buttonOzomatli @ Shinjuku Liquid Room(14th Mar. '02)

オゾマトリの行くところに祭りあり



Ozomatli
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 18:45、歌舞伎町の「カレーの王様」でカレーを食う。食べているときもずっと、彼らはどこから登場するのだろう、と考えていた。店を出てコマ劇場の周りを歩く。「北島三郎特別公演」というのぼりが一杯立っている。まさかこの建物に面している広場から始まるんじゃないか、そうしたらリキッドルームの階段を上がるのは大変だよな。間違えてコマ劇場に入ったら面白いな。サブちゃんのまつりとオゾマトリの祭り。多分めちゃくちゃで、思い切り笑えて、忘れられないくらい楽しいライヴになるんだろうな。リキッドルームに着くとなんか普段のライヴとは雰囲気が違う。年齢がバラバラで格好もバラバラ。外国人比率が高い。

 フロアにフジロッカーズorgの外国人スタッフが居たんで、片言の英語と片言の日本語で話をする。

「(英字)新聞で宣伝したけど、人が入るのか心配」

「あそこに立っているマイクは何ですか?」

「本国から来たファンと言ってました。メモリーのために録音しているらしいです」

「オフィシャル・ブートレッグ?」

「違います、自分の楽しみのためのようです」 「オゾマトリは現地でどれだけ人気があるんですか?」

「イチゴ農場の労働者のストライキの支援ライヴで2万人を集めたらしいです」

「そういう労働問題に関わっているんですか?」

「共産主義や人種問題の活動をしているコミュニティから出てきてます。そういうコミュニティは日本にもあるようですが、これほど活発ではないです」

「エイジアン・ダブ・ファウンデーションみたいなものですか?」

「exactly!でも、オゾマトリの方がエイジアンよりリリックが重いです」

 ロビーでビールを飲んですでにかなりの状態になっている人もいる。一体、彼らはどうやって登場するのだろうか?と考えていると、ステージに人が現れ、ウッドベースを弾き始める人がいる。あれっ!? これがオゾマトリの人?よく見たら、どうやら前座のバンドらしい。徐々にメンバーがそろい、タンゴぽい哀愁を醸し出して始まり、ジャズを経由して、カリプソまでアメリカ大陸の南端から北までいろんな音楽で旅行している感じ。「『ルパン3世』でかかりそうな音楽」という声も納得いくし、スカパラが好きな人なんかにお勧めできそう。後ろの方で観ていると、オゾマトリのメンバーが入れ替わりたち替わり偵察?してくる。

 さらにロビーでまったりしていると、そう言えばグラミー賞をかれらは授賞したという話になり、一体彼らはどの部門で授賞したの?と、通りがかったスマッシュのKさんに聞くと「ラテン部門とオルタナティヴ・ラテン部門」だそうである。ラテン部門はともかくも、オルタナティヴ・ラテン部門なんていうのがあるのか。初耳だ。少なくとも、リッキー・マーティンとかは授賞しないんだろうな。こういう部門を作らないといけないくらいラテンの勢いが強いということなんだろうか。ステージにメンバーが出てきて楽器をセッティングする。ナンバーガールみたいにそのまま演奏が始まるのかと思いきや、そうはならない。

 20:30ころ、フロア後ろの方で待っていると、友人がロビーの方へ来い、という合図をするので慌てて出て行くと、メンバーが楽器を持って勢ぞろいしている。そして太鼓が打ち鳴らされ、それが祭りの始まりの合図となり演奏しながらフロアに入っていく。やっぱり、オゾマトリはどこでやってもオゾマトリなんである。

 

 ...約2時間後、メンバーが演奏しながらフロアへ降りていき、真ん中あたりで、フジや朝霧でやったように「カラスの勝手でしょ」から「アイアン・マン」から「第9」から「セサミストリート」など、リキッドルームをお祭り広場に変えてしまって、最後はやっぱりロビーで終わった。

  すっかり満喫してライヴ後、新宿某所へ

「結構ミュージャンを見掛けましたよね」

「3ピースのメンバーとかドライ&ヘビーのマイちゃんとか、サザンオールスターズのベースの人とか」

「前座に出てたのは、ダブル・フェイマスなんだよ」

「そうだったのか。去年フジにも出た」

「ダブル・フェイマスのファンも結構来てたんじゃないかな」

「それはそうと、オゾマトリ。『楽しかった』で済ませられないかなあ」

「うーん、いろいろ説明するのが難しいね」 「期待を裏切らなかった。それだけで十分でしょ」

「オゾマトリでやってないジャンルってレゲエやダブかと思ったけど、今日はレゲエぽいのもやっていたしね。最後の方でパンクぽいのもやっていたし」

「基本はファンク、ヒップホップ、ラテンなんだけど、幅が広いよね。おれはね、プリンスが『パープル・レイン』であんなに売れなかったらいずれこういう音楽やってたと思うんですよ」

「ほう。プリンスもラテンの要素があるだろうしね。哀愁のあるメロディとゴリゴリのファンクを組み合わせるようなところはそうかもしれない。今は人口的には非ワスプがアメリカでも増えてきているから、ヒップホップとラテンが手を組むのは自然なことだと思う」

「あと、印象深かったのが、戦争に反対するMCをした後で演奏した曲がインストゥルメンタルだったことですね。あれだけ、リリックが売りという側面もあるバンドが、言葉のメッセージを出さないっていうのは、ああいう事態を前に『言葉を失っ た』っていうことを表現してるんじゃないかと」

「というか、納得できる歌詞が出来るまで歌詞をつけないんじゃない? 声高に語ったりしないという意味ではとても誠実なバンドだよね」

「あと、やっぱり踊りですよね。あのラッパーの腰使い(笑)。ギターもベースの人も振りをちゃんと合わせていたときもあるし。それとフジとか朝霧のお客さんが多かったですよね」

「後ろに朝霧で会った外国人の女の人がいてお互いビックリしていたよ。『あのバスに乗っていましたね』って」

「おれも曲知らないけど、フジと朝霧で観ているから、なんか染みついちゃった。あ、『いつも2曲目にやる曲だ』って盛り上がれる」

「何でこんなに雑食でいつもお祭り騒ぎみたいで楽しいんだろう?」

「やっぱり彼らには動機があるわけで。自分たちのコミュニティを知ってもらいたい、自分の考えを広めたいっていうのが、根本にあるのは強いですよ。日本だといい音楽つくる人はいっぱいいるけど、趣味の表明になっちゃう。好きなバンドだけど、○○○○なんかは『おれはパブロックが好き』ということは分かるけど、なんでこういう音楽をやる本当の動機が見えてこないですね。オゾマトリは、言わなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことがありますもんね」

「それは、彼らは現実にいろんな問題を抱えているから、言いたいことがある人よりも、言わなきゃいけないことがある人の方が強い動機を感じるよね。それいで、あんなに楽しい祭りが出来るんだから凄いよね」

「それは、みんなを楽しませないと受け入れてくれないから、彼らにとって死活問題なわけですね」

「そうだね。で、結論は楽しかった!ということで」

「いろいろ理屈はこねたけど、文句なく楽しかった!」


コメント協力:

jude、hideto

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