"Alive"を初めて聴いた時、なんてかっこいいんだろうってドキドキした。そしてそのPVを見て更に惚れこんだ。よし、この人たちが日本に来たらライブに絶対行こう、と決めていたものの、周りで賛同してくれる人もいなく、一人ぼっちでクアトロへ。どうしても聴きたかったの、"Alive"が。後で見ときゃーよかったよ、なんて言っても知らないんだから! この日のチケットはまだ余裕がかなりあったようで、会場に入るのが不安だった。全然人がいなかったらどうしよう、なんていらぬ心配を抱いて重い扉を開けてみると、意外とたくさんいるじゃない。なんてホッとしたのも束の間、見るとフロアはガラガラ。前の方に2列くらい詰め寄せている人たちがいるその後ろは、大きく空いている。そこでP.O.D.が演奏するの?ってくらい、広く空いている。これが全米でデビュー・アルバム100万枚以上のセールスを誇る人たちの日本での知名度なの?愕然としたくせに、私もフロアへは降りず。一段上がった所で見ていようと、ただボーっとチューニングが終わるのを待つ。ドキドキと鼓動が早くなる。こんな間近で見られるなんて。ひたすら待ち15分くらい経過した頃、少しずつ人々がフロアに降りてくる。次に目をやった時は、フロアに人が集まってきた。ホッ。 場内が暗くなり、メンバーが登場。"Set It Off"。"RISE!"の言葉がこだまして、フツフツと興奮と鳥肌で全身が覆われる。続いて"Boom"。がたいがよく、ゴツくてでかい彼らがステージに立つと、ものすごい圧迫感がある。ドレッドを振り乱して頭を振り動き回るソニー。そして最前列の柵の上に立ち、身をかがめて観客にかぶさるようにして歌う。無数の手が伸び、ソニーにタッチ。身をかがめる度に、ズボンが下がり赤のパンツ(?)がチラリ。そのズボンを上げる姿がとてもオチャメ。 どこでも彼らはこういうライブをやっているんだろう。本国では何千という観客を前にライブをこなしているはずなのに、日本ではその何百分の一。それでも手を抜くこともなく、観客を煽りテンションを引き上げ、一曲終わればみんなに向かって拍手する。時には両手を合わせて感謝の意を表す。今でこそ本国を離れてライブができるほどのバンドになったけど、それまではオンボロのバンでひたすらプロモーションを行う、苦行を乗り越えてきた彼ら。だからこそ、ファンへの感謝の思いは強いらしい。ライブはオーディエンスのためにやってるんだって気持ちが日本のファンにもキッチリ注がれていたように思う。 "You need some water? something? something?" 一口飲んでは、水を撒き散らしペットボトルを観客に投げる。投げるというよりは、飲みなってかんじでヤンワリ投げ込む。セカンド・アルバム『satellite』の曲をメインに、古い曲もあり、(恐らくファースト・アルバムのものだろう)激しく力強い曲が続く。そして"Satellite"。続いてイントロの子供の声が聞こえてきて"Youth of The Nation"へ。余談だけど、この曲は、コロバイン高校の銃撃事件を知って作った曲らしい。彼らが練習をしている場所からほんの数マイルしか離れていない学校で、恐ろしい惨起こった。現代の子供が直面していることについて歌っている。そして場内は"We are, We are, the youth of the nation"の大合唱が続く。 相変わらずどの曲でも、最前列の柵に立って歌うソニー。不安定な上に立ってる間、観客の手をしっかりと掴んでいる。一曲の間ずっと彼を支えるのは重くて辛かっただろうけど、それは貴重な体験だったはず。そしてステージに戻り、観客にサークルを作るように言うけど、思うように伝わらず。恐らくモッシュやれよ、という事だったんだろうけど。というのも、その時にやった曲が、昔の曲らしく猛スピードの激しい曲。始まると自然とモッシュができるものの、あっけなくそのモッシュも消滅。 自分たちを暖かく迎えてくれたこと、そして今日ここに集まったみんなに、ありがとうを何度も伝える。知らない人同士がここに集まってるわけだけど、みんなお互いを気遣って、と。優しさと暖かさがすごく伝わってくる。"You guys are AWESOME!"の観客の声にはにかむ顔や両手を合わせる仕草、そしてたくさんの"Thank you"の言葉が、曲もカッコイイけど、彼ら自身もクールな人たちなんだと思わせる。完璧に惚れこんだ。そして待ち焦がれた"Alive"。どの曲よりも、この曲はアグレッシブなのにメロディアス。 "I feel so alive for the very first time/ And I think I can fly" このフレーズが好きでたまらない。ソニーの掲げた手を見つめる。遠くに何を見てるんだろう。この曲を聴くだけでもライブに来る価値はあったのに。ライブを見たら、絶対みんなP.O.D.ってかっこいい!って思うはずなのに。 P.O.D.の音楽のテーマは、希望と愛。敬虔なクリスチャンである彼らならではのテーマ。そのテーマとメッセージはどれくらい伝わっただろう。彼らのデビュー・アルバムは、ラジオでのヘビー・ローテーションや大掛かりなプロモーションなしに、プラチナになった。それがインタビューを読むと、どうやらすべて「口コミ」によるものだったらしい。今日P.O.D.のライブを見たみんなに、口コミでどんどん広めていってほしい。見た人にしかわからない、鳥肌の立つほどのパワフルなかっこいい彼らの存在を、もっともっとたくさんの人に知ってもらいたい。ぜひとも、"Alive"を一聴していただきたい。みんなを元気付ける最高な曲なんだからっ! report by ali. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to Ali Maeda. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |