜〜と、少し緊張しつつダラけた自分の体の音はDiskaholiks anonymous Trioとのシンクロ感を味わいつつ、夜が更けてゆくのであった。

 

report by mimi and photo by saya38.


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