Incubus at ZEPP Osaka(25th Feb '02)
|
--明日何が起ころうとも--
「え〜っ、うそぉ! 」仕事の後、大急ぎでZEPPに向かう電車の中、思わず声をあげてしまった。友人からのメールには、ついさっきメンバーが出演していたFM番組に、肝心のブランドンが欠席。何と体調がすぐれずホテルで休んでいるとの報告が。おいおい、大丈夫か? 本当に今日は予定通りあるのか? 不安をよそに到着してみると、無事に開場していて一安心。しかし、この人の多さはソールド・アウト? 人また人をかきわけて、何とか前方の柵前でスタンバイ。
暗転と同時に皆がものすごい勢いで殺到。いきなりオイオイ・コールの嵐だ。うわっ、こんな恐いスタート・ダッシュは久々だ。押された勢いであっという間に柵下をくぐり抜け、最前エリアに乱入。しまった! 予想以上に暴れ系の男の子が多い。暗い中を尺八のような音色が響きわたる。ヘ〜イ、ホワッド・ミーンズトゥユー。ヘヴィなギターのリフに変わると、さっそくの大合唱とモッシュ! "CIRCLES"でスタートだ。昨夏サマソニで見た時とは比べ物にならないほどの圧力と熱気。あれ? インキュバスってこんなに危ないバンドだったっけ? と悩むよりまずはわが身の安全確保。あちこちぶつかり、押され流され、1曲ではや汗だくになりながら、さらにへヴィに"NICE TO KNOW YOU" へつながる。白いシャツにネクタイ姿のブランドンは、そう言えば心なしかマイクスタンドに寄りかかっているような感じもするが、その歌声は限りなく力強い。ファンはどの曲も皆叫びっぱなしに暴れっぱなし。曲のイントロにいろいろヘンな音を入れたりして、少しでもひっぱり気味になると、せっかちな外人連中からは"Hurry up! "コールまで起きる始末。いやもう熱い、熱い、そして暑い。
まあ待ちなよとばかりに始まったのは、アコースティック・ギター1本で歌われた"MEXICO"。最新作「モーニング・ヴュー」の中で、これは絶対ライヴの中盤、クール・ダウンでやったらいいだろうなと思っていた。今まさにそのとおりの光景が目の前で起きている。だが、さらに鳥肌が立ったのは続くDRIVE"。アコギのイントロ、ほんのワン・コードで大歓声が起きたかと思うと、サビを歌ったのはブランドンではなく、ファンみんなだった。誰に煽られるでもなく完璧なまでに続く大合唱。本当に汗だくの身体にしみるブランドンと皆の「うた」。少し前までやたらヘヴィだったり、スクラッチとかヘンな音だらけで、少なくとも私にはよくつかめないバンドだったインキュバス。それがいつしかいいなと思えるようになったのは、こういう歌のおかげなのだ。
しんみりした後はまたまた暴れモード炸裂、ヘヴィな"NEW SKIN"で突っ走り、太鼓を叩く音からさらに"PRIVILEGE"へ。スクラッチもギュンギュンやってる。ブランドンもいつのまにかシャツを脱いで上半身裸だ。ラスト "MAKE YOURSELF"が終わり、ブランドンがまたね、とステージを去るとすぐ客電が。当然アンコールを求めるインキュバス・コールは鳴り止まない。1時間をようやく越えたかのセットは、確かに彼らにすれば短すぎるだろう。だが、一時は中止かと覚悟さえしただけに、体調が悪い中、ここまでやってくれたブランドンをまたひっぱり出すのも何だかつらい。何とも複雑な思いで汗だくの身体をひきずり会場を出た。やはりこの日のセット・リストにはもう3曲ほど記されていた事。そして次の名古屋公演が中止になった事を聞いたのは翌日だった。
Whatever tomorrow brings,I'll be there with open arms and open eyes.
明日何が起ころうとも、僕はそこにいるよ―――。
今もまたこの夜一番心にしみた"DRIVE"の一節が甦ってくる。ああ、ブランドン。あなたは本当にこの歌のとおりだったね。
--- set list ---
1.CIRCLES
2.NICE TO KNOW YOU
3.STELLAR
4.NOWHERE FAST
5.GLASS
6.WISH YOU WERE HERE
7.THE WARMTH
8.MEXICO
9.DRIVE
10.NEW SKIN
11.PRIVILEGE
12.ARE YOU IN?
13.A CERTAIN SHADE OF GREEN
14.MAKE YOURSELF
* Special thanks to KUMO san
reported by ikuyo and photo by ikesan.
|
|
|