The Chemical Brothers @ Akasaka Blitz(22nd Feb '02)

音楽の果て、至上の時

The Chemical Brothers
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 いつもの赤坂ブリッツと違っていた。ロビーに入るとビールを求める人たちの長い列。それとは対照的にグッズ売り場がスカスカ。特にパンク系のライヴではグッズを求める人でいっぱいになるのに。フロアに入るとスピーカーが四隅に置かれている。おぉ、サラウンドシステムなのか、それにしても今まで見たことのないスピーカーの形だな。それからPAのブースにはいつもよりもたくさんの機材やパソコンがある。さらにステージの上には円形スクリーンがステージと平行で下がっている。

 要するにお客さんも、やる側も気合が入っているのである。普通のライヴを越えた雰囲気に満ちていた。前座のDJが終わり、19:10ころ会場が暗くなる。そして、聴こえてきたのはスローな曲で男の歌声。よく聴くと「Turn off your mind relax and float down stream.It is not dying It is not dying...」。ビートルズの"TOMORROW NEVER KNOWS"のカヴァーではないか! "Setting Sun"の元ネタとなった曲をオープニングに持ってくるとは! そして2人が登場して"Come With Us"になだれ込む。フロアのお客さんの歓声とたくさんの腕が上がる。フロアは満員のようでいて各自の踊るスペースが確保されていて良い感じである。

 そうこうしているうちに、円形スクリーンが下がってきて、機材スレスレのところまで来て「ぶつかる!」と思ったら今度は起き上がってステージと垂直になってさまざまな映像が映し出される。同じ映像はステージの両脇のたてに長細いスクリーンにも映っているし、彼らの機材が乗っかっている台のところにも映し出されている。さらに7曲目くらいからステージ後ろのカーテンが開いてそこにも映像が映る、って彼らスクリーン使いすぎ。なんて贅沢な使い方なんだろう。"Music : Responce"から"Block Rockin' Beats"と次々と途切れることなくお客さんをねじ伏せる音の塊を繰り出してくる。"Leave Home"なんかの自分達の過去の曲をちょこっとずつ使いながら、徐々に次の曲に変わっていくのだ。

 "It Began In Afrika"ではアフリカの民俗模様がスクリーンにたくさん登場して、 「アフリカから始まった」ことを目から耳からケミカルブラザースによって植え付けられる感じだ。彼らはアフリカのお祭りを毎晩再現しているのだ。

 そして"Out Of Control"の導入のところで、自分の記憶が正しければニューオーダーの"Blue Monday"と同じバスドラのパターンを使っているはずである。それから"Star Guitar"との間に、どこかで聴いたことあるなと思ったら、これまたニューオーダーの"Tenptation"。マンチェスターの大先輩へのリスペクトの捧げ方は本当に素晴らしい。そして"Star Guitar"。このときフロアのほとんどの人が手を挙げたんじゃないだろうか。やっぱりこの曲は星がキラキラ輝いている空の下で聴きたい。

 "Star Guitar"で頂点を迎えるまでどんどんアガっていって、一旦音が途切れる。そして再びラストまで突っ走る。"Sunshine Underground"では、スクリーンに大きな太陽が映り音と共に日の出を体験する。"Elektrobank"のビートをつなぎとして、四つ打ちに改造された"Setting Sun"。「Super starDJ!Here we go!」とみんなの合唱で応えた"Hey Boy Hey Girl"。本編ラストはリチャード・アシュクロフトの荘厳な声が響いて"The Test"。

 最初から最後までぶっといビートで踊られっぱなしであるが、すぐにアンコールを求める拍手。再び登場して"Leave Home"。そして、中世の宗教画が映されて "The Private Psychedelic Reel" 。最後のパートがくりかえされ、ドラムの「ダダンッダダンッダダンッダダダダ」という音に何度も歓声が上がる。スクリーンは眼がいっぱい映っている。

 最後に再び円形スクリーンが降りてくる。裏が反射材で出来ていてスタッフの人がそれを手で動かしてフロアを照らす。コンピュータで計算されたショウの最後がこんな人力での演出である。もしかしたらケミカルブラザースのメッセージはこれなんじゃないかと思った。いくらテクノとかビッグビートとかトランスとか言っても最後は人なんだよ、と。元ネタを演奏しているのも人、プログラミングしているのも人、決してコンピュータが音楽を作っているのではなくて、僕たちが作っているんだよ。

 最後に、まだこれからライヴに行く人は、出来ればフロアの真ん中辺でサラウンドシステムの効果があるところで聴くことをお勧めする。2階席とかフロアの一番後ろだともったいない。


---SET LIST---

Come With Us
Music:Responce
Block Rockin' Beats
Transition―ohm
Song To The Siren
Under The Influence
It Began In Afrika
Out Of Control
Transition―Tenptation
Star Guitar
The Sunshine Underground
Hoops
Setting Sun
Hey Boy Hey Girl
The Test

---ENCORE---

Leave Home
The Private Psychedelic Reel
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